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賞金の高額化!eスポーツの最新法律(2019年)について解説

IT企業のための法律

eスポーツの賞金高額化

昨今、eスポーツは世界的にも大きな盛り上がりをみせており、今後もその人気・規模ともに拡大していくことが予想されます。

eスポーツは、海外では、大変人気があり、オリンピック競技に採用される可能性があるとも指摘されています。日本でも、一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)が設立されるなど、環境が整いつつあります。

また、国内のeスポーツ大会の賞金も高額しています。

eスポーツ、賞金1億円超え サイバーエージェント系

そこで今回は、eスポーツに関連する法規制について解説していきます。

eスポーツというとあまり法律と関係が内容な印象を持たれる方が多いかもれませんが、eスポーツの賞金制大会開催には法的に超えるべき3つのハードルがあります。具体的には景品表示法刑法風営法との関係が問題となりますので、以下順番に解説していきます。

景品表示法との関係

eスポーツの大会では、その順位に応じて賞金等の提供がなされるケースが多くみられます。このような賞金等が景品表示法に定める「景品類」あたるかが問題となり得ます。

この点、昨年行われた経済産業大臣の国会答弁の中で「要するに、高額商品が出る場合は景表法に抵触するのではないかという指摘もありました。これは、経産省も間に入りまして、消費者庁と関連団体の間で整理をさせていただきまして、プロのプレーヤーが参加する興行性のあるeスポーツ大会における賞金は、これはあくまでも仕事の報酬ということで、法律上の景品類には当たらないという形で整理が行われたわけであります。」との発言がなされています。

また、内閣知的財産戦略本部では、「そもそも景表法もeスポーツ全てがだめと言っているわけではなくて、人前で興業的に非常に高度なパフォーマンスを見せるものに関しては、タレントさんのようなものだと思うのですけれども、報酬としてお金を払ってもやるということは、景表法の外にある人だということをおっしゃっております。」等といった点に言及がなされています。

かかる見解を前提とすれば、賞金を出す場合であってもその賞金が仕事の報酬として提供しているものであれば、景品表示法の適用を受けないものと考えられます。

賭博罪との関係

刑法との関係においては「賭博罪」との関係が問題となり得ます。賭博とは「賭博とは,偶然の勝敗により財物・財産上の利益の得喪を争うこと」を意味します。

したがって、大会参加者から参加費を徴収し、それを賞金として分配するようなスキームですと、上記の定義からすると、賭博罪に該当しうることとなります。

賭博罪に該当することを回避するスキームとしては、大会参加者からお金を徴収せずに、観客者からのみお金を徴収し、かかる金銭を賞金として分配するというスキームであれば賭博罪に該当することはないと考えられます。

このことは、上記内閣知的財産戦略本部においても「賭博法に関しては、参加者がお金をださず、観客だけがお金を出せばいいということでクリアできる」等と述べられており、このことからも上記スキームであれば賭博罪に該当しえないと考えられます。

風営法との関係

風営法では、テレビゲーム機やその他の類似した遊戯設備を備え付け、かかる遊戯設備の結果に応じて賞金を提供してはならないとされています。

順位に応じて賞金を提供するeスポーツによく見られる大会は法律解釈上、上記規制に服する可能性が高いと考えられます。

前述の内閣知的財産戦略本部では「幾つかeスポーツをやろうとしているカフェみたいなところが、そのたびに説明に上がらないといけないということが起きているのは確かなので、今後、eスポーツがさらに普及していく中で、eスポーツジムみたいなものが普及してくると思うのですが、そこは何とか課題として考えていかなければいけないポイントだなとは思っています。」と指摘されています。

今後、eスポーツの普及とともに法改正等によって上記課題を乗り超えていく必要があるところと思われます。

もっとも、現時点で風営法違反として処分された事業者等は確認できておらず、法的にはグレーの状態で運営されているのが実情です。

まとめ

これからeスポーツはされに盛り上がりをみせ、eスポーツの賞金制大会を開催したいと考える事業者も多く出てくることと考えららます。

上記の法的な規制についても、その具体的なスキーム内容によっては、規制に服する可能性もありますので、同様な事業を行う場合には、事前に弁護士等の専門家に相談した上で慎重に行う必要があるところでしょう。