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中国における暗号資産のこれまでの規制と今後の見通しについて
中国では、仮想通貨(暗号資産)については、厳しい態度で臨んでいます。
2017年には、株式の代わりに独自の暗号資産を発行して資金を調達するICO、InitialCoinOffering)を禁止、中国国内の暗号資産取引サイトも順次、閉鎖をしました。
以後、中国の投資家が、暗号資産を売買するには海外の取引所を使わざるを得なくなり、事実上、中国国内での仮想通貨(暗号資産)の取引が禁止されています。
中国の仮想通貨(暗号資産)の規制状況
このようになる経緯としては、仮想通貨(暗号資産)への投機熱や違法行為に警戒を強めた中国人民銀行など関係5部門は、2013年12月「ビットコインのリスク防止に関する通知」を発表しました。
これは、ビットコインのリスクを警告し、金融機関などに対してビットコインに関連した業務を禁止する内容です。
これにより、ビットコインの価格が下落、また売買に必要な銀行での入出金が困難になり、事業継続を断念する仮想通貨(暗号資産)取引所も出ました。
その後、中国での仮想通貨(暗号資産)の取引が回復、暗号資産の激しい値動きなどを懸念した中国政府は、2017年1月、暗号資産であるビットコイン、ライトコイン(Litecoin)を取り扱う中国の三大暗号資産取引所のBTCC、フォビ、OKコインの立ち入り検査を実施しました。
経営範囲を超えた営業、市場操作、マネーロンダリング、資金の安全リスクなどについて検査し、同時に、法律法規に則った自主検査の実施を促しまています。
しかし、当局は規制を緩めず、中国人民銀行など関係7部門は、同年9月4日「代替貨幣発行による資金調達リスク防止に関する公告」を発表し、仮想通貨(暗号資産)については通貨と同等の法的地位がなく、通貨として流通させてはならないという認識を示し、ICOについては金融秩序を著しく乱しているとして、即日禁止しました。
また、仮想通貨(暗号資産)を通じた資金の海外流出やマネーロンダリングを懸念した中国政府は、仮想通貨(暗号資産)取引所に閉鎖を指示したとされ、9月14日にはBTCCが、9月15日にはフォビとOKコインが、同月末の暗号資産売買停止と、10月末の人民元との交換業務停止を発表しました。以降、中国における暗号資産取引所は事実上、全面的に閉鎖された状態にあります。
中国の投資家が暗号資産を取引するには、海外の取引所を使わざるを得なくなりましたが、資本取引が自由化されていない中国で、海外の取引所を利用することは簡単ではありません。
香港など中国本土以外の暗号資産取引所を経由した取引等、抜け道を使った取引は横行しているものの、正規のビジネスとして取り組むにはリスクがあります。
このため、BTCCは香港、フォビはシンガポールに運営拠点を移し、中国以外の海外市場を開拓するなど、業務内容を変更しています。
中国の仮想通貨(暗号資産)に対する今後
以上のように、中国政府は、政府のコントロールが及ばない通貨が流通することを警戒し、様々な規制を打ち出してきました。
しかし、一方で、中国は国が発行・管理する暗号資産を作る計画を進めています。
中国の中央銀行である中国人民銀行は、2014年から専門の研究チームを立ち上げており、2016年1月に開催した仮想通貨(暗号資産)研究会で、中国人民銀行が発行する暗号資産を一日も早く実現する考えが示されています。
2019年2月に開催された中国人民銀行の全国貨幣金銀工作会議でも、引き続き、仮想通貨(暗号資産)取引の監督処罰を強化する一方、中国人民銀行が発行する暗号資産の研究開発を進める方針が出されています。
2019年10月28日には、中国上場企業20社以上が、「当社とブロックチェーンの関わり」を説明する文書を発表し、株式市場ではブロックチェーン関連銘柄が軒並み急騰しました。
今後の中国における仮想通貨(暗号通貨)規制については、注目です。