IT法務・AI・暗号資産ブロックチェーンNFT・web3の法律に詳しい弁護士|中野秀俊
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アプリに欠陥があった場合、契約書で損害賠償を負わない規定があっても、責任を追及できますか?【2019年3月5日追記】

アプリ開発&トラブルの法律

納品されたアプリに欠陥が。でも、契約書には責任負わないって書いてある

スマホアプリの開発を委託しアプリの納品を受けたところ、そのアプリに不具合が見つかった。 その原因は、開発会社が、仕様書に記載されていた機能を見落としていたから。

しかし、契約書には 「開発会社に故意又は重過失が認められる場合を除き、賠償する責めを負わない」 という規定があった。

このような規定がある場合、開発会社から損害の賠償をしてもらえないのでしょうか。

アプリ開発で注意すべき法律の解説は、アプリ開発・アプリサービス運営者が注意すべき法律解説まとめを参照してださい。

このような「免責規定」は有効か

法律上、故意や過失(不注意。うっかり)によって他人に損害をあたえた場合には、損害を賠償しなければなりません。

しかし、契約書で損害賠償責任が免除されたり限定されたりしていることがよくあります。

そもそも、このような責任を免れる規定(「免責規定」)は有効なのでしょうか?

裁判例では、このような免責規定を有効としています(東京地判平成21年12月4日)

「重過失」って、なに?

ここでいう「重過失」とはなんでしょうか? 「重過失」とは、「重大なうっかり」を言います。

裁判例では、「重大な過失とは…ほとんど故意に近い著しい注意欠如の状態を指す」としています(東京地判平成21年12月4日)

損害賠償できるかは、専門的な判断が必要

今回のケースでいえば、開発会社が「仕様書に記載されていた機能を見落としていた」という不注意があります。

そこで、開発会社に「重過失」があったとして、損害賠償を請求することになります。 具体的に、どういった場合に、「重過失」にあたるのかは、まさに高度な専門的判断が必要です。裁判例でも、様々な判断がなされています。

また、免責条項の有効性についても、「故意、重過失があった場合でも、一切の責任を負わない」としている場合には、無効とされる可能性もあります。

損害賠償を考えている場合には、専門家に相談するようにしましょう!