自分で唾液などの採取し、それを送付するだけで、自分の遺伝子情報を知ることができる。そんな消費者向けの遺伝子検査サービスがあります。
これは、統計データに基づき、糖尿病合併症リスク判定、動脈硬化リスク判定などの特定の疾患にかかるリスクや体質等を示し、運動&栄養プログラムの提示などの利用者の行動を促すものとして、注目されています。
そんな遺伝子検査ビジネスですが、法的なポイントはどこにあるのでしょうか?
「遺伝子」という情報を検査するのは、きちんとした精度が必要になってきます。
消費者としては、自己の検体を提出するので、その結果については信用してしまいます。そこで、事業者としては、その検査の質の担保が重要になってくるのです。
この点については、経済産業省からガイドラインが示されています。
このガイドラインでは、インフォームド・コンセントの徹底や品質保証の仕組みなどが具体的に記載されています。
遺伝子情報は、究極の個人情報です。事業者としては、この取り扱いには慎重な対応が必要になります。
この点については、厚生労働省「ゲノム情報を用いた医療等の実用化推進タスクフォース」から、平成28年1月22日に「改正個人情報保護法におけるゲノムデータ等の取扱いについて」という報告書が提出されました。
この中で、ゲノムに関する情報を以下の3つに分類しました。
そして「ゲノムデータ」は「個人識別符号」ゲノム情報と遺伝情報は「要配慮個人情報」とする方向でまとまりました。
ただし「ゲノムデータの個人識別性は、多様であり科学技術の進展等により変化し得る」とし、その具体的範囲は、個人情報保護委員会が、海外の動向や科学的観点から解釈を示していくとしています。
人の遺伝子情報であるゲノム情報は個人情報に当たるのか?【ゲノムと個人情報保護法】
遺伝子検査ビジネスは、医師法の観点からも問題になります。
医師法上は、医師以外の者が、医療行為を行うことを禁止しています。
医療行為とは「診断」を行うことも含まれ、診断とは「診察、検査等により得られた患者の様々な情報を、確立された医学的法則に当てはめ、疾患の名称、原因、現在の 病状、今後の病状の予測、治療方針等について判断を行い、患者に伝達する」ことは「診断」に該当するとしています。
この記事では「診断」に該当するか否かの判断として、次の点について「診断行為」には当たらないとされています。
一方、消費者個人を特定して疾患リスクを予測・判断する行為は、「診断」であり、医療行為に該当するとされています。
もっとも、上記2要件を満たさない場合には、即「医療行為」に当たるというわけではありません。「医療行為(診断)」に当たるかは、個別判断になります。
上記のように、遺伝子検査ビジネスは、そのサービスによって、法律上、曖昧な部分があります。
自社サービスが法律に抵触しないかを確認するためにはグレーゾーン解消制度・企業実証特例制度があります。
IOTやAI、ロボットなどの最新技術が法律に抵触しないか事前に確認することはできないの?
このような制度が活用し、後から不備がないようにしましょう!