「ソーシャル・レンディング」という言葉をご存じでしょうか?これは、お金を貸したい人(レンダー)と、お金を借りたい人・企業(ボロワー)とを結び付けるマッチングサービスのこと。
貸したい人にとっては、リスクを負うかわりに高いリターンを得られる可能性があり、新たな資産運用の方法となり、借りたい人にとっては、銀行からの融資を受けられないような場合に、消費者金融よりも低金利での融資を受けることが可能になるというメリットがあります。
基本コンセプトは、「シェアリング・エコノミー」です。
アメリカやイギリスではソーシャル・レンディングはどんどん普及しています。代表的なのは、アメリカのLending Clubというサービスです。
Lending Clubは、2014年12月にNY証券取引所への上場を果たし、時価総額は約4,800億円を超え、貸し付けられた金額は、約1.5兆円を超えるとされています。
日本におけるソーシャルレンディングは、maneoが最大手ですが、その市場規模は、まだまだ小さいのが現状です。
そこには、日本の法規制の壁が立ちはだかっているのです。
日本では貸金業法という法律があり、以下に該当す場合には、貸金業者の登録が必要とされています。
この(2)「業として」というのは、一定期間、反復・継続して行う場合にあたると考えられています。
貸金業者として登録されるためには、以下を含む一定の要件を満たすことが必要となります。
- 登録を受けようとする個人又は法人の常勤の役員に、貸付業務に3年以上従事した経験者がいる
- 会社の純資産額が5,000万円以上ある
- 実際に事業所を設置し、固定電話を設定している
ソーシャルレンディングを利用して、手元の資金を貸したいという人は、一回の貸付ではなく、複数回にわたって貸付を行うつもりがあるはずです。そうなると、ソーシャルレンディングサービスを利用して、資金を貸したい人には、貸金業者の登録が必要になっていきます。
貸金業者の登録は、上記の通り、ハードルが高いので、個人が登録することは難しいといえます。
それでは、日本において、ソーシャルレンディングを行う方法はないのでしょうか?
先ほど見た、maneoは、以下のようなスキームになっています。
ちなみに、金融商品取引業(第二種)の登録には、以下を含む細かな要件を満たすことが必要とされています。
欧米で流行っているサービスを日本で行うのは、よくあることです。しかし、欧米と日本では法規制が異なります。
日本でサービスを行うには、最初の段階で、十分な法的検討をする必要があるのです。