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ウェブサービスでの裁判管轄の規定は、どこに気を付けるべきか【解説】

IT企業のための法律

裁判管轄があるかどうかはチェック

ECサイトやウェブサービスなどで、トラブルが行った場合には、どこに訴えるのでしょうか?

ウェブサービスにおける契約においては、契約書や利用規約で、契約当事者間で生じた紛争をどのように解決するか(準拠法、裁判所)が定められています。

どこの国の裁判所で裁判するかの約束のことを管轄合意といいます。

特定の裁判所に限り訴えの提起を認める旨の専属的合意と、法律上管轄が認められる裁判所への提起のほかに訴えを提起できる裁判所を追加する付加的合意とがあります。

そして、契約において、海外における特定の裁判所を定めている場合や、日本における裁判所のうち特定の裁判所について専属的合意管轄を定めている場合には、原則として当該裁判所のみが裁判管轄権を有することとなります。

海外のユーザーがいる場合

ウェブサービスにおいては、国際的な取引も多く、その場合、国際裁判管轄が問題となります。国際裁判管轄をどうするかについては、現状、日本は一般的な国際裁判管轄に関する条約には加盟していません。

そのような場合、管轄の問題は、訴えが提起された裁判所、例えば、日本の裁判所で原告が訴訟を提起した場合には、日本の裁判所が日本法のもとで、自らが管轄権を有するかを判断することになります。

国際裁判管轄合意の有効性

まず、日本の民事訴訟法上、国際裁判管轄についても当事者間で合意がなされた場合には、それに従うとされています。また、合意についてはインターネット上の契約における管轄合意も有効です。

消費者契約における特例

また、国際裁判管轄合意に関しては、特にBtoC取引において、例外が定められております。

つまり、BtoC取引について紛争を対象とする国際裁判管轄合意については、以下の場合に限り、当該合意の効力が認められることとなります。

  1. 契約締結時において消費者が住所を有していた国の裁判所に管轄を認める合意である場合
  2. 消費者が合意に基づき訴訟を提起した場合や、事業者から提起された訴訟において消費者が当該合意を援用した場合

そこで、日本の事業者が、海外に住所を有する海外の消費者向けのウェブサイトを運営していた場合に、日本の裁判所を専属管轄として規定し、日本の裁判所に訴訟を提起したとしても、規定の仕方によっては、当該日本の裁判所に管轄が認められない場合があるので注意が必要です。

裁判管轄をどこにしておくべきか

ウェブサービスを行うに当たって、国際裁判管轄を定める場合、どこにしておくのが合理的でしょうか。

この点、国際裁判管轄については、可能である限り、訴訟における便宜、結論の予測可能性の観点から、自社の本店が所在する国の裁判所に設定するのが通常です。

また、契約当事者が同一国内に所在する場合、例えば、日本企業が日本における消費者にサービスを提供している場合であれば、原則として自社の本店所在地を管轄する都道府県の裁判所を専属的合意管轄裁判所として指定するのが通常です。

BtoCサービスについては、上記のように、管轄合意が無効になる可能性があります。

この点についての対処方法は様々ではありますが、利用規約などで、 「適用法令が許容する限り」等の規定を設けて、自らの本店所在地を専属的管轄と定める旨記載する方法も考えられます。