企業が弁護士に法律の相談するタイミングについて、お伝えいたします。
「いつ弁護士さんが必要なんですか?」と質問を頂くことがございます。弁護士と聞くと「トラブルが起きてから」相談するイメージがあると思います。
普通に日常生活を送っている方が日常的に弁護士を入れるということは、ほとんどないと思います。
企業の場合は「契約」をしますし、契約をするとそもそも紛争の種が出てきます。
私は弁護士という立場なんですが「裁判というのは非常にコスパが悪いです」とよく言っています。紛争や裁判というのはしないほうが当然いいんです。裁判になると長いても1年くらいはかかります。書面の準備などもしなければいけません。弁護士に依頼をしても、あれこれと事実確認されます。お金もかかります。
例えば「請求する」という話になって裁判で勝ったとしても、差し押えができないみたいな話になって、費用倒れになることも多々あります。
そうなるとコスパが非常に悪いですし、何よりなコスト、お金の面だけでなく、時間も取られて本業に集中できないみたいなことがありえます。
もちろんトラブルかがないほうがいいわけです。予防法務は大事ですが「顧問弁護士をつけてください!うちいいですよ!」というつもりも正直ありません。
顧問弁護士をつけることも、それはそれでいいのですが、本当にスタートアップとかベンチャーの会社が月に何万円を払うのか?払えるのか?ということになります。
もちろん払えるところは、払ってそれに対してきちっと法律的なサービスを受けることもいいと思います。ですが、年何回の法律相談があるんですか?という話になってくるわけです。
費用対効果がどうなんだ?となってくるわけです。絶対に顧問弁護士をつけるつけろとはいうつもりはありません。ただし大事なのは「何か法律的にヤバそうだ」という感覚です。これは凄い大事です。
経営者や担当者が日常業務をやっていく上において「法律の詳しいことは分からないけれども、なんかこれってヤバそうだ」「この契約は、ここの権利の部分がヤバそうだよね」と立ち止まることができるかは、すごく大事なんです。
立ち止まれれば、ネットでググってもいいですし、それに対して詳しい人や弁護士そこだけ聞いてみることができます。ですが、立ち止まれないからトラブルになってしまうわけです。
「法律的になんかヤバそうだな。詳しいことはわからないけど」という嗅覚・感覚みたいなものはすごく大事になります。
そんな感覚を持つためにはどうすればいいのか?法律を勉強してくださいというつもりはありません。ただし、法律の本がありますよね。「◯◯企業にとって必要な」「初心者のための◯◯」などの、法律の入門書のような本の「目次」を見てみてるのはどうでしょうか?できなければamazonで本の目次を見ることができますので、それを見てください。
本の目次を見ることで、どういうところが法律的に問題なのかがわかったりします。目次だけパーッと見てみる。例えば「Webサービス作るときはこういうところに気をつけろ」とか「ポイント制は◯◯」といったことが書かれていたら「ポイントを導入するときは、なにかヤバそうなのかな」ということがわかります。
YouTubeの動画タイトルをYouTubeで検索してみる方法もあります。「弁護士中野秀俊のYouTube法律相談所」では企業やクリエイター向けにビジネスに関する法律を扱っています。私の動画を見て下さいません。動画のタイトルだけでもバーっと見ていただけると「こういうところで問題になる」ということがタイトルに書いてありますので、そういうところを見てみてください。
法律の専門家や法律書のタイトルなどを見ておいて「こういうところが問題になるんだな」ということを頭に入れておいて、なにか頭の中で引っかかったら、詳しく調べてみるか、法律の専門家などに聞いてみるというのがいいと思います。
ビジネスにおいて法律はどうしても関わるところですので、紛争にならないようにするために「なんかヤバそうという感覚」を持つことをお勧めします。