私、8月7日から1週間ほど、イタリアとスペインに行っていました。
目的の一つに、国際法曹会議の出席がありました。国際法曹会議とは、世界中の弁護士などが集まる法曹関係者の祭典です。
各国の法曹関係者とも交流でき、暗号通貨・仮想通貨の各国の生の実情を聞いてきました。日本の法制度は、諸外国(特に欧米)の後追いとなることが多いため、欧米の現状を知ると、将来の日本の姿が見えてくるかもしれません。
EUは、暗号通貨、仮想通貨の基本的なスタンスとして、2014 年 7 月、欧州銀行監督機構(EBA)が意見書を公表しています。
この意見書によると、長期的措置として、交換所等に対する各種規制(内部体制の整備、顧客口座の分別、 資本要件)を設けることを提案しています。
また、短期的措置としては、
上記意見書を受けて、フランスではビットコインなどの暗号通貨・仮想通貨を合法とした上で、ビットコインの価格は本質的に不安定で、
そこで、2014 年 1 月にビットコインの交換所等に、マネロン・テロ資金対策に係る規制(プルーデンス規制)を制定しました。現在では、税制面での取扱いをどうするのかの検討をしているとのことです。
イタリア政府としては、上記EBAの意見書を受け入れることを表明していますが、政府として具体的な法規制はなく、正式な見解を表明していません。
しかし、イタリア中央銀行が、「仮想通貨の利用、交換、支払、受入は合法的な活動である」と表明。
法定通貨と仮想通貨との交換を提供する企業は、マネロン規制の対象ではないため、顧客のデータ記録や疑わしい取引を報告する義務はないことを明らかにしました。
現在は、政府としても、マネロン・テロ資金対策に係る規制に向けて、法規制の検討を始めているとのことです。
ドイツでは、暗号通貨・仮想通貨の実用性をいち早く認め、「プライベートマネー」として、課税の対象としています。
また、現在では、暗号通貨、仮想通貨について、銀行法の規制対象とし、銀行法上の「金融商品」にあたるとして、金融当局が監督する方向で調整が進んでいるとのことです。
このように、EU諸国は、暗号通貨・仮想通貨についての法的位置づけを明確化しようと動いています。これは、日本も例外ではありません。今後の日本の法規制の動向には、注目です。