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lOT技術は、ハードウェアとソフトウェアの融合です。ハードウェアが絡むことから、その法律には、ITビジネスでは、あまり関係してこない法律もかかわってきます。
そこで、今回は、IOTビジネスで必要なハードウェアに関する法律を解説します。
電気用品安全法とは、「電気用品」の安全性に関するルールを定める法律です。
この「電気用品」というのは、一般家庭や商店等で使用される比較的電圧が小さく安全性の高い電気工作物の部品またはこれに接続して用いる機械とされています。
例としては、ケーブルやヒューズ、変圧器、電熱器具(電気ストーブ等)などが該当します。
「電気用品」を製造・輸入・販売しようとする場合には、製造・輸入段階での届出義務や、製品の技術基準への適合義務、販売段階での表示義務の対象となります。
電気用品安全法の規制対象は「電気用品」です。
「電気用品」とは、以下のようなものです。
「電気用品」のうち、その構造や使用方法その他の使用状況からみて特に危険または障害の発生するおそれが多いものは「特定電気用品」として指定されており、特定電気用品はより厳格な規制の対象となります。
それ以外のものは「特定電気用品以外の電気用品」となっています。
これらの具体的な品目は政令で指定されることとされており、特定電気用品は2017年2月現在で116品目、特定電気用品以外の電気用品は同341品目が指定されている。これらの対象品目は、経済産業省のホームページ上で一覧が公表されています。
電気用品安全法の主な規制は、以下の通りです。
電気用品の製造または輸入を行う事業者は、事業開始の日から30日以内に、電気用品の型式の区分や製造する工場の名称・所在地など所定の事項を、経済産業大臣に届け出なければなりません(電気用品安全法3条)。
届出内容に変更があった場合や届出に係る事業を廃止したときにも所定の手続を行う必要があります。
この届出義務に違反した場合には、30万円以下の罰金の対象となります。
上記の事業の届出を行った型式の電気用品を製造しまたは輸入する場合には、原則として、国が定める技術基準に適合させる必要があります。
技術基準は、「電気用品の技術上の基準を定める省令」(技術基準省令)によって定められていて、「電気用品の技術上の基準を定める省令の解釈について」(技術基準省令解釈)で省令の解釈が示されています。
この技術適合確認義務には、以下のような例外があります。
届出事業者は、届出を行った電気用品の技術基準の適合性について必要な検査等を実施したときは、その電気用品が技術基準に適合していることを示すPSEマークをその電気用品に付けることができます。
PSEマークの表示がなされていない電気用品は、販売や販売目的での陳列が禁止されているため、製造または輸入した届出事業者が自ら販売する場合にはPSEマークを表示してからでなければ販売できません。
製造・輸入をしていない小売店などが販売する場合には、PSEマークが表示されていることを確認してから販売しなければなりません。
この表示に係る義務に違反した場合、1年以下の懲役または/および100万円以下の罰金の対象となります。
また、表示義務に違反した電気用品の販売によって危険または障害が発生するおそれがあると認められる場合で、その危険または障害の拡大を防止するため特に必要があると認められるときは、経済産業大臣から、販売した電気用品の回収その他当該電気用品による危険および障害の拡大を防止するために必要な措置をとるよう命令(危険等防止命令)が出されることがあります。
実際に「電気用品」に該当するのに電気用品安全法の規制を遵守していなかったとして、改善命令や販売停止処分が発令されたケースもあります。
電気用品が原因となる火災や感電などの事故防止のため、電気用品安全法は、原則として電気用品のON/OFFは器体スイッチまたはコントローラーによって行わなければならず、外部からの遠隔操作によるON/OFFは、危険が生じるおそれがないとして省令に定められた場合にのみ許容しています。
また、通信回線を利用した遠隔操作機能をつけるためには、以下の技術基準のすべてを満たす必要があります。
消費生活用製品安全法は、一般の消費者が日常使用する製品によってけがや死亡などの事故が起こることを防ぐことを目的とする法律です。
この法律は、以下の規制が定められいます。
消費生活用製品安全法の規制対象は「消費生活用製品」です。その内で特に危険が生じやすいものを「特定製品」、「特定保守製品」を定めています。
「特定製品」のうち、その製造または輸入の事業を行う者の中に危険防止のために必要な品質の確保が十分でない者がいると認められる製品は「特別特定製品」として政令で指定されます。
特定製品や特別特定製品は、対象となる製品の仕様が消費生活用製品安全法施行令別表第一で定められている通りです。
消費生活用製品安全法における特定製品・特別特定製品に対する主な規制は、電気用品安全法の規制と似ており、以下のようなものがあります。
特定製品の製造または輸入を行う事業者は、主務大臣への届出が必要です。
事業の届出を行う際、事業者は、その届出に係る特定製品の欠陥によって消費者が負傷・死亡し、その被害者に対して損害賠償を行う場合に備えてとるべき措置の方法に関する資料を添付しなければなりません。
技術基準省令により、この損害賠償措置として、事業者は、被害者1人当たり1000万円以上かつ年間3000万円以上を限度額として填補する損害賠償責任保険契約の被保険者とならなければならないとされています。
上記事業の届出を行った型式の特定製品を製造しまたは輸入する場合には、原則として、国が定める技術基準に適合させる必要があります。
技術基準は、「経済産業省関係特定製品の技術上の基準等に関する省令」によって定められており、「消費生活用製品安全法特定製品関係の運用及び解釈について」で詳細が規定されています。
事業者は、品目の類型ごとに国が定めた検査の方式によって特定製品の自主検査を行い、検査記録を作成して、これを検査の日から3年間保存しておかなければならなりません。
また、特別特定製品については、自主検査に加え、製品を販売する時までに登録検査機関の検査を受けて、適合性証明書の交付を受け、この証明書を保存する義務があります。
これらの規制に違反して、自主検査を実施しない、検査記録を作成しない、適合性証明書の交付を受けない、保存をしない等をした場合には、30万円以下の罰金の対象となるほか、主務大臣から必要な改善措置をとるよう改善命令が出されることがあります。
届出事業者は、届出を行った特定製品の技術基準の適合性について必要な検査等を実施したときは、その製品が技術基準に適合していることを示すPSCマークをその特定用品に付けることができます。
特定用品は、PSCマークの表示がなければ販売や販売目的で陳列することはできません。
ただし、以下の場合は、PSCマークの表示がない商品の販売・販売目的での陳列も認められています。
PSC表示のない特定製品を販売した場合には、1年以下の懲役または/および100万円以下の罰金の対象となります。