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暗号資産・仮想通貨で決済する場合の日本法における注意点

仮想通貨(ビットコイン、イーサリアム、リップル等)やICOの法律について仮想通貨に詳しい弁護士が解説
目次

暗号資産(仮想通貨)による決済

暗号資産(仮想通貨)による決済は、近年注目を集める新しい支払い手段です。ビットコインやイーサリアムといった暗号資産で商品・サービスの代金を支払うことで、法定通貨を介さずに取引が可能となります。世界的には既に 15,000社以上の企業がビットコイン決済を受け入れており、米国だけでも約2,300社が導入しています。

日本でも、ビックカメラやHISなどの大手企業でも暗号資産(仮想通貨)による決済を導入した事例があります。
そ本でも、ビックカメラやHISなどの大手企業でも暗号資産(仮想通貨)による決済を導入した事例があります。そこで今回は、暗号資産(仮想通貨)による決済の法律について解説します。

自社店舗での暗号資産決済をする場合

自社の実店舗やオンラインショップでCryptoによる支払いを受け付ける場合のルールです。
日本では、暗号資産の売買・仲介・他者の暗号資産管理などは「暗号資産交換業」として規制されますが、自社の商品・サービスの代金として暗号資産を受け取るだけなら、特に規制はありません
また、受け取ったCryptoを自社で保管する、あるいは登録済みの交換業者を利用して円に換金する行為にも追加の規制はありません。
ただし、日本の非居住者と3000万円以上の決済をする場合、「外為法(外為法55条)」による報告義務が原則として発生します。

決済代行業者を使った暗号資産(仮想通貨)決済

自社で暗号資産(仮想通貨)を保有・管理することに抵抗を感じる企業もあります。価格変動リスクやハッキング対策、会計・税務処理などが主な理由です。
そこで、第三者である決済代行業者(以下「決済代行者」)が暗号資産(仮想通貨)を受け取り、それを円に換金して企業に支払うスキームが利用されることがあります。

このスキームは、以下の行為を組み合わせたものです。
①他人の暗号資産(仮想通貨)を受け取る。
②受け取った暗号資産(仮想通貨)を他人のために円に換金する。
③円に換えた資金を企業に渡す。

この「②暗号資産(仮想通貨)を円に換える」行為は、決済代行者が暗号資産交換業を営んでいるとみなされる可能性が高く、原則として交換業の登録が必要です。
この点について、決済代行(収納代行)については、資金移動業には該当せずに登録ないとされています。

収納代行(決済代行)事業者が注意すべき法的ポイントと問題になる事例【2024年6月加筆】

そうなると暗号資産(仮想通貨)の決済代行でも、行政への登録などが必要ないようにできないのかという疑問が沸きます。
例えば
①企業が決済代行者に収納代行の権限を付与する。
②決済代行者は暗号資産(仮想通貨)を自分のものとして受領。
③その委任された業務として企業へ円を渡す。
④これは換金ではなく、委任事務の支払い方法に過ぎない。

という整理も考えられます。これによれば、他者のために暗号資産(仮想通貨)を交換しているわけではないので、暗号資産交換業はいらないのではとも思えます。
しかし金融庁は暗号資産交換業については厳しい態度を示しているので、最終的には金融庁への確認と了承が必要です。

クレジットカードタイプ

仕組み

暗号資産(仮想通貨)と連動するクレジットカード決済は、下記の流れが典型的です。
①暗号資産交換業者または関連会社がクレジットカードを発行。
②ユーザーが円やドル建てで商品を購入。
③通常のクレジットカードと違い、ユーザーの交換業者アカウントから暗号資産(仮想通貨)が引き落とされる。

割賦販売法

日本ではクレジットカードの発行にあたり、「2カ月超の分割払い」「リボ払い」「ボーナス一括払い」などを提供する場合、割賦販売法が適用されます。一方、翌月一括払いのみのカードは割賦販売法の対象外とされ、規制なく発行可能です。

貸金業法

クレジットカードのキャッシングは商品購入ではなく借入行為のため、割賦販売法ではなく貸金業法の規制対象です。暗号資産(仮想通貨)連動型であっても、円や外貨でキャッシングできる場合は貸金業法が適用されます。

資金決済法

暗号資産(仮想通貨)連動のクレジットカードでは、暗号資産の保管に暗号資産交換業としての登録が必要です。さらに、決済のプロセスで暗号資産(仮想通貨)を売却して金銭を発行会社へ渡す形になる場合、暗号資産の売買行為とみなされるため、交換業登録が求められる可能性が高いと考えられます。
一方、クレジット決済自体は原則として金銭で行うものの、あとから暗号資産(仮想通貨)での代物弁済をユーザーが選ぶだけであれば、単なる代物弁済の扱いとなり、交換業規制は適用されないと見られます。

デビットカードタイプ

仕組み

暗号資産(仮想通貨)と連動するデビットカードの典型的な例は以下の通りです。
①暗号資産交換業者またはその提携会社がデビットカードを発行。
②ユーザーが交換業者にビットコインなどを預ける。
③預けたCryptoの範囲内で、円やドルなどの買い物が可能。
④購入時にCryptoが自動で円に換金される。

デビットカード発行規制

日本ではデビットカード自体の発行に特別な規制はありませんが、通常のデビットカードは銀行口座と紐づくため、銀行法の規制を受けます。
暗号資産(仮想通貨)連動のデビットカードには銀行法が直接適用されないものの、後述する暗号資産交換業関連の問題が生じる可能性があります。

資金決済法

他人の暗号資産(仮想通貨)を預かってビジネスを行う場合、暗号資産交換業として登録が必要となる場合があります。また、カードでの決済時にCryptoを売買していると判断される場合にも、規制がかかる可能性があります。

プリペイドカードタイプ

仕組み

前払式支払手段とは、図書券やAppleギフトカード、Amazonギフトカードのように、あらかじめお金を払って残高をチャージし、その残高で支払いができる仕組みです。
Crypto連動のプリペイドカードでは、以下のような流れになります。
①発行会社がプリペイドカードを発行。
②ユーザーがビットコインなどを発行会社に送付。
③送付されたCryptoの時価に応じて残高がチャージされる。
④ユーザーがカードを使うと、そのチャージ残高から引き落とされる。

前払式支払手段の発行規制

日本で前払式支払手段を発行する場合、「自家型」と「第三者型」に分かれます。

  • 自家型:発行会社のサービスや製品だけで使える
  • 第三者型:他社のサービスや製品にも使える
    自家型は届出、第三者型は登録が必要で、いずれも未使用残高の半額を供託するなどの規制があります。

ただし、以下の場合は規制が適用されません。

  • 有効期限が6ヶ月未満に設定されているもの(自家型・第三者型とも)
  • 自家型で、3月末と9月末の未使用残高の合計が1000万円以下

資金決済法の適用

プリペイドカードは、クレジットカードやデビットカードと異なり、基本的に暗号資産交換業の規制対象ではありません。理由は以下の通りです。
①発行会社が暗号資産(仮想通貨)を保管するわけではない。
②チャージは暗号資産の売買というより、前払式支払手段を付与する行為に過ぎない。
③暗号資産(仮想通貨)同士の交換にも当たらない。

ただし、チャージした暗号資産(仮想通貨)をそのまま再度暗号資産(仮想通貨)として払い戻せる仕組みの場合は、実質的に預かり行為と見なされ、交換業におけるカストディ規制が適用される可能性があります。

仮想通貨(ビットコイン、イーサリアム、リップル等)やICOの法律について仮想通貨に詳しい弁護士が解説

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