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ECやサブスク事業者は必読!特定商取引法の規制とクーリングオフ制度を弁護士が解説

インターネット法律
目次

特定商取引法とは?

企業経営者にとって特定商取引法は、ビジネスを行う上で避けては通れない重要な法律です。特定商取引法は、事業者による違法・悪質な勧誘行為を防止し、消費者の利益を守ることを目的としています。

この法律が適用されるのは、BtoC(企業対消費者)取引に限定されており、BtoB(企業対企業)取引や法人、個人事業主との取引は対象外です。

特定商取引法の適用されるビジネスの範囲

特定商取引法の適用されるビジネスの範囲は、訪問販売、通信販売、電話勧誘販売、連鎖販売取引、特定継続的役務提供、業務提供誘引販売取引、訪問購入などが含まれます。

訪問販売

訪問販売は、営業所以外の場所で消費者と契約を行うビジネスモデルを指します。たとえば、家庭に訪問してリフォーム契約を締結する場合や、会場で商品を販売する場合が該当します。

このようなビジネスモデルでは、事業者は消費者に対して事前に自らの身分や契約条件を明示し、後日のトラブルを防ぐために書面を交付しなければなりません。

通信販売

通信販売とは、インターネットや電話、カタログを通じて商品やサービスを販売する形式を指します。

ECサイトで商品を販売する場合、特定商取引法に基づいて消費者に対して適切な情報を提供する必要があります。具体的には、販売価格、支払方法、商品の引き渡し時期、返品やキャンセルに関する情報を明確に表示しなければなりません。

電話勧誘販売

電話勧誘販売は、事業者が消費者に電話をかけ、商品の購入やサービスの契約を勧誘するビジネスモデルです。

この場合、電話の最初の段階で事業者は自分の氏名や会社名、商品の説明を行う義務があります。

また、電話を切った後に消費者が申し込む場合でも、その勧誘が電話によるものであれば特定商取引法の対象となります。

連鎖販売取引(ネットワークビジネス)

連鎖販売取引は、いわゆるネットワークビジネスの形式で、個人が他の個人を勧誘し、その個人がさらに次の個人を勧誘することで販売組織を拡大していくものです。

この形式では、勧誘の際に誤解を招くような誇大な表現を使うことは禁止されています。

特定継続的役務提供

特定継続的役務提供とは、長期間にわたって継続的に提供されるサービスであり、かつ高額な料金が発生するものを指します。

たとえば、エステティックサロンや学習塾、語学教室がこれに該当します。これらのサービスを提供する企業は、契約内容を詳細に記載した書面を消費者に交付する義務があります。

通信販売における特定商取引法の規制

通信販売を行う場合、特定商取引法に基づいて、事業者は以下の内容をウェブサイトに掲載しなければなりません(特定商取引法の表示)。

  • 商品・サービスの名称
  • 販売事業者の名称
  • 代表者名
  • 所在地
  • 問い合わせ先
  • 販売価格(代金・利用料)
  • 消費者が負担すべき金銭(通信料、送料等)
  • 代金の支払い方法
  • 商品の購入方法
  • 商品の利用可能時期
  • 返品・キャンセルに関する事項​

返品・キャンセルに関する記載

この中で注意すべきなのは「返品・キャンセル」規定です。

特定商取引法の表示で、返品・キャンセルに関する記載が欠如している場合、消費者は自由に返品を行えることになります。事業者は、「返品・キャンセル」規定があるかを確認する必要があります。

「返品・キャンセル」規定は、以下の内容を記載する必要があります。

  1. 返品の可否
  2. 返品の条件
  3. 返品に係る送料負担の有無

したがって、「返品不可」や「到着後○日以内に限り返品可能」、「開封前に限り返品可」,「送料はお客様負担」など、上記①から③に該当する返品の重要条件に該当する事項について、わかりやすく表示する必要があります。

特定商取引法の改正(2022年6月1日施行)

2022年6月1日に施行された改正特定商取引法では、特にECサイトに関して新たな規制が加えられました。

例えば、申し込み直前の画面において、消費者が注文する内容を明確に表示することが義務付けられました。具体的には、以下の事項を表示する必要があります。

  • 商品の分量(定期購入の場合は各回の分量と総分量)
  • 販売価格(送料を含む総額)
  • 支払い時期・支払い方法
  • 引き渡し時期
  • 申し込みの撤回・解除に関する事項

これらの要件を満たさない場合、契約の取り消しや返金が必要となるケースもあるため、ECサイト運営者は特に注意が必要です。

申し込み直前の画面での表示義務の詳細

2022年の改正特定商取引法では、ECサイトにおける契約の透明性と消費者保護を強化するため、申し込み直前の画面での表示義務が厳格化されました。

これは、消費者が注文内容を確実に把握した上で購入を確定できるようにするための措置であり、特に定期購入やサブスクリプション型サービスを提供している事業者にとって重要な義務です。

表示義務の具体的な内容

申し込み直前の画面では、消費者が注文する商品やサービスに関する重要な情報を、明確でわかりやすい形で表示しなければなりません。特に、以下の項目を正確に表示することが法律で義務付けられています。

商品の分量

消費者が購入する商品の数量や購入回数、購入期間を表示する必要があります。これには、単品購入の場合だけでなく、定期購入契約の場合の「各回の分量」と「総分量」も含まれます。

たとえば、サブスクリプション型サービスを提供する際には、毎回提供される商品やサービスの具体的な内容と、それにかかる総量を表示する必要があります。

販売価格

消費者が最終的に支払う金額を、送料や手数料を含む形で明示しなければなりません。特に定期購入の場合、各回の支払額に加え、契約期間全体での総支払額も表示する必要があります。

たとえば、ある健康食品の定期購入契約の場合、毎回の代金が5,000円で、契約期間中に10回の配送が予定されている場合は、総額が50,000円になることを表示する必要があります。

支払い時期・支払い方法

支払いがいつ、どのように行われるかを明確に表示する必要があります。これには、初回の支払時期だけでなく、定期購入契約における各回の支払時期も含まれます。

たとえば、初回の支払いが商品発送後に行われる場合、または各回の代金が毎月の初めにクレジットカードで引き落とされる場合、その情報を正確に記載する必要があります。

引き渡し時期

商品が消費者の手元に届く時期を表示することも義務付けられています。特に、商品が定期的に提供される場合は、初回の引き渡し時期と、以降の各回の引き渡しスケジュールを記載することが求められます。

申し込みの撤回・解除に関する事項

消費者が契約を撤回または解除する際の条件や手続きについても、申し込み直前の画面で明確に表示する必要があります。これには、返品や解約の方法、連絡先、解約の条件などが含まれます。

たとえば、「電話での解約が可能ですが、メールでの申し込みは無効です」といった制限を設ける場合、それを明確に示さなければなりません。

さらに、消費者に不当な負担を強いるような複雑な解約手続きを設けることは禁止されています。

表示義務を守らない場合のリスク

これらの表示義務を満たさない場合、消費者は契約取消権を行使することができます。

たとえば、最終確認画面での情報が不十分であったり、誤った情報が記載されていた場合、消費者は契約を取り消し、全額返金を求めることが可能です。

事業者にとって、こうしたトラブルを未然に防ぐためには、法律に基づいた正確な情報を表示し、消費者に誤解を与えないよう徹底することが重要です。

 

クーリングオフ制度

特定商取引法に基づくクーリングオフ制度も重要なポイントです。訪問販売や電話勧誘販売、特定継続的役務提供においては、8日間のクーリングオフ期間が設けられています。

また、連鎖販売取引や業務提供誘引販売取引では、20日間のクーリングオフ期間があります。

ここで注意が必要なのは、消費者が無期限にクーリングオフできるリスクがあることをご存知でしょうか?

法定の書類がない場合

まず契約時に必要な書類、つまり「概要書面」や「契約書面」が交付されていない場合、クーリングオフの期間は無期限となります。

特定商取引法では、訪問販売や電話勧誘販売、連鎖販売取引などの際には、これらの書類を消費者に必ず交付する義務があります。

通常、クーリングオフの期間は書類交付後8日間(または20日間)ですが、書類を交付していなければ、この期限が適用されず、消費者はいつまでもクーリングオフできてしまうのです。そのため、書類が適切に交付されているか、しっかり確認する必要があります。

法定書面の不備がある場合

次に、法定書面に不備がある場合も注意が必要です。

最近の法改正によって、クーリングオフの通知は書面だけでなく、メールなどの電磁的記録でも行えるようになりました。

しかし、契約書面に「書面または電磁的記録によりクーリングオフができます」と明記されていない場合、契約書面に不備があるとみなされ、クーリングオフの期限は無期限となります。

よくあるケースとして、以前の「書面によるクーリングオフ」の文言がそのまま使われ、法改正に伴う「電磁的記録」への対応が抜けてしまうことがあります。

これにより、正しい契約書面が提供されていないとされ、消費者はいつまでも契約を解除できる状況になってしまうのです。最新の法規制に基づき、契約書の内容を必ず確認しましょう。

メールでの契約書面交付時に承諾を得ていない場合

さらに、契約書面をメールで交付する場合は、消費者からの事前承諾が必要です。

従来、契約書は紙で交付することが原則でしたが、現在では消費者の同意があれば、メール等での交付も可能です。しかし、この同意を得ずにメールを一方的に送ることは認められていません。

この承諾の手続きには細かいルールがあり、消費者庁のガイドライン「契約書等に記載すべき事項の電磁的方法による提供に係るガイドライン」に従って進める必要があります。

もし、正しい承諾を得ずにメールで契約書を送ってしまった場合、法的には契約書面を交付していないとみなされ、無期限にクーリングオフが可能となるのです。

まとめ

特定商取引法は、訪問販売や電話勧誘販売、特定継続的役務提供、通信販売などのビジネスモデルに対して厳しい規制が設けられており、これを遵守しない場合、重大なリスクが発生する可能性があります。

また、特定商取引法に関する最新の改正点を理解し、それに基づいたビジネス運営を行うことで、消費者からのクレームやトラブルを未然に防ぐことが可能です。

自社のビジネスモデルが特定商取引法の対象となるかを確認し、適切な法的対応を行うために、専門の弁護士などの専門家に相談することも検討する必要があります。

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