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サービス提供者がユーザーの取引を監視することは法律的にOK?
サービス提供事業者がユーザーを監視できる?
プラットフォーム上におけるユーザー(提供者及び利用者)間でのメッセージのやり取り等に関する監視行為は、ユーザーのプライバシー権等を侵害する可能性があるところ、そもそもこのような監視行為は可能なのでしょうか。
この点について直接的に判断された裁判例等は存在しませんが、従業員に対するメールの監視行為等の違法性について判断した裁判例では、「監視する職務上の合理的必要性が全くないのに専ら個人的な好奇心等から監視した場合あるいは社内の管理部署その他の社内の第三者に対して監視の事実を秘匿したまま個人の恣意に基づく手段方法により監視した場合など、監視の目的、手段及びその態様等を総合考慮し、監視される側に生じた不利益とを比較衡量の上、社会通念上相当な範囲を逸脱した監視がなされた場合に限り、プライバシー権の侵害となる」とされています。
この裁判例を参考に検討すれば、プラットフォーム上のメッセージ等のやり取りの監視行為も、その目的が正当(本来保護されるべき情報を守り、取引におけるトラブルを防止するためといったプラットフォーム秩序維持目的)で、社会通念上相当な範囲を逸脱していない限りは被監視者のプライバシー権を侵害せず、可能ということになると考えられます。
社会通念上相当な範囲とは
では、ここでいう「社会通念上相当な範囲」とは一体どのような範囲をいうのでしょうか。この点について、明確な基準があるわけではありません。ただ以下のような事項を考慮することになります。
- 利用規約における明記
- メッセージ機能内における注意喚起
- 必要最小限の監視行為
これらを遵守していれば、社会通念上相当な範囲の行為であると認められると考えてよいでしょう。
利用規約の例
ベビーシッターのマッチングプラットフォームであるキズナシッターでは、利用規約(6条2項参照)「メッセージツールは、依頼者とシッターとの間でシッティングサービスの利用及び提供のために必要な連絡をする目的で提供されるものであり、ユーザーは、当社が本サービスの適正な運営、管理のために必要と判断する場合には、ユーザーの事前の承諾なくメッセージツールの内容等を確認することがあることを承諾します。」とし、外部業者と提携してトラブル防止のためにパトロールをすることを公表しています。
注意喚起の例
また、利用規約だけではなく、ユーザーインターフェース上でも常に運営会社の方でメッセージ内容を確認していることを知らせる注意喚起を行うことも重要でしょう。
株式会社スペースマーケットが運営する「スペースマーケット」の例
メッセージを入力
※メッセージは必要に応じスペースマーケットで確認してます。
その他の注意点
他には、電気通信事業法の規制への対応が挙げられます。クローズドチャット機能を設けて利用者間でメッセージのやり取りをできるようにするためには、電気通信事業者としての届出又は登録が必要になるところ、これに対応できていないプラットフォーム事業者が意外に多いというのが現状ですので、注意が必要です。
届出又は登録のいずれが必要であるか、必要であるとしてどのような手続が必要かについては、サービスにおける機能に合わせて検討することが重要です。