メニュー

\ チャンネル登録者数 16,000人を突破 /

収納代行業者(決済代行)の法律改正(資金移動業)を解説

課金サービスに必要な法律

2025年に予定されている資金決済法の改正は、収納代行サービスを提供する事業者、特に中小・中堅規模の事業者に大きな影響を及ぼします。本記事では、この改正の背景や具体的内容、資金移動業に該当するケースの判断基準、クロスボーダー取引(国際送金)に関する新たな規制、および登録・監督体制の見直しについて解説します。さらに、改正法の経過措置・スケジュールと、収納代行業者が取るべき実務上の対応策についても詳しく説明します。

目次

改正の背景:マネロン対策と国際的要請

今回の資金決済法改正の大きな背景には、マネー・ローンダリング対策(AML/CFT)やFATF(金融活動作業部会)からの勧告といった国際的要請があります。従来、日本では「収納代行」と呼ばれるビジネスについて明確な規制がなく、条件を満たす限り資金移動業(いわゆる送金業)の登録を不要と扱ってきました。しかし国境をまたぐ収納代行(クロスボーダー収納代行)については、資金の流れが複雑になりやすく、利用者保護上の問題やマネロン・テロ資金供与リスクが高いと指摘されていました。国際的にも、FSB(金融安定理事会)による2024年の報告書で「同じ活動・同じリスクには同じ規制を適用すべき」との原則が示され、クロスボーダー送金に対する比例的な規制・監督が求められています。こうした流れを受け、日本でも国際基準に見合う規制整備が急務となりました。

特に社会問題化したのがオンラインカジノへの送金です。国内から海外の違法オンライン賭博サイトに利用者資金が流れるケースで、収納代行スキームが悪用されているとの指摘があります。このような違法行為に対処する必要性や、FATFからの「送金分野の規制強化」勧告も背景にあり、2025年改正ではクロスボーダー収納代行への規制適用が盛り込まれるに至りました。

資金移動業に該当するケースの判断基準

収納代行(集金代行)と資金移動業の違いを正しく理解することが重要です。簡単に言えば、「預かったお金の行き先」が判断基準となります。以下の点をチェックしましょう

いつ決済が完了するのか

利用者(支払人)から預かったお金を、その委託元である債権者(本来受取人)だけに速やかに引き渡すのが、典型的な「収納代行(代理受領型)」です。この場合、お金の流れは利用者→代行業者→債権者という一方向で完結し、第三者への送金は行われません。契約上も、利用者が代行業者に支払った時点で債務が弁済されたものとみなされ、利用者に二重払いのリスクがないように設計されます。このような代理受領型収納代行であれば、基本的に資金移動業の登録は不要と整理されています。

第三者への送金を行うか?

預かった資金を委託元(債権者)以外の第三者へ渡す場合、それは**「為替取引」**すなわち資金移動に該当します。典型例として、個人間送金(P2P送金)やエスクローサービス、国際送金などが挙げられます。たとえば:

個人Aから依頼を受けて代行業者が個人Bに送金する「割り勘アプリ」等のサービス
海外の顧客から代金を集金し国内事業者に送金したり、その逆を行う国際送金サービス
フリマアプリなどCtoCプラットフォームで買い手から預かった代金を商品到着後に売り手へ支払うエスクローサービス

これらは資金移動業とみなされる可能性が極めて高い類型です。したがって、サービス内で第三者への送金機能を提供する場合、資金決済法に基づき内閣総理大臣(実務上は各財務局・財務支局)への資金移動業登録が必須となります。

資金の滞留・プールの有無も要注意です。ユーザーから預かった資金を口座残高にチャージさせたり、一時プールして後日まとめて送金する仕組みは、場合によって資金移動業や前払式支払手段の規制対象となります。例えばユーザーに電子マネー的な残高を貯めさせる場合、一定額を超えると前払式支払手段の届出・登録が必要になるなど、別の法規制の問題も生じます。

以上の観点から、自社サービスのスキームを点検し、「預かったお金をどこへ、どう流すのか」を整理することが重要です。利用者から預かった資金が委託元以外へ動くようであれば、それは無登録で営めば違法となり得る資金移動業に該当する可能性があります。少しでも該当性に疑義がある場合は、決して無登録のまま事業を開始・継続せず、法律の専門家や所轄の財務局に相談することを強くおすすめします。

2021年の制度改正による影響

収納代行のうち、受取人が個人である類型(例えば個人間送金に近いサービス)については、実は令和2年(2021年)改正で既に資金移動業として登録義務が生じることが明確化されています。一方、法人・事業者向けの収納代行については従来、契約上の工夫次第で規制対象外となる余地が残されてきました。今回の2025年改正では特に国境を跨ぐ取引に焦点が当てられており、海外送金を伴う収納代行は原則として資金移動業に該当する方向へ舵が切られています。次章で詳しく見ていきましょう。

クロスボーダー取引に関する新たな規制(クロスボーダー収納代行の資金移動業該当化)

2025年改正資金決済法により、クロスボーダー収納代行が原則として「為替取引」(資金移動業の対象)に該当することが明文化されます。改正法の条文(第2条の2第2号)では、「商品・サービスの取引成立に関与しない者」が行う国内⇆国外間の資金移動(収納代行の形式をとるもの)は、資金移動業の規制対象となる旨が規定されました。簡潔に言えば、取引の決済部分だけを担う純粋な収納代行で、送金の一方が国外に絡む場合には、銀行免許か資金移動業の登録が必要になるということです。これは従来、「適切に構成すれば規制対象外」と考えられていたクロスボーダー収納代行の事業者にとって、大きな制度転換となります。

この法改正は2025年に成立しており、2026年6月までには施行される予定です。

具体例として、以下のようなケースが規制対象となり得ます:

①海外オンラインカジノの賭金の収納代行:違法性が高く真っ先に規制対象とされています。
②海外投資案件(海外への出資金集め)の収納代行:これもマネロン等のリスクが高い類型で、摘発がされやすい累計です。
③海外EC取引事業者から委託を受け、決済だけを行う収納代行:海外の通販サイト等の売上代金を、日本の代行業者が集金して送金するケース。
④インバウンド旅行者の国内支払いのための収納代行:例として海外の電子決済手段(海外版○○Payなど)から資金を受け、日本国内の加盟店に代金を渡すようなサービス。

これら③④の類型については、現在それらを営む事業者の多くが資金移動業の登録をしていない(または登録していても当該サービスを含めていない)と考えられるため、改正による影響が特に大きいと指摘されています。事業モデルによっては「資金移動業者」への転換が必須となるため、経営者は対応を迫られるでしょう。

規制対象となる行為者:多段階スキームの場合

クロスボーダー収納代行では、資金の流れに複数の事業者が関与する場合があります(例:海外企業Eから委託を受けた国内企業Bが一旦資金を受け取り、さらに国内企業CがBから委託を受けて最終的に資金を海外Eに送る、など)。

改正法では、二段階以上の委託を受けた事業者についても規制の定義に含めており、単に受取人から直接委託を受けた事業者だけでなく、中継的な事業者も「為替取引」を行う者に該当し得ます。もっとも、実務上関与する全ての事業者に登録を求めるのは非現実的であるため、一つの事業者だけが資金移動業登録を行い、その他はその委託先(サブ契約者)として整理される運用が想定されています。特に国境に最も近い部分を担当する事業者(上記の例でいえば事業者C)がライセンスを取得するのが基本となるでしょう。実際にどの事業者が登録すべきかは、今後公表される金融庁の事務ガイドライン等で明確化が図られる見込みです。

規制対象外となる例外類型(適用除外)

改正法ではクロスボーダー収納代行を原則規制対象としましたが、「利用者保護等の観点からリスクが低い」と考えられる場合には規制対象外とする余地も規定しています。具体的な適用除外類型は政省令で定められる予定ですが、金融審議会ワーキング・グループ報告等から以下の類型が挙げられています。

① プラットフォーム事業者等が取引成立に関与する場合

ECマーケットプレイスの運営者や委託販売業者など、金銭債権の発生原因(売買契約等)の成立に不可欠な役割を果たす事業者による収納代行です。こうしたプラットフォーマーは取引自体の仲介者でもあり、資金回収の確実性を高めていることから、リスクが比較的低いと評価されています。現行制度でも、受取人が個人となる収納代行について同様の規定(資金決済法施行規則1条の2第3号ロ)があり、この趣旨をクロスボーダーにも拡張して適用除外とする方向です。例えば自社ECプラットフォーム上で決済を完結させる場合などは、この適用除外に該当する可能性があります

②受取人と経済的一体性のある事業者による収納代行

受取人との資本関係など経済的一体性が認められる事業者が行う場合は、AML/CFTや業務管理上のリスクがさほど高くないため規制の必要性は低いとされています。典型例は親会社や子会社がグループ内の他社の代金回収を行う場合で、実質的に受取人自身が資金を受領するのと変わらない状況です。少なくとも親子会社間での収納代行は適用除外となる方向で、省令で明文化される見通しです。グループ企業間の取引で第三者を介さないケースは、リスクが低いとして除外が期待されます。

問題はどこまでの資本関係があれば、「経済的一体性が認められる」かです。この点については、明文化されていませんが、20%程度の資本が入っていれば、両社はグループ会社といえ、、「経済的一体性が認められる」と考えてよいと思います。

クロスボーダー収納代行をしている事業者で、法改正後も資金移動業の適用を受けたくない事業者は、委託元と収納代行事業者で資本関係(グループ会社化)を結ぶのも一つの手段でしょう!

以上の適用除外がどこまで広く認められるかは、2025年改正資金移動業施行規則等の内容次第です。業界からも、新興ビジネスが萎縮しないよう柔軟な除外を求める声(新経済連盟やFintech協会による意見書提出など)が上がっており、国会の附帯決議でも「必要な場合以外規制対象としないよう配慮すること」と求められています。したがって最終的にどのような類型が除外となるか、今後公表される正式な政省令・ガイドラインを注視する必要があります。

課金サービスに必要な法律

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次