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二次元・AIアダルト表現の法律的注意点

【弁護士が解説】SES契約が法律的に違反にならないためのポイント

アニメ・漫画・ゲーム、そしてUGC(ユーザー投稿)や生成AIによるイラストが当たり前になった現在、「実在しない未成年らしさ」を帯びた表現をどこまで取り扱ってよいのかという相談が増えています。

結論から言うと、日本法は児童ポルノ禁止法(以下、児ポ法)が「実在の18歳未満」を中心に保護する構造のため、いわゆる二次元やAI生成のみで完結する未成年表現は、原則として児ポ法の直接の罰則対象には当たりません。

しかし、ここで「安全」と判断するのは極めて危険です。刑法175条(わいせつ物頒布等罪)、各都道府県の青少年健全育成条例、プラットフォームや決済事業者の厳しい利用規約、さらには名誉・プライバシー・パブリシティ等の人格権の観点が、ビジネス実務では強く効いてきます。

海外配信を行う場合には、そもそも二次元の児童性的描写自体を処罰対象とする国もあり、日本国内での感覚のまま運用すると、想定外の停止や賠償、アクセス遮断に直面します。

目次

児童ポルノ禁止法

まず、全体像を把握しましょう。多くの方が最初に気にされる児ポ法は、実在児童の性的搾取からの保護を目的とし、写真・動画等に実在の18歳未満が関与することを前提に規制が組み立てられています。

そのため、二次元やAI生成のみによる架空キャラクターであれば、児ポ法による直罰は通常想定されません。ここだけを切り取れば安心に見えますが、事業運営上、実際にボトルネックになるのは別のところにあります。

第一に、刑法175条のわいせつ規制は、実在・非実在を問いません。性器等の具体的・露骨な描写や、全体として不必要に性刺激性が強い表現の頒布・販売・公然陳列は、二次元であっても処罰の射程に入る可能性があります。しかも、キャラクターの設定や造形が「未成年らしさ」を強く示唆する場合、社会的許容性の評価は厳しい方向へ傾きやすく、わいせつ該当性の判断に不利に作用します。モザイク等の技術的修正の有無のみで安全性を判断しないことが重要です。

青少年健全育成条例

青少年健全育成条例の存在を軽視できません。
これは刑事罰で直接取り締まる性質のものというより、流通管理や販売区分を通じて18歳未満へのアクセスを制限する仕組みです。

自治体により定義・基準・運用が異なるため、全国販売・配信を想定するなら、東京都等の主要自治体の基準を参照しつつ、全国で統一的に適用可能な社内ルールを設計するのが必要です。紙媒体だけでなく、ECの商品ページ、ダウンロード販売、ストリーミング配信、広告用サムネイルやパッケージの表現にも目を配る必要があり、年齢確認の仕組みや区分陳列、配送方法の秘匿性確保など、運用の作り込みが結果的に法的・社会的な安全弁になります。

プラットフォームや決済事業者の規約

プラットフォームや決済事業者の規約が、現実には最も厳しい関門になることが少なくありません。
各種ストアや配信サイト、広告ネットワークは、児童性的表現の疑いがあるコンテンツに対して、二次元か実写かを問わず非常に保守的です。

さらにクレジットカード会社や決済代行の利用規約は、法令以上に広く「未成年様相の性的表現」を禁止している場合が多く、事後のアカウント停止や決済停止は、事業継続に直結する問題となります。
法令適合だけでは運営できず、取引先の規約に合わせて社内ガイドラインを上書きしておくことが現実的です。

生成AIやディープフェイク領域

生成AIやディープフェイク領域では、実在人物の肖像や名前、キャラクター性を「若年化」したり、未成年設定を付して性的文脈に置く行為が、名誉感情侵害やプライバシー侵害、パブリシティ権侵害として不法行為責任を生む可能性があります。

被害申告が来た場合、現在は発信者情報開示の枠組みが整備され、運営側のログ保存や通報対応のスピード、再発防止策の整備が問われます。実在人物を連想させる意匠や記号を安易に用いない、通報窓口を明文化する、判断根拠ややりとりを記録化しておくことが、後日の紛争予防に直結します。

事業者が行うべき対策

以上を踏まえ、事業者側で取り得る実務的なアプローチを、運用の流れに沿って説明します。

「未成年表現」を避ける

まず、企画・制作段階で守るべき原則は明快です。キャラクターの設定や商品説明、タグやサムネイル等の全ての接点において、「未成年である」と受け手に想起させる表現を避けることです。

制服や園児風の小道具、幼児的体型の強調など、複数の要素が重なると、見かけ上の年齢感は一気に下がります。「18歳以上」と記載しているから大丈夫、という理屈は通用しないことを前提に、ビジュアルとテキストの双方で一貫した方針を徹底します。

わいせつ性の社内基準を定める

次に、わいせつ性の社内基準を定めます。性器等の具体的描写の程度、行為の露骨さ、暴力性や強制性の示唆がないか、全体として不必要に強い性刺激性を与えないかなどを、主観に頼らず、専門家による相談のもと、言語化・スコア化しておくことがポイントです。

ECでは、商品画像やサムネイルにおける強い性的強調を避け、広告ネットワークの審査に耐える表現へ事前に最適化しておくことが、掲載拒否やアカウント停止を防ぐ近道です。
配送に関しては、梱包の秘匿性や送り状の表記など、利用者のプライバシー配慮を標準化しておくことで、苦情対応コストの削減にもつながります。

通報、削除対応を決めておく

運用時の安全弁として、通報・削除のSOP(標準手順書)を整備しておくことは、法的にもビジネス的にも効果的です。通報フォームを明示し、受付から一次判断、暫定非公開、最終判断、再発防止策までの流れを時間軸で区切ります。判断に用いた資料やログは一定期間保存し、必要に応じて説明可能な状態にしておきます。

再犯ユーザーや悪質事案に対する段階的な制裁(投稿制限、アカウント停止、IPブロック等)を規約で明確にしておくことも必要です。

海外対応は、もっと厳しい!

ここまで国内の枠組みに重点を置いてきましたが、海外配信や越境販売を行うなら、最終的な判断は「最も厳しい地域の基準」に合わせるのが安全です。英国や一部EU、豪州など、二次元の児童性的描写そのものを刑事規制の対象にしている国があります。技術的にはマルチリージョンのCDNやクラウドで配信していても、配信先の法が適用されれば、現地での違法性が問題化します。

対策としては、配信と販売にジオブロックを設定し、対象外の国・地域を明確に除外しておくこと、国別のNG表現と年齢確認・広告ルールを熟知すること、現地決済のAUPやアプリストアの審査基準を事前に確認しておくことが必要です。

事業者のよくある誤解

なお、実務でよくある誤解を二つだけ解説します。

ひとつは「キャラクターの年齢を18歳以上と明記しているから大丈夫」という考え方です。審査は、表現より外形と文脈の総合判断が重視されます。造形やストーリー、商品説明、タグ、サムネイルなどが未成年様相を強く示唆していれば、規約審査では簡単に否認され、決済や広告の停止も起き得ます。

もうひとつは「海外サーバーや海外法人にすれば日本法やプラットフォーム規約を回避できる」という発想です。日本居住者を主たるターゲットに頒布すれば日本法が適用されますし、配信先国の法は別途適用されます。さらに、プラットフォームや決済の規約はグローバルで適用され、地域逃れは通用しないのです。

【弁護士が解説】SES契約が法律的に違反にならないためのポイント

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