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ウェブサイト売買・譲渡系契約で注意すべき点を解説

IT企業のための法律

ウェブサイトの売買契約での注意点

M&A市場で意外と多いのがウェブサイトの売買です。

値段も数十万円のものからあり、購入しやすいのが特徴です。しかし、ウェブサイトの場合は、内情が事前に把握しにくいなどの難点があります。そこで今回は、ウェブサイトの売買契約での注意点について解説します。

譲渡対象の明確化

ウェブサイトを譲り受ける場合において、ウェブサイトにはコンテンツ、登録ドメイン、運営ノウハウ、運営上の契約関係等多数の権利が関係しています。

画像、 デザイン、動画、文章等について必ずしも当該ウェブサイトの権利保有者が著作権を有しているわけではなく、第三者である著作者から使用許諾を得ているだけである可能性もあります。

そのような場合には、その使用許諾に関する契約・権利関係について、ウェブサイト売買後も継続されるか、承継されるか等の確認が必要となります。

また、ウェブサイトは継続的にコンテンツをアップデートしなければなら ないことが通常であると考えられますが、それらコンテンツ作成が外注され ている場合に、その外注先との契約関係が引継ぎ可能かにも注意が必要です。

登録ドメイン名に関する権利の譲渡の可否、登録移転手続の確認も重要となります。

運営ノウハウについて引き継ぐことも想定されますが、単にマニュアル書面の引継ぎのみでは実際の運営が難しいことも少なくなく、M&A実行後の一定期間の売主からの指導に関する取り決め等を明確化しても良いでしょう。

サイト価値の各指標のチェック

ウェブサイトの譲渡価格は、コンテンツの内容、収益性、 PV数、UU数、登録会員数、被リンク数等の要素を検討して決定されることとなります。

売買価格については個別具体的な交渉・判断となるところですが、例えば、直近6か月の平均月間利益 ×18~24か月分などとして売買価格を決定する等があります。

ウェブサイトの各指標は上記のとおり価格決定等の重要な要素となります が、これら指標を偽装するといったことも存在します。

また、検索エンジンにおいて現状上位表示されているものの、ブラックハットSEO等により一時的に上位表示がなされているものもあり、潜在的に検索エンジンよりペナルティを受け得る状態であるなどの問題点も存在します。

したがって、ウェブサイト売買前のサイトの技術的な面でのデューデリジェンスも重要となり、また、デューデリジェンスの限界を補う意味で、契約上、それら指標に関する資料や不当・不適切なSEO対策を行っていないことに関する表明保証を行わせることなどが検討されます。

ウェブサイトコンテンツの権利関係

ウェブサイト内のコンテンツについて全てウェブサイトオーナーの制作により著作権も全てウェブサイトオーナーが保有していることはむしろ少ないかもしれません。

ウェブサイト内のコンテンツについてウェブサイトオーナー以外の第三者の著作権等の権利が存在する場合には、当該第三者が権利を保有する画像、動画、文章などの著作物について使用許諾を得ているという状態が予測されます。

その他、それらについてウェブサイトオーナーと著作権者間で取り決 めがない、曖昧な取り決めしかないという状態もあり得ます。

そのような場合には、買主としては、ウェブサイト売買の前に、売主にお いて、それら全ての著作権等の権利の譲受や、使用許諾に関する契約を引き継ぐ段取りを整えておいてもらう必要があります。

ウェブサイト運営に関する外部契約の承継

ウェブサイト運営にあたっては、コンテンツの作成・更新、これら運営業務についてウェブサイト売買を機に内製化又は買主の起用する新規業者へと移行する場合の他、従前の運営・契約関係を承継したいという場合もあると考えられます。

買主としてこれら外部委託等の契約関係の承継を望む場合には、スムーズな承継が可能となるよう売主側に、それら契約関係の承継の手配を義務付け ることが検討されます。

競業避止義務

売主は対象となるウェブサイトを制作し、その事業を運用していたわけで すから、同様のウェブサイトを制作し事業を運営するノウハウを持っています。

このような状況の中で、ウェブサイトの売買の後に、売主が売買対象となるウェブサイトと同様のウェブサイトを再度制作しその事業を運営してし まっては、買主にとって損害となります。

そこで、買主としては、売主に対し、売買対象と同様のウェブサイトの制作・運営、売買対象ウェブサイトと同様の事業を行うことを禁止する必要があります。