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おとり広告ってOK?その基準を弁護士が解説【2023年12月加筆】

IT企業のための法律

おとり広告はOKなの?

優良誤認表示や有利誤認表示の規制は、(広告された品質や取引条件が虚偽であるとはいえ)広告された商品が購入できることが大前提となっています。

しかし、広告された商品が実際には購入できないという場合もあります。おとり広告を的確に規制できるようにするため、景品表示法5条3号に基づき「「おとり広告に関する表示」(平成5年公正取引委員会告示第17号)[PDF: 56KB]」が定められています。

おとり広告告示では、自社が展開するサービスに顧客を誘引する手段として行う、次の各号に掲げる表示は不当表示とされています。

  1. 取引の申出に係る商品・サービスについて、取引を行うための準備がなされていない場合その他実際には取引に応じることができない場合のその商品商品・サービスについての表示(おとり広告告示1号)
  2. 取引の申出に係る商品・サービスが著しく限定されているにもかかわらず、その限定の内容が明瞭に記載されていない場合のその商品又は役務についての表示(おとり広告告示2号)
  3. 取引の申出に係る商品商品・サービスの供給期間、供給の相手方又は顧客一人当たりの供給量が限定されているにもかかわらず、その限定の内容が明瞭に記載されていない場合のその商品又は役務についての表示(おとり広告告示3号)
  4. 取引の申出に係る商品商品・サービスについて、合理的理由がないのに取引の成立を妨げる行為が行われる場合その他実際には取引する意思がない場合のその商品又は役務についての表示(おとり広告告示4号)

『おとり広告に関する表示』等の運用基準[PDF]」(平5・4・28公取委事務局長通達第6号、変更:平28.4.1消費者庁長官決定。「おとり広告運用基準」)が定められている。

おとり広告運用基準

おとり広告告示1号の「取引を行うための準備がなされていない場合」

  1. 当該店舗において通常は店頭展示販売されている商品について、広告商品が店頭に陳列されていない場合
  2. 引渡しに期間を要する商品について、広告商品については当該店舗における通常の引渡期間よりも長期を要する場合
  3. 広告、ビラ等に販売数量が表示されている場合であって、その全部又は*一部について取引に応じることができない場合
  4. 広告、ビラ等において写真等により表示した品揃えの全部又は一部について取引に応じることができない場合

告示2号の広告商品等の供給量が「著しく限定されている」場合

広告商品等の販売数量が予想購買数量の半数にも満たない場合を指すとされています。

告示2号、3号の規定により、供給量や供給期間等に限定がある場合、限定の内容が明瞭に記載されていない場合には不当表示に該当することになるが、その場合、これらが限定されている旨の記載では不十分です。

  • 販売数量が著しく限定されている場合には、実際の販売数量が当該広告、ビラ等に商品名等を特定した上で明瞭に記載されていなければならない。
  • 供給期間、供給の相手方又は顧客一人当たりの供給量の限定については、実際の販売日、販売時間等の販売期間、販売の相手方又は顧客一人当たりの販売数量が当該広告、ビラ等に明瞭に記載されていなければならない。

告示4号の広告商品等の「取引の成立を妨げる行為が行われる場合」

結果として広告商品等の取引に応じることがあったとしても、告示4号に該当するとされている。

  1. 広告商品を顧客に対して見せない、又は広告、ビラ等に表示した役務の内容を顧客に説明することを拒む場合
  2. 広告商品等に関する難点をことさら指摘する場合
  3. 広告商品等の取引を事実上拒否する場合
  4. 広告商品等の購入を希望する顧客に対し当該商品等に替えて他の商品等の購入を推奨する場合において、顧客が推奨された他の商品等を購入する意思がないと表明したにもかかわらず、重ねて推奨する場合