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民法改正で「契約解除」の規定が変わる!契約書の記載に要注意!

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民法改正で、契約解除の規定が変わる

2020年4月1日から、改正民法がスタートします。

その中で、今回は、改正民法における契約解除について、解説します。

例えば、以下の事例を見てみましょう!

ケーススタディ

甲社(売主)は、4月1日、乙社(買主)との間で、サーバを200万円で購入する売買契約を締結した。

乙社は、甲社に対して、同日代金を支払った。サーバの引渡日は、4月15日と定められた。

しかし、引渡日当日、甲社の社員がサーバを乙社に搬入する際に、部品の一部が破損してしまった。

乙は契約を解除して、甲社に対して、代金の返還を請求できるのだろうか?

甲社のせいで、破損したのであれば、乙社は契約解除できます

しかし、例えば、甲社の社員が搬入しようとした際に、地震がきて、それに商品の一部が破損した場合(甲社に過失がない場合)には、どのようになるのでしょうか?

契約解除に帰責事由が不要に

「現行法」では、解除のためには、債務者の帰責事由(過失など)が必要とされていました。

つまり、上記事例でいうと、搬入の際に地震がきて、サーバが破損した場合には、買主である乙社は、解除できません。

しかし、改正法では、解除するためには、債務者の帰責事由が不要とされました。過失などがなくても、解除できるようになったのです。

上記事例でいえば、どのような理由であれ、甲社がサーバを搬入できないのであれば、契約解除責任を負うということになったのです。

軽微な場合には、契約解除ができない

一方、今回の民法改正で、契約不履行の限度が、軽微であった場合には、解除できないという規定も盛り込まれました。

つまり、上記事例でいうと、サーバの破損状況が軽微であれば、甲社は解除できないことになるのです。

何が、軽微に当たるのかは、今後の裁判例を見る必要がありますが、上記事例で、サーバに少し傷がついた程度では、解除できないとなる可能性が高いです。

契約書の記載に注意!

上記は、契約書によって、変更することも可能です。

現状の契約書で「解除」条項の中に「債務者の責めに帰すべき事由がある場合に、契約解除ができる」とされていることが多いです。

こちらの規定は、債権者(請求する)側であれば、削除した方がよいでしょう。改正民法では、帰責事由が必要なくなったからです。

一方、債務者側であれば、残しておくことが必要でしょう。

契約書に「責めに帰すべき事由がある場合」が記載していなければ、債務者側としては、追記することも検討しましょう!