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EA(自動売買ツール)販売・IB活動の法律リスクと適法ライン 金融商品取引法の観点から弁護士が解説

課金サービスに必要な法律

「EAを売っているけど、投資助言業の登録が必要なのか不安」「IB活動をしているが、法律的に問題ないか確認したい」こうした相談が、最近急増しています。

結論から言います。EA販売については、ロジック改良アップデートを配布しない売り切り型であれば、投資助言業の登録なしで適法に販売できます。一方、海外未登録FX業者へのIB活動(送客)は、形態によっては金融商品取引法違反になる可能性が高く、直ちに見直しが必要です。

元IT企業経営者でもある私が、実際の相談事例をベースに、EA・IB事業者が知っておくべき法律の境界線を実務的に解説します。

目次

1. EA・IB活動の適法性マップ(一覧)

まず全体像を把握するため、主な活動ごとの法的判定を整理します。

活動内容判定ポイント
売り切り型EA販売(ロジック改良アップデートなし)条件付きOKアップデート停止が条件。バグ修正・UI改修は可
ロジック改良アップデートの継続配布NG投資助言業の登録なしに継続は法令違反リスク
口座開設を条件にEAを無料提供(活動A型IB)NG実質的な媒介行為と評価される可能性が高い
YouTube紹介動画+特典付き紹介リンク(活動B型IB)NG特典付き送客は媒介行為の外形を備える
YouTube/XでのEA実績公開・情報発信条件付きOK将来利益保証的表現・具体的売買指南を避けること
投資助言・代理業の個人登録取得条件付きOK個人でも可だが、体制要件・純財産額要件あり

2. EA販売と投資助言業の境界線

「売り切り型EA」は登録なしでOK

金融商品取引法第2条第8項第11号が定める「投資助言業」とは、有価証券・デリバティブ取引等の投資判断(売買の種類・時期・方法・量等)を継続的に助言する業務です。

売り切り型でロジックを固定したEAの提供は、一度限りの「ツール(手段)の販売」であり、継続的に投資判断を助言する行為とは法的性質が異なります。したがって、ロジック改良アップデートを配布しないことを前提に、投資助言業の登録なしで適法に販売できます。

ロジック改良アップデートの配布はNG

注意が必要なのが、販売後のアップデートです。ロジック(売買条件・エントリー・エグジット条件)を改良したバージョンを既存ユーザーに継続的に配布することは、「新しい投資判断の方法を提供する行為」として、投資助言業に該当する可能性があります。

無登録での継続は、金融商品取引法第29条の違反(無登録営業)になる可能性があるため、直ちに中止することをお勧めします。

【OK・NGの判断基準】

「その修正により売買の結果(損益)が変わりうるか」が基準です。変わりうる場合はNGです。

  • OK:バグ修正(意図した動作への復元)、UI・表示改修(パラメータ表示等、売買条件に影響しないもの)、MT4/MT5バージョン対応等の技術的互換性修正
  • NG:エントリー条件・エグジット条件の変更、使用インジケーターや時間軸の変更、ポジションサイジング・リスク管理ロジックの変更

ロジック改良版を「新商品」として販売するのはOK

改良されたロジックを「v2.0」等の新商品として独立して販売することは、「新たな投資判断ツールの一回的な販売」であり、投資助言業には原則として該当しません。旧版購入者への大幅割引クーポン提供も、営業上の販促施策として適法です。

ただし、旧版と新版が実質的に「継続サービス」として一体評価されないよう、販売契約・利用規約上で独立した取引であることを明確化してください。「購入者は最新ロジックを永続的に受け取れる」という期待を生む表現は避けましょう。

3. IB活動の法律リスク:海外未登録FX業者への送客

IB活動そのものの問題

IB活動とは、FX業者に顧客を紹介し、その取引量に応じた報酬を得るビジネスです。一見シンプルな紹介ビジネスに見えますが、金融商品取引法上、金融商品取引業者の取引の媒介・取次行為を業として行う場合は登録が必要です。

特に問題となるのが、金融庁に未登録の海外FX業者への送客です。未登録業者への継続的な送客・取引媒介を行い、取引量連動の報酬を受け取る行為は、実態として「媒介行為の対価」と評価されます。関東財務局の警告事例においても、未登録海外FX業者への送客行為は繰り返し問題視されています。

「口座開設でEA無料」は特に危険

「指定ブローカーで口座開設すればEAを無料で使える」という形態は、EA利用(財産的価値のある特典)を口座開設と紐づける構造であり、ユーザーを特定のブローカーに誘導するための強いインセンティブとなります。

単に情報を提供するだけでなく、「EA無料利用」という具体的な利益提供を条件としている点が、通常のアフィリエイト的な情報発信を超えた媒介行為を構成します。「販売版も別途用意しているので選択の自由がある」という事実は法的評価において有利な事情にはなりますが、違法性評価を消滅させることにはなりません。

YouTube紹介動画の適法ライン

純粋なスプレッド・キャンペーン情報・口座開設手順の解説は、客観的情報提供として勧誘に該当しない可能性があります。しかし、以下の要素が加わると「勧誘」と評価されます。

  • 特典付き紹介リンクの掲載(インセンティブ付きの誘導)
  • 「キャンペーン中に開設すべき」等の行動促進表現
  • 継続的・組織的に同一業者を繰り返し紹介する態様

また、「気になる人はキャンペーン中の機会を逃さず」程度の促しであっても、限定性・緊急性を煽ることで特定業者での口座開設を促す表現として、積極的な勧誘に該当するリスクがあります。

4. SNS・YouTube発信活動の注意点

実績公開はOK、ただし表現に注意

EA の損益グラフ等、客観的な過去の運用実績の公開は、金融商品取引法上の「断定的判断の提供」(将来の利益を保証する表現)には該当しません。ただし、次の点に注意が必要です。

  • 「このEAを使えば必ず利益が出る」等の将来利益保証的な表現は避けること
  • 特に良い期間のみを選択的に表示するいわゆる「チェリーピッキング」は景品表示法上の有利誇示に該当する可能性がある
  • 「過去の実績は将来の利益を保証するものではありません」等の免責表示を必ず付記すること

投資助言との境界線:OK表現・NG表現

自分の運用方針を「一般的な情報・経験の共有」として発信することは、投資助言には該当しません。ただし、発言の実質で判断されることに注意してください。

NG表現例:「今週は○○でロングを仕込みます」(特定の取引タイミング・方向性の具体的な示唆)、「このパラメータ設定でやるべきです」(特定設定の推奨)

OK表現例:「私個人はリスク管理として○○という考え方を持っています」(一般的なスタンスの紹介)、「各自の資金・リスク許容度に応じてパラメータを設定してください」(選択を委ねる表現)

5. 適法な事業モデルへの移行パターン

現状のビジネスをリスクなく継続するために、3つの移行パターンを整理します。

【パターン1】最低限の対応

EA利用と口座開設の紐づけを停止し、YouTube動画の特典付き紹介リンクを削除または国内登録業者のアフィリエイトリンクに切り替えます。EA販売はロジック改良アップデートなしの売り切り型を継続。最小限の変更でリスクを大幅に軽減できます。

【パターン2】投資助言・代理業登録+サブスクモデル移行

投資助言・代理業の登録を取得した上でのサブスク型EA提供(継続的なロジック更新含む)は適法です。ただし、登録業者として適合性原則・書面交付義務等の行為規制を遵守する必要があります。IB活動(海外未登録業者への送客)の問題は解決しないため、別途対応が必要です。

【パターン3】IB全停止・EA売り切りのみ・国内FXアフィリエイト移行

IB活動を全面停止し、売り切り型EA販売(ロジック改良アップデートなし)に特化することは完全に適法です。金融庁登録済みの国内FX業者のアフィリエイト広告(紹介料収入型)は、一般的な広告代理活動として適法であり、ビジネスの継続性を保ちながらリスクをゼロにできます。

6. 投資助言・代理業登録を検討する場合

個人(個人事業主)での取得は法律上は可能ですが、以下の要件を満たす必要があります。実務上は1人法人化を経て申請することが一般的です。

  • 純財産額500万円以上(個人の場合も同様)
  • 業務管理者(投資助言業務の実務経験1年以上または同等の知識を有する者)を1名以上設置
  • 内部管理体制の整備(コンプライアンス体制)、苦情処理体制の整備

費用・期間の目安:法人設立費用(任意)約10〜20万円、登録申請準備(弁護士・行政書士費用)約50〜100万円、審査期間(申請受理後)通常2〜4ヶ月程度。

なお、投資助言・代理業の登録のみではIB活動(海外未登録業者への送客)は合法化されません。それぞれ別の登録・対応が必要です。

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