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副業あっせん・情報商材ビジネスの法務と損害賠償リスク対応ガイド

目次

副業あっせん・情報商材の概要と典型的ビジネスモデル

副業系の情報商材は、広い意味では「稼ぎ方(ノウハウ)を教える」「仕事を紹介する」「稼げる仕組みに参加させる」サービス群です。法務上は、実態により①役務提供(コンサル・サポート)、②デジタルコンテンツ提供(動画・教材・会員サイト)、③物品販売(仕入れ商品や教材と称する物品)、④仕事提供を口実にした負担(登録料・教材費等)に分かれ、ここを誤ると特定商取引法上の規制設計が破綻します。

「転売・物販サポート型」

「転売・物販サポート型」は、在宅で簡単に稼げる等の訴求で誘引し、会員制サイト利用+販売ノウハウ提供+商品購入をセットにする形です。行政処分例では、SNS投稿→LINE登録→通話で勧誘→商品売買契約+有償サポート契約、という組成が認定されています。

「業務提供誘引販売取引(内職・在宅ワーク型)」

「業務提供誘引販売取引(内職・在宅ワーク型)」は、「仕事を提供するので収入が得られる」と口実に誘引し、仕事に必要として商品・サービスを買わせる類型で、特定商取引法上は明確に定義・規制されています。

「スクール・塾(起業/投資/副業講座)型」

「スクール・塾(起業/投資/副業講座)型」は、動画教材+個別サポート+コミュニティ等の継続役務として高額化しやすく、解約・返金条件(違約金、返金不可条項)が争点化しがちです。電話勧誘で販売する場合は行政処分対象になり得ます。

「連鎖販売取引(マルチ/ネットワークビジネス)型」

「連鎖販売取引(マルチ/ネットワークビジネス)型」は、勧誘者を連鎖的に増やし、紹介料等の特定利益を得られるとして誘引し、入会金・商品購入等の特定負担を負わせる構造です。
この周辺で問題になりやすいのが、最初は別の契約として勧誘し、その後に紹介報酬等を提示する「後出しマルチ」で、裁判例解説では連鎖販売取引規定の適用や共同不法行為責任が論点化しています。

特定商取引法

特定商取引法は、訪問販売・通信販売・電話勧誘販売・連鎖販売取引・特定継続的役務提供・業務提供誘引販売取引・訪問購入の7類型を対象に、行為規制(広告、勧誘、書面等)と民事ルール(クーリング・オフ、取消し、損害賠償額の制限等)を定めています。通信販売には(原則として)クーリング・オフ規定がなく、代わりに返品ルールの設計・表示が実務の急所になります。

副業あっせん・情報商材で特に問題になりやすいのは、次の3類型です。

「業務提供誘引販売取引」

まず「業務提供誘引販売取引」は「仕事を提供するので収入が得られる」という口実で誘引し、特定負担を伴う取引をさせるものとして定義され、勧誘前の氏名等明示、禁止行為(虚偽・威迫等)、広告表示義務、誇大広告禁止、(一定の)メール広告のオプトイン、書面交付(概要書面・契約書面)、20日クーリング・オフ等が規定されています。
「在宅ワークで高収入」「テストに合格すれば仕事を提供する」等の典型相談例も公表されており、説明の具体性(収入条件、提供条件、解約条件)が欠ける設計は危険です。

電話勧誘販売

次に「電話勧誘販売」は、SNS等で誘導した後に電話で勧誘・成約する導線が該当しやすいです。行政処分例では、事業者名等の不明示や書面不交付、解約に関する不実告知等が違反として認定されています。

通信販売

さらに「通信販売」は、LP・申込フォーム・最終確認画面(いわゆる最終確認画面表示義務)と、返品特約の表示設計が重要です。通信販売における返品特約は、表示により特約が優先され得る一方、消費者に「見やすい箇所で明瞭に判読でき、容易に認識できる」表示が求められ、極小文字・埋没表示等は不適切例として整理されています。

消費者契約法

消費者契約法は、勧誘段階の不適切行為により一定の誤認が生じた場合の取消し(典型は不実告知・断定的判断・不利益事実の不告知)を規定し、民法の詐欺(96条)が成立しない場合でも取消し得る枠組みを用意しています。
副業商材では「必ず稼げる」「損しない」「確実に回収できる」等の断定・保証、収益条件の不告知(再現に必要な前提、追加費用、実際の難度など)が争点化しやすいです。取消しが成立すると、原状回復(支払金返還等)の請求が前提となり、返金請求に直結します。

また、条項規制として、事業者の損害賠償責任の全部免除などを無効とする規定(8条)や、消費者が支払う損害賠償予定額・違約金の上限を「平均的な損害」を基準に制限する規定(9条)、さらに民法の基本原則に反し消費者の利益を一方的に害する条項を無効とする一般条項(10条)があり、返金不可・高額違約金・一方的変更条項などの有効性を左右します。

重要な実務上の示唆として、最高裁は「不特定多数への働きかけ」であっても直ちに勧誘に当たらないとはいえない旨を判示しており、広告・チラシ等のマス向け表示でも、内容次第で消費者契約法上の「勧誘」として差止め等の対象になり得ます。

景品表示法

景品表示法は、不当表示として、品質・内容の優良誤認(5条1号)と、価格その他取引条件の有利誤認(5条2号)を禁止します。優良誤認は「実際のものより著しく優良」等と誤認させる表示に当たり、収益性・再現性を示す副業広告は、根拠が弱いと優良誤認表示にあたります。
有利誤認は「実際より著しく有利」等と誤認させる表示で、返金条件・解約条件・初期費用の見せ方(例:月額のみ強調し必須費用を隠す、条件付き返金を無条件に見せる等)が典型論点です。故意でなく誤って表示しても規制対象になり得る点に注意が必要です。

比較広告については、比較そのものを禁止するものではない一方、一般消費者に誤認を与えないための要件(客観的実証など)をガイドラインで示しています。副業系では「業界No.1」「再現性No.1」「成功率○%」等の表示が出やすいため、根拠資料(調査設計、母数、時点、比較対象)を準備できない場合は避けるのが安全です。

なお、景表法の執行は消費者庁が中心ですが、地域では公正取引委員会の事務所が調査権限の委任を受け運用状況を公表しています。

ステルスマーケティング規制

景表法上、2023年10月1日施行の指定告示により、いわゆるステルスマーケティング(広告であることを隠す表示)が不当表示(5条3号)として位置づけられました。地方自治体の措置命令事例でも、優良誤認と併せてステマ告示該当性が指摘されています。
副業系商材はインフルエンサー・アフィリエイト・レビュー誘導への依存度が高くなりがちなため、「誰が広告主体か」「広告であることが一般消費者に判別できるか」を、制作段階でルール化する必要があります。

著作権法

情報商材は、動画・テキスト・テンプレート・画像等の「コンテンツ」を中核資産とするため、著作権法上の保護対象(著作物の例示、プログラム等)や、侵害時の民事・刑事リスクが実務上重要です。[26]
一方で、企業側が第三者の著作物(YouTube素材、書籍、他社教材、フリー素材の利用条件違反等)を取り込んだ場合には、権利者から差止め・損害賠償請求を受ける側にもなり得ます。制作プロセスに権利処理チェックを組み込む必要があります。

主要判例・行政処分事例の整理

判例・行政処分の比較表

区分事例概要(要旨)判断のポイント実務上の示唆
行政処分(特商法)株式会社ディプセル/株式会社ウィリング(2025年1月)「在宅で簡単」等のSNS投稿から誘導し、電話で売買契約・役務提供契約を勧誘。事業者名等不明示、書面不交付、解除に関し不実告知などを理由に業務停止命令等。SNS→チャット→電話勧誘の導線が「電話勧誘販売」として認定され得る。解約・返金の説明は違反認定の核心。入口(SNS投稿)から契約類型を逆算して、表示・書面・解約対応を統一する。クーリング・オフ否定や返金拒否のトークは最優先で廃止。
行政処分(特商法)株式会社Myself(2025年2月)起業・物販・不動産投資ノウハウの動画コンテンツ+サポートを電話で勧誘。書面記載不備、解除時の対応(履行拒否、迷惑を覚えさせる妨害)等で業務停止命令等。「返品不可」「解約不可」以前に、法定書面の整備と解約受付の運用が行政処分リスクを左右。コールセンター/CSが解約窓口になっている場合、スクリプト・ログ・返金フローを法令準拠で設計する。
行政処分(特商法)DEAN株式会社(2021年・関東経産局)バイナリーオプションに関するUSBメモリ等の情報商材販売で特商法違反として業務停止命令・指示等。投資系ノウハウは「利益が出る」訴求と結びつきやすく、誇大・不実説明や書面不備が露呈しやすい。収益表示は「実証・前提条件・リスク」をセットで。返金条件・解除条件の透明性が必須。
裁判例(消契法・条項無効)東京高等裁判所2022年11月10日(予備校教材転売)教材転売禁止違反に対し「受講料10倍又は500万円」の違約金条項。控訴審で5万円超部分を無効(消費者契約法10条の枠組みで合理的範囲に制限)。高額違約金+損害賠償別途請求の設計は、過大と評価されやすい。損害立証が薄いと大幅減額。「返金不可」「違約金○百万円」など威圧型条項は、抑止目的でも限度。段階的・合理的根拠を作る。
裁判例(消契法・勧誘概念)最高裁判所 2017年1月24日折込チラシ配布が消費者契約法上の「勧誘」に当たるかが争点。広告が不特定多数向けでも直ちに除外されない旨を判示。LP・広告・セミナー動画など「個別面談前」の表示も、法的評価の射程に入る。広告審査は「販売前段階だから軽い」ではなく、契約締結に影響する表示として同水準で設計
裁判例(後出しマルチ)国民生活センター解説(2024年3月)「後出しマルチ」型の複合契約につき、連鎖販売取引の適用や共同不法行為責任等が論点化。若年者に借入させる等、悪質性の高い構造が指摘勧誘者個人だけでなく、販売会社や経営者層が共同不法行為として追及され得る「紹介料」「組織拡大」要素が後から入る設計は、法適用と責任範囲が一気に重くなる。

違法・不当表示と判断される典型パターンとリスク評価

典型的な「違法・不当」パターン

副業あっせん・情報商材で評価が厳しくなりやすいのは、次の類型です。

第一に、「解約・クーリング・オフ・返金」に関する虚偽説明です。行政処分では、解除に関する事項につき不実のことを告げる行為が明示的に違反認定されています。
このタイプは、CS対応の一言(「返金は一切できません」「事業者なのでクーリング・オフはありません」等)が、行政・民事の両方を一気に引き起こすため、最優先で是正対象になります。

第二に、「収益に関する断定・再現性の過大訴求」です。消費者契約法上は断定的判断の提供として取消しの対象になり得ますし、景表法上も実態より著しく優良(稼げる性能)と誤認させる表示として優良誤認に当たり得ます。
収益表示をどうしても使う場合、比較広告に準じた「客観的実証」と、条件(作業時間、初期費用、スキル、失敗率等)の明示が不可欠です。

第三に、「重要条件の隠蔽・埋没」です。通信販売では、返品特約や契約解除に関する条件を「見やすく明瞭に」表示することが求められ、極小文字・遠い場所・他表示への埋没は不適切例として整理されています。
副業商材は「月額だけ強調」「初期費用・長期契約・追加課金を最終画面の隅に表示」などが起こりやすく、ここが炎上・返金請求の起点になります。

第四に、「ステマ(広告性の不明示)」です。自治体の措置命令でも、SNS等から遷移したアフィリエイト広告で、広告であることが判別困難な表示が問題とされています。
インフルエンサーに委託する場合は、表示主体(広告主)としての統制が問われる前提で契約・運用を組みます。

初動で「やってはいけない」対応

第一に、事実関係が固まる前の強硬なゼロ回答(「当社は一切悪くない」「返金しない」)は、後の証拠(録音・チャット)が不利に固定化されます。行政処分事例でも、解除に関する不実告知や解約妨害が問題となっており、CSの応対が法リスクの中心になります。

第二に、広告・LP・申込画面を「上書きして消す」行為は、結果的に「証拠隠滅の疑い」を招き、信頼回復を困難にします。通信販売関連のガイドラインが「表示の見やすさ」「認識可能性」を細かく例示している以上、改修は必要でも、改修前後の差分を保存した上で進めるのが安全です。

損害賠償の法的根拠と算定実務

副業情報商材で現実に請求されやすい項目は、(1)支払済み代金・会費の返還(返金)、(2)関連費用(決済手数料、教材送料等)、(3)借入・分割払いに伴う費用(利息相当など)、(4)ニセの収益喧伝に基づく機会損失(立証が難しいため争点化しやすい)、(5)不法行為構成の場合の付随損害、に大別されます。いずれも「因果関係」と「相当性」が最終的な争点になります。
また、違約金・返金不可条項を根拠に事業者が逆に請求する設計は、消費者契約法10条で大幅に制限されます。

事業者としては、損害賠償請求されるのか、請求されるとした場合どの程度になるのかを、事前に算定しておくことが重要です。

和解・訴訟戦略の比較

副業情報商材の紛争は、個別で終わるケースと、SNS等を契機に同種請求が集団化するケースで戦略が変わります。行政処分例のように「全国から多数相談」と整理されると、継続販売・資金繰り・金融機関対応まで波及しやすいため、早期の対応方針の決定が必要です。

和解(交渉・返金スキーム)は、スピードと炎上抑止に優れますが、基準が曖昧だと追加請求を呼び込みます。訴訟は争点を法的に確定できますが、期間・コストに加え、判決内容が公になりレピュテーションに影響します。期間感の目安として、地方裁判所の民事通常訴訟の平均審理期間が約10か月程度です。

課金サービスに必要な法律

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