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健康・美容情報サービスの利用規約作成ポイント

IT企業のための法律

自社で健康や美容に関する情報提供サービスを運営する場合、利用規約を適切に整備することは非常に重要です。サービスの位置づけを明確にし、法律に抵触しないよう注意しながらユーザーにも分かりやすく説明する必要があります。本ガイドでは、健康・美容情報サービスの利用規約を作成する際に経営者が押さえておくべきポイントを解説します。

目次

サービスの位置づけと提供情報の説明

まず、自社サービスの位置づけ(性質)や提供する情報の範囲を、利用規約の中で明確に説明しましょう。ヘルスケア関連の情報提供サービスは、ユーザーの健康に関わる内容を扱うため、法律上の「医療行為」に該当しないよう注意が必要です。日本の医師法では医師以外が医療行為を行うことを禁止しており、もし無資格で医療行為とみなされる行為を行うと3年以下の懲役または100万円以下の罰金など厳しい刑事罰の対象になり得ます。

そのため、サービス提供者としては「当社のサービスは医療行為ではない」ということを利用規約で明示し、ユーザーにもサービスの役割を正しく理解してもらう必要があります。

具体的には、以下のような条項を定めることで、サービスがあくまで一般的な健康・美容情報の提供であり、医師の診断や治療の代替ではないことを示すことができます。

例:「本サービスは、医療行為に該当するものではありません。 本サービスから得られる情報は、医師による診断に置き換えられるものでも補充するものでもありません。医師その他の専門家の指導があるときは当該指導に従ってください。」

(解説)サービスで提供する情報はあくまで参考であり、診断や治療ではないこと、そして実際に医師等の指示がある場合にはそれに従うよう利用者へ注意喚起する内容です。

例:「本サービスは、利用者に対し、健康維持・増進と健康意識を高めるための一般的な情報提供および一般的な助言(アドバイス)等を提供するものです。」

(解説)提供するのは個別具体的な治療助言ではなく、一般的な健康情報・アドバイスに留まることを明示する条項です。例えば「発疹がある場合は皮膚科を受診してください」のように、個人の状態に対する具体的な判断を伴わない一般的な勧奨であれば、医師でなくても行える情報提供とされています。このように当社サービスはあくまで一般的な情報提供に位置づけられるものだと利用規約で示します。

さらに、提供する情報の種類によっては他の法律にも注意が必要です。例えば、「保健指導」(特定保健指導)は保健師など有資格者しか行えないと法律で定められています(保健師助産師看護師法第29条)。そのため、生活習慣の改善支援のようなサービスを提供する場合でも、「これは保健指導ではありません」という説明を入れることが望ましいでしょう。

例:「本サービスは、医療行為または保健指導を行うものではなく、利用者への健康に関する情報提供および生活習慣改善の支援を目的としています。」

(解説)ここではサービス内容が医療行為や行政上の保健指導ではないことを明言しています。有資格者しかできない行為とは一線を画すことで、法的リスクを回避する意図があります。

また、提供する健康情報については最新の研究や技術の進展に伴い内容が変わる可能性があります。利用規約上でその旨を伝えておけば、将来的な情報更新にも柔軟に対応できますし、後述する免責事項(非保証条項)の補足にもなります。

例:「本サービスにて提供する健康情報は、利用者の生活習慣改善の参考となる一般的な健康維持・向上に関する情報です。研究・技術の進展に伴い、提供する情報の内容には追加・変更が生じる可能性があります。」

(解説)一般的な健康情報を提供する旨と、情報は最新の知見に合わせて更新され得ることを伝える条項です。こうした断り書きを入れておくことで、提供情報の変更があってもユーザーの誤解を防ぎやすくなります。

以上のように、サービスの位置づけや提供情報の範囲を丁寧に説明することは、ユーザーとの信頼関係構築にも繋がります。経営者としては、自社サービスが医療行為に当たらない適法な範囲のものであることを明文化し、安心して利用してもらえるようにしましょう。

サービス提供者の非保証条項(免責事項)の設定

次に、サービスで提供する情報や効果について保証しない旨を明記する「非保証条項」を設けるポイントです。ヘルスケアや美容に関する情報サービスでは、ユーザーがその情報によって健康改善や効果を期待しがちです。しかしサービス提供者側としては、特定の効果や成果を約束できないことを利用規約できちんと伝えておく必要があります。

これは万一ユーザーが期待した結果を得られなかった場合のトラブル防止や、法律上の責任を限定する意味でも重要です。多くの企業の利用規約では、以下のような形でサービスの有用性や効果について一切保証しない旨が盛り込まれています。

例:「本サービスは、特定の疾患等の治療、症状の改善、その他の健康改善効果または生活習慣改善効果を何ら保証するものではありません。」

(解説)サービスを利用しても病気が治ったり症状が良くなったりすることは保証しない、という意味です。医療効果や健康増進の結果を約束しない旨をユーザーに明確に伝えています。

例:「当社は、本サービスが利用者の特定の目的に適合すること、および期待する機能・商品的価値・正確性・有用性を有することを何ら保証するものではありません。」

(解説)サービス内容がユーザー個々の目的に合致するかどうか、また提供情報や機能に有用性・正確性があるかどうかについて、当社は保証しないという条項です。サービスに不備がないことやユーザーの期待通りであることまで責任を負えないことを示しています。

例:「本サービスにおける情報提供は、利用者の状況を改善することを保証するものではありません。」

(解説)こちらも同様に、サービスを利用したことで利用者の健康状態や状況が必ずしも良くなるとは約束できないという意味です。

これらの免責事項を規約に入れておくことで、ユーザーがサービスに過度な期待を寄せないようにし、万一何らかの効果が得られなくても「規約でその旨説明済み」であることを主張しやすくなります。経営者の視点では、サービスの有用性・完全性・適合性について一切保証しない旨を明記し、必要に応じて専門家の指導を仰ぐようユーザーに促すことがリスク管理上重要です。

健康・美容関連商品の広告に関するポイント

ヘルスケアや美容の情報提供サービスを運営していると、サービス内で健康食品・サプリメント、化粧品、医薬品、医療機器などに関する商品広告や紹介記事を掲載することもあるでしょう。

このセクションでは、そうした広告掲載に関する利用規約上の注意点と、関連法規への対応について解説します。経営者としては、自社サイト上の広告や商品情報の扱いについても明確にルールを定め、法令順守を徹底する必要があります。

広告の位置づけと責任の明確化

自社サービスに第三者の商品広告を掲載する場合、その広告内容についてサービス運営側は責任を負わない旨を利用規約で示しておくことが重要です。これは、自社が広告主(広告の主体)ではなく単に広告枠を提供しているに過ぎないことを明らかにするためです。仮に自社が広告主とみなされてしまうと、後述する薬機法などの広告規制の直接の対象となり、法的リスクが高まる可能性があります。

そのため、多くの情報提供サービスの規約では、広告について以下のように定めています。

例:「商品等の広告は、商品等の販売・提供会社から提供された資料に基づき当社が作成・掲載しています。当社は当該広告の記載内容に関して一切の責任を負わず、利用者はこれをあらかじめ了承するものとします。」

(解説)広告の内容はメーカー等から受け取った情報をそのまま載せているだけであり、記載内容について当社は保証も責任負担もしないことを利用者に伝える条項です。これにより、「広告主」はあくまで商品の提供会社であって、自社ではないという立場を明確にしています。

また、美容や健康に関する具体的な商品の紹介記事や口コミをサービス内で掲載するケースもあるでしょう。この際、「あくまで個人の感想です」と注記したとしても、その内容や見せ方によっては法律上「広告」とみなされる可能性があります。日本の薬機法では、医薬品・医療機器・化粧品・健康食品等の広告について厳しい規制があります。薬機法上、「広告」に当たるかどうかは次の3要件をすべて満たすかで判断されます。

誘引性: 商品の購入意欲をそそる意図が明確であること(顧客を誘引する目的があること)
特定性: 特定の医薬品等の商品名が明らかに示されていること
認知性: 一般の人が認知できる状態で提示されていること(不特定多数が目にする状況であること)

例えば、サービス上の記事や投稿で具体的な商品名を出してその商品を紹介すれば、上記の「2.特定性」と「3.認知性」は満たされます。そして文章内容や掲載態様から、少しでも購買を促す意図が感じられれば「1.誘引性」も認められ、その情報は法律上「広告」扱いになる可能性があります。

実際の判例でも、「特定の医薬品等の購入・処方を促す手段としてされた告知」であれば広告に該当し得るとされており、判断にあたってはその告知内容・性質・態様などを客観的に見ると示されています。そのため、たとえユーザーの口コミ紹介であっても、サービス全体の性質や情報の見せ方によっては広告とみなされる場合があるのです。

薬機法など広告規制への対応

「広告」に該当すると判断される情報については、薬機法等によるさまざまな規制に従わなければなりません。薬機法では、たとえば以下のようなルールが定められています。

虚偽・誇大な表現の禁止

実際より著しく優れた効果を謳ったり、事実と異なる内容を宣伝したりすることは禁じられています(薬機法第66条)。効果や安全性について科学的根拠のない誇張や、あり得ない表現は法律違反となります。

承認内容を超える効能効果の禁止

医薬品や医療機器の場合、国の承認を受けた範囲外の効能・効果を広告で謳ってはいけません。承認されていない用途や効果をうたうと違法です。同様に、化粧品についても法律で認められた範囲を超える効能効果の表現はできません(「シミが完全に消える」などの表現はアウトなど、化粧品には表現できる効能の範囲が決まっています)。

体験談や比較の扱い

ユーザーの体験談やビフォーアフター写真などを用いた広告表現も注意が必要です。薬機法上、個人の使用体験談を効果の裏付けに用いる広告は原則として禁止と解されています。
例えば「このサプリを飲んだら劇的に痩せました!」といった利用者の声をそのまま載せるのは誇大広告と見なされる恐れがあります。また、競合他社製品との比較広告についても、直ちに違法とは言えないもののトラブルになりやすいため避けることが望ましいとされています。自社サービス上で他社の商品を引き合いに出して優劣を述べるような表現には慎重さが求められます。

以上のような広告規制は、広告主だけでなく広告宣伝に関与した広範な事業者に適用されます。薬機法の広告規制は「何人も」違反してはならないと規定しており、メーカーはもちろん、アフィリエイトサイト運営者や個人ライターであっても遵守が求められるのです。

したがって、サービス運営者である皆様も自社サイトに掲載される商品情報については他人事ではなく、法に触れる表現がないか十分注意する義務があります。 広告表現について社内ルールを策定しチェック体制を整えることも検討すべきでしょう。例えば、一般社団法人日本化粧品工業連合会が公表している「化粧品等の適正広告ガイドライン」(2020年6月更新)などは、化粧品広告の具体的な表現例や注意点が示されており、サービス内の記事作成時の参考資料として有用です。このような業界ガイドラインも活用しつつ、自社サービスにおける記事・広告表現が薬機法に抵触しないよう予防策を講じましょう。

健康食品・健康機器の宣伝に関する注意

医薬品や化粧品以外にも、健康食品(サプリメント等)や家庭用健康機器に関する情報発信にも注意が必要です。薬機法第68条では、承認を受けていない医薬品や医療機器等について、その効能効果等の広告を禁止しています。

いわゆる健康食品や美容・健康機器が、法律上「未承認医薬品」や「未承認医療機器」とみなされる表現になってしまうと違法となる可能性があります。例えばサプリメントの紹介で「○○という成分が病気を治す効果があります」などと記載すれば、それは医薬品の効能のような表現でありアウトです。そうした医薬品的・医療機器的な効能効果を謳わない範囲で情報提供する必要があります。

また、食品に関しては健康増進法という法律も関係します。健康増進法第65条第1項では、食品を販売する際にその食品の健康保持増進効果等について虚偽または誇大な表示・広告を禁止しています。

この規制も薬機法同様に主体を限定しておらず、広告内容の作成に関与した事業者すべてが対象となり得ます。つまり、メーカーだけでなく、商品の宣伝記事を書いたウェブメディアの運営者や個人ブロガーであっても、誇大広告に加担すれば行政指導などを受ける可能性があります。たとえば「この食品を食べれば絶対に風邪をひかなくなる」といった科学的根拠のない断定的表現は虚偽誇大広告に当たります。経営者の方は、自社サイト上の健康食品に関する記事やレビューがこうした法律に抵触しないよう、十分にチェックを行ってください。

まとめると、健康・美容情報サービスにおいて商品広告や紹介記事を扱う場合には、以下の点を押さえて利用規約や運用ルールに反映することが大切です。

サービス提供者は広告内容に責任を負わない旨を規約に明記する

広告主と自社の立場を明確に切り分け、万一広告内容に問題があっても「掲載しているだけ」であることを示してリスクを軽減します。

「広告」に該当するコンテンツは法の規制対象となる

自社サイト上のコンテンツが広告と評価される条件を理解し、該当しそうな場合は薬機法・健康増進法などの規制を遵守した表現に留めます。社内でコンテンツチェックの基準を設けると良いでしょう。

禁止される広告表現を避ける

承認を得ていない効能効果の主張、医薬品・医療機器のような効果を謳うこと、根拠のない断言や「奇跡的」「絶対」などの誇張表現、利用者の体験談による誇大な宣伝、競合品との安易な比較優劣表現、といった内容は掲載しないようにします。

ユーザー投稿機能における禁止事項の設定

最後に、サービス上でユーザーが口コミやコメント、評価を投稿できる機能を設けている場合の注意点です。ユーザーが自由に情報を書き込めるプラットフォームでは、運営側が事前にその内容をすべてチェックすることは難しいため、利用規約上で禁止事項を定めておくことが重要になります。これは万一利用者が不適切な情報発信を行った場合に、事後対応(削除や利用停止)をしやすくするための備えでもあります。

健康や美容に関するサービスでは、特に医薬品やサプリメントの誤った使用法を助長する情報や、法令違反のおそれがある投稿が行われないよう注意が必要です。そこで、以下のような禁止条項を規約に入れている事例が見られます。

例:「ユーザーは、本サービスの利用に際し、薬物の不適切な利用を助長する表現を含む情報を、本サービスを通じて送信してはなりません。」

(解説)例えば「この薬を〇〇と併用すると酔える」といったような危険・不適切なクスリの使い方を促す内容の投稿は禁止する条項です。自社サービス上でそのような情報が拡散すると法令違反や社会的信用の失墜につながるため、事前に明確に禁止しています。

上記は一例ですが、この他にもユーザー間での医薬品の売買提案や他の利用者への誹謗中傷、著作権を侵害する投稿など、サービス運営上問題となり得る行為は一通り禁止事項に列挙しておくことが望ましいです。経営者としては、自社サービスの特性に合わせて「ユーザーにこれだけは守ってほしいこと」を規約に網羅的に定めてください。

そして違反が発覚した場合には、利用規約に則って投稿削除やアカウント停止等の対応が取れる旨もあわせて規定しておくと安心です。 以上、健康・美容情報サービスの利用規約作成における主要なポイントを説明しました。サービス提供者(経営者)は、自社のサービス内容と想定されるリスクに合わせて上記の点を盛り込んだ利用規約を準備することが大切です。

利用規約を整備することで、法律違反の防止やユーザーとのトラブル予防につながり、安心・安全なサービス運営に寄与します。ぜひ自社の規約を見直し、必要な項目が漏れていないか確認してみてください。法律面で不明な点があれば、専門家の意見も取り入れながら、適切な規約整備とコンプライアンス対応を進めていきましょう。

IT企業のための法律

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