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ファクタリング契約書 事業者のリスク軽減の条項案

課金サービスに必要な法律
目次

ファクタリング契約書で、事業者有利の契約条項

ファクタリング契約書を作成する際には、事業者に有利な条項にすることが重要です。
しかし貸金業法の関係で、実質的な貸金業にならないように注意する必要もあります。

そこで今回は、ファクタリング契約書で、事業者が有利になり、かつ貸金業法に当たらないようにする条項例を解説します。
以下では、甲が顧客、乙がファクタリング事業者です。

1. 表明保証条項の拡充

条文例


第○条(表明および保証) 甲は乙に対し、本契約締結日現在および本件債権の譲渡時において、次の各事項が真実かつ正確であることを表明し、保証する。

  1. 本件債権は、甲と丙との有効な取引に基づき適法に成立した債権であり、その金額・支払期日等権利内容に何ら瑕疵がないこと。
  2. 本件債権について、第三者への譲渡、質入れその他担保提供が既になされておらず、譲渡禁止特約などの制限もなく、完全に自由な債権であること。
  3. 丙から本件債権に関し支払拒否、相殺の主張、返品・値引きの要求等債権額を減少させるような苦情・異議は現時点で提起されておらず、甲は本件債権の発生原因たる契約上の義務を適切に履行済みであること。
  4. (その他必要に応じて追加事項:例・本件債権の債務者が反社会的勢力に該当しないこと 等)
    2 甲の上記表明保証のいずれかに違反または重大な不備があることが判明した場合、乙は何らの催告を要せず本契約を解除できるものとし、甲は直ちに乙に対し本件債権の譲渡代金相当額を返還するとともに、乙に生じた損害を賠償するものとする。

解説

債権の有効性や瑕疵の不存在について甲に広範な表明・保証をさせる条項です。「譲渡する債権は法的に何の問題もないクリーンなもの」と甲に確約させ、例えば債権の不存在・架空債権や二重譲渡が判明した場合には乙が直ちに契約解除や損害賠償請求等の手段を講じられるようにします。

債権の実在性・回収可能性に関するリスクを甲に負わせることで、乙は債権自体の瑕疵(無効・無権限・既譲渡・債務者との紛争等)による損失を回避しやすくなります。なお、この条項違反は契約違反となり、甲は損害賠償責任を負う(違反時に直ちに代金返還・損害賠償させる)旨を定めておくことで、実効性を高めています。

2. 償還義務条項(リコース条項)

条文例

第○条(買戻し/償還義務) 債務者である丙が本件債権の支払を履行期日までに完了しない場合、または丙につき支払不能・倒産手続開始申立て等により本件債権の回収が不能もしくは著しく困難となった場合、甲は乙の請求に応じて直ちに本件債権の買戻し義務を負い、乙に対し当該未回収債権額と同額の金銭を支払うものとする。

解説

いわゆる「償還請求権(リコース)」を明示する条項であり、万一債務者から債権の支払いが得られなかった場合には甲が乙に対して債権代金を返還する義務を負うものです。
これにより、売掛先(丙)の倒産や支払拒絶といった事態でも乙が損失を被らずに済み、債権未回収リスクを実質的に甲に転嫁できます。ファクタリング本来の形態はノンリコース(償還義務なし)ですが、本条項により事実上は融資に近い契約形態となり、債務者から入金がない場合の責任を甲が負担する仕組みに変更します(その分手数料の調整などで乙の収益確保もしやすくなります)。

なお、この条項を含めた契約は裁判例上、債権譲渡ではなく貸付とみなされる場合があることに留意が必要です(無許可業者の場合、貸金業法上の問題になり得るため、乙が貸金業登録等を有するか検討が必要)。それでも契約上は甲に返済義務を負わせることで乙の回収安全性を最大化できる条項です。

3. 期限の利益喪失条項(甲の信用不安時等)

条文例

第○条(期限の利益喪失) 甲について次の各号の事由の一つでも生じた場合、甲は本契約に基づき乙に負う一切の債務につき当然に期限の利益を失い、直ちに全債務を履行しなければならない。なお、本条項の適用により乙が本契約を解除することを妨げないものとする。

  1. 手形交換所の取引停止処分を受け、または甲が支払停止若しくは支払不能の状態に陥ったとき。
  2. 破産手続開始、民事再生手続開始、会社更生手続開始、特別清算開始等の申立てを受け、または自らこれらの申立てをなしたとき。
  3. 差押え、仮差押え、仮処分、競売の申立てを受け、または租税公課の滞納処分を受けたとき。
  4. 甲が解散(合併による解散を除く)・営業の廃止を決議したとき。
  5. 前各号に準じる重大な信用不安事由が生じたと乙が認めるとき。

解説

契約上甲に認められていた支払猶予等の期限の利益を、甲の経営悪化時に一挙に喪失させる条項です。具体的には、甲の倒産・経営破綻のおそれ(支払不能や手形不渡り等)の発生時点で、例えば既に発生している償還義務の支払猶予期間や分割払いの権利が即座に取り消され、乙は直ちに全額返済を求めることができます。

これにより、甲の信用不安によって乙が回収不能リスクにさらされる前に、乙側で債権の早期回収措置を講じることが可能となります。特に2社間ファクタリングでは、甲が倒産すると乙は債権買戻し請求が困難になるため、甲の信用不安時には一括返済させることで乙の損失を最小限に抑えることができます。本条項に該当すれば催告なしに契約解除も可能と定めておくことで、乙は時間をかけずに法的手段に移行でき、安全性が高まります。

4. 債権回収不能時の責任条項

条文例

第○条(債権回収不能時の甲の責任) 債務者による本件債権の支払が履行期日までになされず、または債務者の倒産その他乙が本件債権の回収を完了できない事由が生じた場合、甲はその原因の如何を問わず乙に生じた未回収債権額相当の損害を賠償する責任を負うものとし、乙の請求に応じて直ちに当該金額を支払うものとする。

解説

債権が最終的に回収不能となった場合のリスク負担を明確化する条項です。通常ノンリコース型では債権の信用リスクは乙が負いますが、本条項により「債権が回収できなかった場合は甲が穴埋めする」ことを契約上明示します。

例えば債務者が倒産したり支払を拒絶したりした場合でも、甲がその損失を補填する義務を負うため、乙は最終的な貸し倒れリスクから保護されます。償還義務条項(リコース)とほぼ重複する内容ですが、本条では原因を問わず包括的に甲の責任を定めることで、仮に特定の償還事由に当てはまらないケースでも乙が救済を受けられる余地を確保します。結果として、債権が不良化した際の損失負担を全面的に甲側に契約で押し付ける形となり、乙の収益の安全性が一層高まります。

5. 違約金・損害賠償条項

条文例

第○条(違約金・損害賠償) 甲が本契約上の義務に違反した場合、甲は乙に対し違約金として金〇〇円(または債権額の〇%相当額)を支払うものとする。当該違約金の定めは乙の損害賠償請求権を妨げるものではなく、乙は違約金を超える損害の賠償を請求できるものとする。また、甲が本契約に基づき金銭債務を履行期日までに支払わないときは、支払期日の翌日から完済に至るまで年〇%の割合による遅延損害金を乙に支払うものとする。

解説

甲の債務不履行に備えて事前に一定額のペナルティ(金銭賠償)を規定する条項です。甲が契約違反した際の損害賠償請求を円滑にし、証明負担を軽減する効果があります。

違約金を定めておけば、実際の損害額を乙が立証できない場合でもあらかじめ定めた金額を請求でき、甲に契約遵守を促す抑止力となります。また、債務の支払い遅延時には高率の遅延損害金を課すことで、甲に迅速な履行を促しつつ遅滞による乙の損失(資金コスト等)を補填できます。

例えば「二重譲渡の禁止」に違反した場合に違約金や期限の利益喪失を科すケースもあり、本条項により契約違反時の乙の救済手段が強化されます。重要なのは違約金額を過大に設定しすぎないことですが、実務上は債権額の数%~遅延期間に応じた金額を定め、違約金請求に加えて立証可能な損害については別途賠償請求できるよう併記することで、乙の損害回復を最大限確保します。

6. 相殺条項の強化

条文例

第○条(相殺権) 乙は、甲に対して有する金銭債権(本契約に基づく損害賠償請求権、償還請求権その他名目を問わない一切の債権を含む)について、その弁済期の到来如何に関わらず、いつでも甲の乙に対する債権と対当額において相殺することができる。甲は本条に基づく相殺につき予め異議なく同意する。

解説

乙が有する債権と、甲が有する債権(主に買取代金請求権など)を乙の一存で随時相殺できることを定める条項です。これにより、例えば甲が乙に償還金や損害賠償金を支払う義務が生じた場合でも、乙は甲に支払うべき未払金(将来の債権買取代金や他取引での支払等)と差し引きすることで実質的な回収を図れます。

この条項は支払期の到来していない債権についても相殺可能とする点がミソであり、乙は期限前の債権であっても直ちに差し引けるため、別途訴訟等を経ず迅速に債務の充当ができます。特にファクタリング取引では基本的に甲に対する支払(買取代金)と甲からの受領(金銭返還や賠償)が発生し得るため、この相殺特約により乙はネットで支払額を調整し実質的な貸倒れリスクを低減できます。実務上も、契約書に「弁済期の如何を問わず相殺できる」旨を明記して乙の一方的な相殺権を確保することが一般的です。

7. 契約解除条項(乙に有利な解除事由)

条文例

第○条(契約解除) 次の各号の一つでも該当する事由が生じた場合、乙は何らの催告を要せず直ちに本契約を解除することができる。

  1. 甲が本契約の条項に違反した場合。
  2. 第○条(期限の利益喪失条項)の各号の事由が甲につき生じた場合。
  3. 債務者(丙)が支払期日に本件債権の履行を遅延し、または債務者との取引に関し甲と丙との間で重大な紛争が生じた場合。
  4. その他本件債権の譲渡目的が達成困難となる事由が生じたと乙が認めた場合。
    2 前項の場合、乙は契約解除と同時に直ちに甲に対し本件債権の譲渡代金の返還を請求できるものとし、契約解除によって生じた乙の損害について甲は直ちに賠償する責任を負う。

解説

乙が柔軟かつ広範な理由で契約解除を行えるようにする条項です。一般にファクタリング契約では「どのような場合に契約を解除できるか」が定められますが、本案では乙に有利に
(i) 甲のいかなる契約違反でも解除可能とし、
(ii) 甲や債務者の信用不安・紛争発生時にも解除権を認め、
(iii) その他乙が継続困難と判断する場合といった抽象的事由でも解除できる
よう規定しています。

これにより、契約履行過程で想定外の事態やリスクが生じても乙は一方的に取引から撤退し、債権買取代金の返還を求めることができます。特に軽微な違反であっても解除事由に該当し得るように定めておくと、乙は不利な状況に陥る前に契約を打ち切り損失を限定可能です。

ただし、あまりに広範な解除権は甲にとって不利すぎるため、公序良俗に反しない範囲で「その他前各号に準ずるやむを得ない事由」など合理性のある文言に留める必要があります。いずれにせよ、本条項によって乙は契約拘束から早期に解放され、債権保全策(代金返還請求や他の法的手段)に迅速に移行できる点で、法的リスクの軽減につながります。

8. 債権回収方法・調査権限の拡張

条文例

第○条(回収協力義務および調査権) 債務者である丙が支払期日に本件債権の履行をしない場合、または乙が必要と認めた場合、甲は乙の指示に従い速やかに本件債権の回収に必要な一切の措置に協力するものとする。甲は乙から要求があれば、債務者への支払催促、内容証明郵便の発出、債権に係る関連資料の提供等、乙が指定する回収行為を直ちに行い、または乙もしくは乙指定の第三者が債務者と直接交渉・連絡することに異議なく同意するものとする。さらに甲は、乙が本件債権の回収状況や債務者の信用状況等を調査するため必要と認めるときは、合理的な範囲で自社の財務資料・取引記録等の提出に応じるものとする。これら甲の協力義務違反があった場合、乙は契約違反として第○条(違約金)に基づく違約金の請求または本契約の解除を行うことができるものとする。

解説

債権の取り立てや情報収集の場面で、乙の主導権を強化する条項です。まず、債務者からの支払いが遅延した場合に甲に積極的協力を義務付けています。具体的には、乙の求めに応じて甲自身が債務者へ督促したり、必要書類を提供したりすること、さらには乙が直接債務者と交渉することも許容させています。

これにより、単に「最大限協力する」といった抽象表現ではなく、誰が何をするかを具体的に示し、後日の協力不十分を防ぎます。加えて、乙による甲への調査権を定めることで、例えば債務者の経営悪化の情報や取引状況を甲から随時報告させることも可能です。

月次の取引データ提出義務や債務者の信用変動の即時報告義務を課すケースもあり、こうした情報提供により乙は早期にリスク徴候を察知できます。総じて本条項は、債権回収プロセスにおける乙の関与範囲を拡大し、甲の受動的・非協力的対応を抑制する効果があります。債権の回収可能性を高め、必要に応じて乙自らが迅速な回収・法的措置に移れるようにする実務上有効な規定です。

9. 担保提供義務条項

条文例

第○条(担保の供与) 甲は、乙から請求があった場合、乙に対する債務(買戻代金支払債務、損害賠償債務その他本契約に関連して甲が負う一切の債務)を確実に履行するため、乙の指定する担保を速やかに提供しなければならない。乙が必要と認める場合には、債務者の信用状態の悪化や既存担保価値の減少等を理由として、甲に対し追加の担保差入れまたは保証人の提供を求めることができ、甲はこれに直ちに応じるものとする(例:〇日以内に○○円の現金担保を差し入れる等)。本条に基づき甲が提供する担保の種類、評価方法、差換え条件等については別途乙と協議のうえ定めるものとする。

解説

ファクタリング取引によって生じる甲の債務(償還義務や違約金等)の履行を確保するため、必要に応じて担保や保証を提供させる条項です。例えば債務者の経営悪化や回収遅延が続いた場合、乙は甲に対し追加の担保提供や保証人の立て替えを要求できるようにします。

これにより、将来のリスク顕在化に先手を打って乙の債権保全を図ることができます。銀行融資の契約でも、担保価値が著減した場合の追加担保差入義務が定められるのが一般的であり、ファクタリングでも同様に「信用悪化時には担保を積む」ルールを作っておくと安心です。

実務上は、担保として現金預託・追加売掛債権の譲渡(差し入れ)・代表者個人の連帯保証などが考えられます。こうした条項を入れておけば、万一債務者からの回収見込みが怪しくなった際にも、甲から別途回収原資を確保でき、乙の地位は貸金業者並みに強固になります。担保提供に応じない場合は契約解除や期限の利益喪失の対象とするなど他条項と連動させることで、条項の実効性を高めます。

課金サービスに必要な法律

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