メニュー

\ チャンネル登録者数 16,000人を突破 /

暗号資産(仮想通貨)の投資助言と口座開設サポートの適法ライン~2026年の法改正を踏まえて~

仮想通貨(ビットコイン、イーサリアム、リップル等)やICOの法律について仮想通貨に詳しい弁護士が解説

近年、暗号資産(仮想通貨)市場は急速に拡大しています。国内の暗号資産交換業者における口座開設数は延べ1,300万口座を超え、利用者預託金残高は5兆円以上に達しました。企業が暗号資産関連のビジネスに参入したり、従業員向けの福利厚生として情報提供を行ったりするケースも増えています。

しかし、こうしたビジネスの広がりとともに、「どこまでが適法で、どこからが違法なのか」という境界線が見えにくくなっているのも事実です。投資助言や口座開設サポートと称するサービスが、実は金融商品取引法や資金決済法に違反していたというケースも少なくありません。

本記事では、暗号資産に関する投資助言と口座開設サポートについて、適法・違法の境目を整理し、企業経営者・ご担当者の皆さまがリスクを正しく把握できるよう解説いたします。


目次

暗号資産を取り巻く法規制の全体像

暗号資産に対する日本の規制は、大きく「資金決済法」と「金融商品取引法(金商法)」の2つの法律を軸に構成されています。

暗号資産の売買や交換を業として行うためには、資金決済法に基づく「暗号資産交換業」の登録が必要です。2025年10月末時点で、国内では28の業者がこの登録を受けています。無登録で暗号資産交換業を行った場合には、3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその両方が科される可能性があります。

一方、暗号資産のデリバティブ取引(先物やオプションなど)については、2020年5月の金商法改正により、金融商品取引業としての規制対象となりました。デリバティブ取引に関する投資助言を行うには、「投資助言・代理業」の登録が必要です。

さらに、2025年12月に金融審議会の暗号資産制度に関するワーキング・グループが報告書を公表し、暗号資産の現物取引自体を金商法の規制対象に移行する方針が示されました。2026年の通常国会で金商法改正案が提出される見通しであり、今後、規制環境は大きく変化することが予想されます。


「投資助言」に該当する行為とは

金商法における「投資助言」とは、金融商品の価値等の分析に基づく投資判断について、有償で助言を行うことを指します。具体的には、有価証券の銘柄・売買のタイミング・数量などについて具体的な判断を示す行為が該当します。

投資助言に該当し得る行為の例

暗号資産との関連では、以下のような行為が投資助言に該当し得ます。

まず、暗号資産デリバティブ取引について、「この銘柄を今買うべきです」「来週までに売却してください」といった具体的な売買判断を有償で提供する行為は、投資助言に該当します。シグナル配信(売買のタイミングを通知するサービス)やコピートレードサービス(他者の取引を自動的に模倣するサービス)の提供も、場合により投資助言とみなされます。

現行法上の「グレーゾーン」

現行法上、注意が必要なのは暗号資産の「現物取引」に対する助言です。2020年の法改正で暗号資産は金商法上の「金融商品」に含まれることになりましたが、現物の暗号資産は「有価証券」にも「デリバティブ取引」にも該当しません。そのため、現行の金商法の文言上は、暗号資産現物に限定した助言は投資助言に該当しないと解釈されます。

しかし、この点については2つの重要な留意事項があります。第一に、現物取引とデリバティブ取引の区別は必ずしも明確ではなく、助言の内容や対象取引の商品性を踏まえた慎重な検討が必要です。第二に、前述のとおり、暗号資産の現物取引を金商法の規制対象とする法改正が進められており、改正後は現物取引に対する助言も投資助言規制の対象になる可能性が高いです。

適法な情報提供と違法な投資助言の境界線

実務上もっとも問題になるのが、「一般的な情報提供」と「投資助言」の線引きです。

適法となり得るケース

一般的な暗号資産に関する知識の提供や市場動向の解説は、それだけでは投資助言に該当しません。たとえば、暗号資産の仕組みやブロックチェーン技術についての勉強会を開催すること、市場全体の動向や規制環境の変化について情報を発信すること、新聞・ニュース記事の紹介や一般論としてのリスク説明を行うことなどは、原則として適法な情報提供の範囲内と考えられます。

また、不特定多数に対して行われる一般的な市場分析の公表も、直ちに投資助言に該当するものではありません。

違法となり得るケース

一方で、以下のような行為は投資助言に該当し、無登録で行えば違法となる可能性があります。

特定の顧客に対して、具体的な暗号資産の銘柄と売買タイミングを指定して助言する行為は、典型的な投資助言です。「この暗号資産は○月までに値上がりするので今が買い時です」というような具体的な推奨を有償で行えば、投資助言・代理業の登録が必要になります。(2026年法改正以降は)

また、投資セミナーやオンラインサロンの形態であっても、参加費を徴収し、その中で個別銘柄の売買推奨を行っている場合には、実質的に投資助言に該当する可能性があります。金融審議会のワーキング・グループ報告でも、暗号資産取引についての投資セミナーやオンラインサロンの出現に言及し、投資助言行為を規制対象とすることが提言されています。

判断のポイント

適法か違法かを分けるポイントは、おおむね次の3点に集約されます。
「具体性」として、一般論か個別具体的な銘柄・タイミングの推奨かという点。
「有償性」として、対価を受けているかという点。
「継続性・反復性」として、一回きりの意見交換か業として反復継続的に行っているかという点です。これらの要素が重なるほど、投資助言に該当するリスクが高まります。


口座開設サポートの法的リスク

暗号資産の口座開設を手助けするサービスも、そのやり方次第では違法になり得ます。

単なる手続案内は適法

暗号資産交換業者のウェブサイトの操作方法を教えたり、本人確認書類の準備方法を案内したりするなど、手続的なサポートにとどまる場合は、基本的に法的な問題は生じません。

違法となるケース

しかし、次のような行為に発展すると、法的リスクが大きく高まります。

第一に、口座開設のサポートにあわせて特定の暗号資産の購入を勧め、手数料を受け取る行為は、暗号資産交換業の「媒介」や投資助言に該当する可能性があります。
第二に、無登録の海外取引所への口座開設を推奨・あっせんする行為は、無登録業者の宣伝行為として法令違反となり得ます。金融庁は、日本居住者向けにサービスを提供しているにもかかわらず日本で登録を受けていない交換業者に対して厳しく対処しています。
第三に、顧客から資金を預かり、代わりに暗号資産を購入して口座に送金するような行為は、暗号資産交換業そのものに該当します。

とくに注意すべきは、アフィリエイト報酬との関係です。暗号資産交換業者の口座開設をアフィリエイトとして紹介すること自体は、登録業者を対象としている限り直ちに違法とはなりません。しかし、無登録業者のサービスを紹介した場合には、紹介者自身も法的責任を問われる可能性があります。


2026年金商法改正がもたらすインパクト

2025年12月の金融審議会ワーキング・グループ報告を受け、2026年の通常国会に金商法改正案が提出される見通しです。この改正は、暗号資産ビジネスに関わるすべての企業に大きな影響を与えます。

改正の主なポイント

改正の方向性として特に重要なのは、暗号資産の現物取引が金商法の規制対象に移行する点です。これにより、現物の暗号資産に対する投資助言も、投資助言・代理業の登録なくして行えなくなると見込まれます

さらに、インサイダー取引規制の導入、発行者に対する情報開示義務の創設、無登録業者への罰則引上げ(金商法上は5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金)なども提言されています。税制面でも、暗号資産取引による所得について申告分離課税(約20%)への移行と3年間の繰越控除制度の創設が税制改正大綱に盛り込まれました。

企業がとるべき対応

法改正に備え、企業は以下の対応を検討する必要があります。自社のサービスが「投資助言」や「暗号資産交換業の媒介」に該当しないかを改めて精査すること。該当する可能性がある場合は、必要な登録の取得や業務内容の見直しを早期に進めること。社内の暗号資産関連業務に携わる従業員に対する法令遵守の教育を強化すること。これらの対応が求められます。


違反した場合のリスク

法令に違反した場合のリスクは、刑事・行政・民事の各方面に及びます。

刑事罰としては、暗号資産交換業の無登録営業で3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金金商法上の無登録営業では5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金が科される可能性があります。法人に対する両罰規定もあります。

行政上のリスクとしては、財務局からの警告書の発出と業者名の公表が行われます。公表されると、法人の銀行口座が強制閉鎖されるなど、事業継続に重大な支障が生じ得ます。

民事上のリスクとしても、顧客に損害が生じた場合の損害賠償責任は当然に発生します。改正法では、無登録業者による売買契約の効力に関する民事効規定の創設も検討されています。


自社のビジネスを守るために ― 法律相談のすすめ

暗号資産に関する法規制は、現在進行形で大きく変化しています。「今は適法でも、法改正後には違法になる」というケースが十分に想定されるため、早めの対応が重要です。

自社のサービスが法的に問題ないかどうかは、サービスの具体的な内容、対価の有無、対象となる取引の種類、顧客との関係性など、さまざまな要素を総合的に検討する必要があります。インターネット上の一般的な情報だけで判断するのは危険です。

当事務所では、暗号資産交換業の登録事業者の顧問、投資助言登録業者の顧問を務めており、暗号資産・ブロックチェーン関連ビジネスの法的リスク診断、投資助言・代理業や暗号資産交換業の登録に関するご相談、法改正に向けた事業スキームの見直しなど、幅広くサポートしております。

「自社のサービスが適法かどうか確認したい」「これから暗号資産関連ビジネスを始めたいが、何に注意すべきか知りたい」という方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。法改正前の今こそ、専門家と一緒にリスクの棚卸しを行い、安心してビジネスを行ってください。

仮想通貨(ビットコイン、イーサリアム、リップル等)やICOの法律について仮想通貨に詳しい弁護士が解説

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次