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スピリチュアルビジネスに潜む法的リスクと対策

課金サービスに必要な法律
目次

特定商取引法(訪問販売等)の注意点

スピリチュアル系セミナーで高額契約を行う際、特定商取引法上の「訪問販売」に該当するケースがあります。例えば、レンタル会場やイベント会場でセミナーを開き、参加者に現地でサービス契約をさせる場合、これは店舗外での勧誘とみなされ、訪問販売の規制が適用されます。

訪問販売に該当すると、事業者は契約内容や料金、解約(クーリングオフ)方法などを記載した契約書面を交付する義務があり、契約書面を受け取った日から8日以内であれば無条件でクーリングオフできます。

契約書面にクーリングオフ手続きの説明がない場合、消費者はいつでも解除できる状態になってしまうので、必ず制度内容を明示しましょう。なお、事前に無料や格安で体験セミナーを開催し、最後に高額コースの契約を迫る手法も規制対象です。

消費者庁解説によれば、「無料セミナー」を宣伝しながら実質的に契約勧誘を隠す行為は、勧誘前に事前に告知しなければ違法となります。

事業者は、勧誘であることをはじめから参加者に伝え、セミナー終了後すぐに契約を迫らない運営を心がけましょう

消費者契約法(不当勧誘の禁止)

消費者契約法は、事業者による不当な勧誘を受けて締結した契約について、消費者が取り消せる制度を定めています。事業者が重要な事項について虚偽の説明(不実告知)をしたり、わざと説明しなかったり、著しく誇大な広告を行ったりすると、契約は取消可能です。

実際、2019年の改正で「霊感商法等による不当勧誘」も明記され、霊感や手かざしなどの力を用いた勧誘に基づく契約は消費者が一方的に取り消せるようになりました。

例えば「この講座を受ければ必ず人生が変わる」と根拠なく断定したり、重要な条件を隠したりすると消費者契約法に抵触します。

違反が認められた場合、消費者は事実を知ってから1年以内、契約締結から5年以内に解除できる点も覚えておきましょう

事業者は過度な断定表現や虚偽説明を慎み、顧客の誤解を生まない誠実な説明を徹底することが重要です。

景品表示法(誤認表示の禁止)

景品表示法は、商品の品質や効能、価格などについて虚偽・誇大な表示を禁止する法律です。

スピリチュアル系サービスでは「優良誤認表示」に注意します。つまり、根拠なく効果を約束したり「必ず金運アップ」「絶対に運気が上がる」と断定的に宣伝するのは違法となる可能性があります

例えば「具体的な根拠がないのに効果を断定する表現」は優良誤認に該当します。
また、セミナー受講特典など「景品」を付ける場合は、特典の金額にも規制があります。高額な講座に対し過度に高額なプレゼントを用意すると景品規制に違反するので、景品の価値は通常の範囲内に留めましょう。

さらに、SNSやWeb広告では「ステルスマーケティング」にも注意が必要です。広告であるにもかかわらずそれを隠して宣伝する行為は2023年10月から景品表示法違反とされています。

なので何か報酬を支払って口コミを書いてもらう場合には、その口コミには「広告」や「PR」の表記が必要になります。

ステマ規制については、以下の記事を参照してください。

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医師法・薬機法との関連

ヒーリングや健康アドバイスを行う際は、医師法と薬機法(旧薬事法)にも留意が必要です。医師法では、資格のない者が医療行為(治療)を行うことを禁止しています。スピリチュアルセッションで「病気を治す」「ガンが完治した」といった具体的治療効果を約束すれば、非医師の行為として医師法違反のおそれがあります

また薬機法では、未承認の効能効果を宣伝することが規制され、無根拠な健康効果の表現は違法です

例えば「手かざし(アースハート)で病気が治る」と謳い、実際に高額セミナー料金を受け取った事件では、福岡地裁が「科学的裏付けを欠く効果断定」として違法と判断し、約2,440万円の損害賠償を命じました

このように、健康や治癒効果を示唆する表現は医師法・薬機法に抵触するため、このような表現は絶対にしないようにしましょう!

契約書・利用規約の重要性

セミナーやヒーリングの提供時には、契約書や利用規約でサービス内容を明確化することが大切です。

提供する内容(講義時間や回数、フォロー対応の範囲など)、料金、支払方法、キャンセル・返金条件、免責事項(効果保証しない旨)などを具体的に記載し、契約前にクライアントに説明・同意してもらいます。法律上も、会場で契約が成立した場合には契約書面の交付が義務付けられ、記載漏れがあるとクーリングオフの期間が延長されるなど不利益を招きます。

利用規約を設定する場合は、「本サービスは医療・法律行為ではない」ことを明記し、必要に応じて「専門家の相談を促す」旨を加えておくと、安全対策として有効です。こうした書面・規約を整備することで、万一消費者トラブルが発生しても契約内容を証拠化でき、誤解やクレームを防ぐことにつながります。

SNS・広告での注意点

SNSやWeb広告で集客する際も、宣伝表現に最新の規制を守る必要があります。前述のとおり景品表示法では誇大表示が禁じられており、広告であることを隠す投稿(ステルスマーケティング)は違法です。

具体的には、効果や結果を確約するような断言表現は避け、確実性を保証しない旨を添えましょう。また、SNS上のプロモーションでは「#広告」「#PR」のタグを付け、投稿が宣伝であることを明示します。インフルエンサーを活用する場合も、発信内容は事業者自身が最終的責任を負うので、誇張表現が含まれないよう厳重に管理すべきです。

消費者トラブル事例と行政指導例

実際のトラブル事例をみていきましょう。東京都では、SNS広告で誘われて3千円の体験セミナーに参加した女性が、その場で「継続すれば望みが叶う」と勧誘され約100万円の契約を結んだ後に、事業者に解約・返金を拒否された例が紹介されています。

全国的にもスピリチュアルビジネスには、民事訴訟はもちろん、行政指導や行政処分もされています。
最悪は業務停止になることもありますので、事業者としては、十分に注意が必要です。

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