メニュー

\ チャンネル登録者数 13,000人を突破 /

ウェブコインリングの法律的リスクと注意点を弁護士が解説

目次

ウェブコインリングとは何か?その仕組みと実態

ウェブコインリングとは、主にアミューズメントポーカー業界で最近注目されているWebコインを使ったポーカーのことです。
具体的には、実店舗のポーカールーム等で現金の代わりに、「ウェブコイン」と呼ばれるポイントを用いてプレイヤー同士がゲームを行い、勝敗に応じてそのポイントが増減する仕組みです。ウェブコインは一種のサービスポイントと説明され、複数の加盟店で共通利用できるとされています。

しかし、その実態は「現金を直接賭けずにポイントを介する」ことで、賭博罪などの法律を回避しようとするスキームのように思えます。表面上は「金銭は動かないゲーム」とされていますが、裏ではポイントの売買や換金が横行しており、事実上現金賭博と同じ実態になっているケースが報告されています。

例えば、実際にウェブコインを8割程度のレートで買い取る業者やプレイヤー間の売買が行われており、ポイントが事実上の現金として扱われている状況があります。

こうしたウェブコインリングは、昨今のポーカーブームに乗って都市部のアミューズメントカジノ等で急増しています。一晩で数十万円規模のチップが動く卓も存在し、中には「5万円分のコインを一晩で170万円相当まで増やした」というような事例も報じられています。もっとも増えたのは現金ではなくウェブコインで、最終的に他の客にポイントを8掛け(8割の価格)で買い取ってもらい約40万円を現金化したケースがあったとの証言もあります。

日本国内法から見たウェブコインリングの問題点

ウェブコインリングについて、関連法規ごとに問題点を整理します。

刑法(賭博罪・常習賭博罪・賭博場開帳図利罪)

日本の刑法では、賭博行為自体を厳しく禁止しています。
賭博行為とは、偶然の勝敗によって財物(金銭的価値のあるもの)の得喪を争うことです。たとえポイントや物品であってもそれに経済的価値が認められる場合、刑法上の賭博罪が成立する可能性があります。

ウェブコインリングは、形式上はポイントであっても実質的に金銭同等の価値を賭けているため、賭博罪が成立する余地が大いにあります。また店舗側がウェブコインリングの場を提供し利益を上げている場合、賭博場開帳図利罪に該当する可能性が高いと考えられます

さらにプレイヤー側も例外ではありません。ウェブコインリングに参加することは、実質的に常習的な賭博への関与とみなされ、最悪の場合賭博罪(常習賭博罪)で検挙されるリスクがあります。

風営法(風俗営業法)および景品表示法の観点

ウェブコインリングが行われる場の多くは、アミューズメントカジノやポーカールームと称する店舗です。これらは通常、風俗営業法(風営法)の許可区分の一つである「ゲームセンター営業」(風営法第5号)などを取得して営業しています。しかし、風営法では許可店における賞品提供が厳しく制限されており、現金や高額景品の提供は禁止されています。

本来、ゲームセンター(アミューズメント)営業では、クレーンゲームにおいて景品提供は許されますが、その価値は1回の利用料金の20倍または800円相当以下といった上限が業界自主規制で設けられています。

ポーカートーナメントでも、賞品はトロフィーや数千円以下の景品に留めるのが通常です。ところがウェブコインリングでは、勝者に対してウェブコインという事実上金銭価値のあるポイントを提供しており、これは風営法の賞品提供禁止規定に違反する可能性があります。

景品表示法の観点からも注意が必要です。景品表示法は主に消費者向けの広告やキャンペーンに関する規制ですが、実質的に高額な景品類を提供して客を誘引する行為はこの法律にも抵触する恐れがあります。ウェブコインリングを「勝てばこんなに儲かる」「合法的に稼げるゲーム」などと宣伝すれば、それは著しく事実に相違する表示(有利誤認)として問題視される可能性があります。

また、「参加すれば高額ポイントが手に入る」といった誘引があれば、それは景品規制上許容される範囲を超える過大な景品類の提供とみなされるリスクもあります。つまり、宣伝・集客面でも法令違反を問われる可能性があることに留意しましょう。

資金決済法・金融関連法規(ポイント・電子マネー制度上の問題)

ウェブコインはポイントとはいえ、実質的に金銭的価値を持つ電子的な記録であり、資金決済に関する法律(資金決済法)上の「前払式支払手段」や「暗号資産」等に該当する可能性があります。資金決済法では、ユーザーから金銭を受け取って発行するポイントや電子マネーを「前払式支払手段」と定義し、発行者に対して所定の届出・管理義務を課しています。

特に、発行残高が一定額を超える場合や、複数店舗で利用可能なポイントの場合、資金決済法に基づく登録・届出が必要となります。ウェブコインを運営する事業者(例えば「ポーカーウェブコイン」を提供する企業)が、この登録や資金移動業の免許を取得せずに事実上の電子マネー発行・決済サービスを行っているなら、資金決済法違反となる可能性があります。

実際、ポーカーウェブコインは海外(フィリピン)の法人が運営しているとされ、日本の資金決済法に照らせば無登録で前払式支払手段を発行している疑いが指摘されています。もっとも海外法人であるため日本当局による直接の規制や執行が難しい状況にあります。

しかし、海外法人だからといって日本国内での違法性が消えるわけではありません。 また、ウェブコインを現金や他の通貨と交換する行為は、無許可の両替・資金移動として問題視される場合もあります。店舗が独自にウェブコインの現金売買に関与すれば、為替取引や資金移動業の無許可営業(銀行法・資金決済法違反)に問われるリスクも考えられます。資金決済法第20条では、原則として発行した前払式支払手段の払戻し(現金化)を禁止しています。

法律チェックは慎重に

ウェブコインリングなどの新たにポイント制度やゲーム性のあるサービスを導入する際は、弁護士等のリーガルチェックを必ず受けましょう。そのビジネススキーム自体が違法性を帯びないかどうか、専門家の視点で検証することが重要です。

弊社でも、ウェブコインリングを合法的に行う方法についての相談を行っておりますので、ぜひお問い合わせください!

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次