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アフィリエイトコンサル事業はどこから摘発されるのか|実名公表・行政処分の実例に学ぶ12のチェックポイント

課金サービスに必要な法律
目次

結論:処分理由は「稼げると言ったこと」そのものではありません

アフィリエイトのコンサルティング、WEBマーケティングスクール、SNS運用講座——こうしたサービスを提供する事業者の方から、当事務所には「うちも消費者庁に名前を出されることがあるのか」「広告で『稼げる』と書いたらアウトなのか」というご相談が寄せられます。

2025年から2026年にかけて実名公表・行政処分・刑事検挙を受けた事業者は、「稼げる」と言ったこと自体を理由に処分されているのではありません。 公表文と処分書を読み込むと、認定されている事実は次の3点に集約されます。

  1. 報酬がASPや広告主の成果報酬に左右される不確実なものであることを伏せ、断定的に説明したこと
  2. 顧客の支払能力を超える契約を、消費者金融からの借入れによって成立させたこと
  3. 解約・返金の約束を守らなかった、または法定書面に「契約の解除に関する事項」が欠けていたこと

行政が見ているのは広告のキャッチコピーではなく、個別の勧誘トーク・支払能力の確認・契約書面と解約対応です。ここを取り違えると、「広告表現だけチェックしてもらったから大丈夫」という誤った安心につながります。処分された事業者の多くが、まさにその状態でした。

私自身、弁護士になる前にIT企業を経営していました。無料相談やZoom個別面談を挟んで成約率を上げたい、決済のハードルを下げたい、という経営判断の圧力は実感としてよくわかります。ただ、この分野は「顧客と一対一で話した瞬間」と「支払方法に踏み込んだ瞬間」にリスクが跳ね上がる構造になっています。以下、公表資料をもとに整理します。

行政は、いま何で動いているか

特商法処分は年1件程度。主戦場は「実名公表」です

特定商取引法に基づく行政処分は令和7年度に全国80件出ていますが、内訳のほとんどは住宅リフォームや通販の定期購入です。アフィリエイト・副業スクール・SNS運用スクールを正面から捉えた特商法処分は、2024年から2026年8月までの2年半で1件しか見当たりません(後述するアドネス株式会社への指示処分)。

では野放しなのかというと、逆です。行政の取り締まりの中心は、消費者安全法38条1項に基づく「注意喚起」、すなわち実名公表です。

注意喚起は行政処分ではないため、聴聞の機会も不服申立ての枠組みも実質的に使えません。それでいて、商号・法人番号・所在地・代表者の氏名、契約金額、勧誘時の発言内容(「」付きで原文のまま)、実際に提供された役務、解約・返金の対応実態が、消費者庁のサイトに掲載されます。この分野で最も現実的な経営リスクは、業務停止命令ではなく実名公表です。

刑事は詐欺罪へシフトしています

2026年6月10日、大阪府警は副業スクールの受講料名下に金銭を詐取したとして、会社役員の男ら41人を詐欺容疑で逮捕したと報じられています。報道ベースで、2025年の1年間だけで被害は約2,300人・約6億5,000万円とされています。特商法違反は法定刑が軽く立証も煩雑ですが、詐欺罪は10年以下の拘禁刑で一斉検挙が可能です。運用は明らかに詐欺罪で処理する方向に寄っています。

1-3. 勧誘の入口は、SNS → 求人サイト → マッチングアプリへ

時期入口代表的な公表事案
〜2024年SNS広告・宣伝動画大阪府警のアフィリエイトコンサル事件(令和6年11月検挙)
2025年前半SNS・広告からのLINE誘導株式会社和への注意喚起(2025年6月26日)
2025年後半求人サイト(在宅ワーク募集)5社への一括注意喚起(2025年12月19日)
2026年マッチングアプリ合同会社PLANETへの注意喚起(2026年6月12日)

重要なのは、入口が変わると取引類型の評価も変わる点です。求人サイトで「完全在宅・未経験OK」と募集して面談に呼び、そこでコンサル契約を売る——勧誘目的を告げずに誘引したアポイントメントセールス(特商法2条1項2号)として、訪問販売の規制対象になり得ます。チャネルを変えただけのつもりが、適用される法律が丸ごと入れ替わるのです。

アフィリエイトコンサルが構造的に抱える3つのリスク

報酬が「第三者の成果報酬」に依存する

アフィリエイト収入は、ASPと広告主が決めた成果条件を満たしてはじめて発生します。どれだけ丁寧に指導しても、単価改定・出稿停止・ASPの承認判断によって収入はゼロになり得ます。

2025年12月19日に消費者庁が5社を一括公表した事案では、公表文が消費者の収入を「アフィリエイトの成功報酬に左右される不確実なもの」と明示した上で、事業者が「早い人だと数ヶ月で元が取れます」「指導に従っていればこれ以上確実に稼げます」と説明していたことを問題としました。契約金額は6か月44万円、1年52万8,000円と、突出して高額ではありません。それでも公表されたのは、「不確実な収入」を「確実」と言い換えた点にあります。

消費者契約法4条1項2号は、「将来における変動が不確実な事項」について断定的判断を提供して契約させた場合に取消権を認めています。アフィリエイト収入は、この条文に教科書的に当てはまる性質のものです。業種として、断定的判断の提供に最も近い場所で商売をしているという自覚が必要です。

「案件を紹介します」で業務提供誘引販売取引になります

「提携ASPの案件を紹介します」「うちのメディアで書いてもらえば報酬をお支払いします」という建て方をすると、業務提供誘引販売取引(特商法51条)に該当します。通信販売として完結していても、以下が丸ごと発生します。

  • 概要書面の交付(法55条1項)——契約締結に交付が必要
  • 契約書面の交付(法55条2項)
  • 20日間のクーリング・オフ(法58条1項)
  • 不実告知・故意の事実不告知の禁止(法52条)

概要書面には、業務提供条件に関する重要事項、特定負担の内容、契約の解除の条件などを記載する必要があり、赤枠の中に赤字で「書面をよく読むべきこと」を記載し、文字は8ポイント以上という様式要件もあります。

そして実務上決定的なのが、法定書面が未交付または記載事項に不備があれば、20日間の起算点がそもそも進行しないという点です(第4章で裁判例を挙げます)。なお、この類型には連鎖販売取引と違って法定の中途解約権がありません。ここは事業者側に有利な点です。

Zoom・電話・カフェを挟んだ瞬間、通信販売ではなくなります

行為該当類型発生する義務
カフェ・貸会議室で契約訪問販売(2条1項1号)書面交付+8日間クーリング・オフ
勧誘目的を告げずに面談会場へ誘引訪問販売(2条1項2号)同上
低額商材の購入者に電話し上位プランを案内電話勧誘販売(2条3項)書面交付(18・19条)+8日間クーリング・オフ(24条)
SNSのDMからZoom URLを送り勧誘電話勧誘販売として構成され得る同上
「案件を紹介する」建て付け業務提供誘引販売取引(51条)概要書面+契約書面+20日間クーリング・オフ

警察庁の統計はこの構造をはっきり示しています。特商法違反の検挙件数を取引類型別に見ると、令和7年は訪問販売114件(全体の85.7%)に対し、通信販売は0件。令和6年も訪問販売92件に対し通信販売1件です。通信販売のままなら刑事検挙はほぼ起きていません。対面・電話に踏み出した事業者だけが摘発されています。

実際に処分・検挙された事案を分解する

借入れを勧めただけで行政処分——アドネス株式会社(2025年12月24日)

この分野で最も注目すべき処分です。

関東経済産業局は令和7年12月24日、SNS運用およびAI活用ビジネスのスキル習得に関するオンラインスクールを提供していたアドネス株式会社(東京都新宿区四谷、代表取締役 三上功太)に対し、特定商取引法に基づく指示を出しました。取引類型は電話勧誘販売、契約は手数料込み総額約77万円です。

根拠条文は特定商取引法22条1項5号および施行規則64条3号、すなわち適合性原則違反——「顧客の知識、経験及び財産の状況に照らして不適当と認められる勧誘」です。相手方は契約当時18歳・月収約5万円のアルバイト収入しかない学生でした。SNSで「ロードマップ作成会」と称する無料コンサルを装ってWeb会議URLを送り、次のように勧誘したと認定されています。

「確かにもしかしたら300万以上の価値がある」

「このZoom内限定の価格で、55万円まで落しますよ。」

「学生さんで、消費者金融とかで普通にお金借りて…」

「この半年でしっかり稼げるようになったら・・・稼いだお金で払って…」

押さえていただきたいのは、不実告知も誇大広告も認定されていないという点です。処分理由は借入れの勧奨、それだけです。「支払方法にお困りなら分割やカードローンという方法もありますよ」——営業現場で当たり前に使われるこの一言が、単独で処分事由を構成します。

求人サイトを入口にした5社の実名公表(2025年12月19日)

消費者庁は令和7年12月19日、次の5社を一括して実名公表しました。

事業者所在地代表者契約金額
合同会社オアシス東京都渋谷区代々木佐藤夏樹44万円(6か月)
合同会社Links東京都渋谷区代々木大川赳史44万円(6か月)
株式会社クラウドエージェンシー東京都中野区東中野小川歩美52万8,000円(1年)
TOEI株式会社東京都新宿区百人町大島康伸記載なし
株式会社Excellentone東京都新宿区北新宿戸上祐一記載なし

流れはこうです。求人サイトに「完全在宅」「未経験OK」のデータ入力の求人を出す → 応募者に「データ入力はあまり収入にならない」「今時はAIが実施するので、これだけだと稼げない」と説明する → 代わりにWEBマーケティングのコンサル契約を勧める。

公表文が問題視したのは、求人に応募してきた人に対し、その求人の価値を否定してから別の有償契約を売ったという構造です。応募者は仕事を探しに来たのであって、講座を買いに来たわけではありません。加えて「契約の途中解約に関して、一度返金の合意がなされたものの返金がなされなかった」と明記されています。返金合意の不履行は、それ自体が公表理由を構成します。

事業者間契約だからクーリング・オフできない」で刑事立件

令和6年11月、大阪府警は特定商取引法違反(不実の告知等)で会社役員の男(25歳)ら11人と2法人を検挙しました。被害規模は45都道府県の約500人・契約総額約12億円です。警察庁「令和6年における生活経済事犯の検挙状況等について」は次のように記載しています。

SNSに宣伝動画を投稿し、顧客をカフェに誘い出し、アフィリエイトに係るコンサルティングの役務提供契約を締結した際、契約の解除に関する事項が記載されていない書面を交付し、(中略)その後、同契約の解除を申し出た者に対し、解除を妨げるために、「事業者同士の契約になるので、クーリング・オフはできない。」などと不実のことを告げるなどした。

読み解くべき点は2つ。第一に、SNSからカフェに呼び出した時点で訪問販売になっています。 心理的ハードルを下げるための営業上の工夫ですが、法的には「営業所等以外の場所での契約」そのものです。

第二に、「B to B契約だからクーリング・オフの適用外」という整理が、不実告知として刑事立件されています。 受講者に開業届を出させる、契約書のタイトルを「業務委託基本契約書」にする——形式を整えても、実質的な事業実態がなければ消費者として扱われます。解約対応マニュアルに「事業者間契約のためクーリング・オフの対象外です」という文言が残っている事業者は、今日中に削除してください。

「返金保証」の空文化と、借入金の現金化

株式会社和(2025年6月26日実名公表)——アフィリエイト副業のサポートプランで、最上位は60日間250万円。「初心者でも簡単に稼ぐことができる」「月50万が当たり前になる」「儲けが出なければ60日間の返金保証がある」と説明していました。実際に提供されたのはASPへの登録指示とLINEサポートのみ。公表文で決定的な事実として挙げられたのは、説明された金額を上回る報酬を得た消費者が1人も確認されなかったという点です。「稼げる」表示の適法性は、表現の言い回しではなく実際の成果分布で判断されると考えるべきです。

合同会社PLANET(2026年6月12日実名公表)——マッチングアプリで知り合った相手に、50万円から150万円の営業コンサル契約を当日中に支払わせていた事案です。「月2万円返していけばよく、契約で入るインセンティブで賄える」「誰でもでき、必ず契約が取れ、お金が入ってくる」と勧誘し、複数の消費者金融にオンライン申込みをさせ、1社最大50万円を借り入れさせ、コンビニATMで出金させて現金を手渡させていました。 申込時の職業・年収の虚偽申告も指示していたとされています。

アドネス、和、PLANET——支払能力を超える契約を借入れで無理やり成立させる。これが処分・公表事案に共通する一点です。

なお、隣接業種では2024年9月、営業スキル教材を販売していた株式会社即決営業が、「クーリング・オフできません」との不実告知(法21条1項)などを理由に業務停止命令3か月を受け、代表取締役2名個人にも業務禁止命令3か月が出ています。法人を畳んで別会社で再開するという回避策は、封じられています。

書面の不備は「時限爆弾」になります

大津地裁 令和2年5月26日判決——ハウスクリーニングのフランチャイズ加盟店契約で、開業初期費用219万8,000円を支払った原告が、契約から約2か月半後にクーリング・オフを通知した事案です。裁判所は本件を業務提供誘引販売取引に該当するとした上で、交付された法定書面に「契約の解除に関する事項」の記載がなかったことから「契約書面を受領した日から起算して20日を経過しているとは認められない」と判断し、全額の返還を命じました。

松戸簡裁 令和4年3月18日判決——「ビジネスコーチング」契約(110万円)等について、両契約を一体として連鎖販売取引に該当すると認定し、法定書面が一切交付されていなかったため20日間の起算がそもそも開始していないとして110万円の返還を認めました。

この2つが示すのは次の一点です。

概要書面・契約書面のいずれかが未交付、または法定記載事項に不備があれば、契約から何か月・何年経ってもクーリング・オフが可能です。

大阪府警の検挙事例でも「契約の解除に関する事項が記載されていない書面を交付し」が構成要件として引用されていました。書面の不備は、行政・刑事・民事の3方向すべてで不利に働きます。 実務で多い不備は、①契約の解除に関する事項の記載漏れ、②業務提供条件(報酬単価・利益の計算方法・支払条件)が抽象的すぎる、③概要書面を作らず契約書面だけで済ませている、の3つです。

「いかなる場合も返金いたしません」は無効になる

この種の条項は、消費者契約法9条1号(平均的な損害を超える違約金条項の無効)および10条により無効となる可能性が高く、適格消費者団体による差止請求の対象でもあります。

エーチーム・アカデミー事件では、芸能人養成スクールの入学時諸費用38万円の不返還条項が争われました。東京高裁は令和5年4月18日、「平均的な損害」は7万円を超えないと認定し、7万円を超えて不返還とする意思表示を行わないよう命じました。 一審が認めていた「入学資格を取得したこと自体の対価」という上乗せ論は控訴審で否定され、判決は2024年3月15日の上告不受理決定により確定。さらに消費者機構日本は、事業者が自主返金に応じなかったため2025年4月28日に被害回復訴訟を提起しています。

オンラインスクールでよく見られる「受講料は個別指導の対価ではなくコミュニティに参加できる地位の対価だから返金不要」という整理は、この判断によって封じられていると考えるべきです。

正しい対応は、解約時に自社に現実に生じる損害を積算し、その範囲内で返金規定を設けることです。 教材制作原価の受講者数按分、個別サポートに投下した人件費、決済手数料など回収不能な外部コスト、在籍日数按分——根拠を持って算定した金額であれば適法性を主張できます。「一律返金不可」は、無効リスクと差止リスクの両方を抱え込む最も割の悪い設計です。

見落とされがちな2つの規制

ここまでは顧客との関係の話でした。アフィリエイトコンサル事業者には、協力者との関係で発生する規制もあります。ご相談でも整備が後回しになっている典型です。

受講生の体験談・インフルエンサー起用とステマ規制

2023年10月1日、景品表示法5条3号に基づく告示(令和5年3月28日内閣府告示第19号)が施行され、ステルスマーケティングが景表法違反となりました。規制対象は広告主である事業者のみで、依頼を受けたインフルエンサーやアフィリエイターは規制されません。つまり責任は全面的に依頼した側が負います。

判断は2段階です。第一に「事業者の表示」に当たるか——投稿を依頼した、サービス提供と引き換えに投稿を期待した、今後の取引を示唆して内容に影響を与えた場合などが該当します。「無償で受講させる代わりに感想を投稿してもらった」はまさにこれです。

第二に判別困難か——「広告」「PR」の明示があれば足りますが、大量のハッシュタグに埋没させる、動画冒頭に一瞬だけ表示する、末尾に小さい文字で置くのは不十分と評価されます。

行政処分も動いています。初の措置命令は2024年6月6日(医療法人社団祐真会・Googleマップの口コミ)。その後、令和6年10月1日施行の改正景表法で導入された確約手続へのシフトが進み、令和7年度の確約計画認定8件のうち4件がステマ告示関連でした。確約手続では措置命令・課徴金を回避できますが、認定自体は公表されます。

アフィリエイト広告については、消費者庁が令和4年6月29日に管理措置指針(内閣府告示第74号)を改正し、①ASP・アフィリエイターとの役割分担と責任の所在をあらかじめ明記すること、②アフィリエイターが作成する表示の事前確認を原則とすること、③不当表示発見時は削除・修正に加え成果報酬の停止・返還請求・契約解除を行うことを求めています。受講生に自社サービスをアフィリエイトさせているスクールは、この指針の名宛人そのものです。

アフィリエイター・外注ライターへの委託とフリーランス新法

2024年11月1日施行のフリーランス新法により、従業員を使用しない個人に業務を委託する場合、3条1項(取引条件の明示)4条1項・5項(給付受領日から60日以内の支払期日設定と、期日までの支払)5条(受領拒否・報酬減額・買いたたき等の禁止)14条(ハラスメント対策の体制整備)が課されます。

公正取引委員会は勧告を実名で公表しています。 令和7年度は10件、令和8年度は2026年8月時点ですでに8件で、KADOKAWA、共同通信社、中部電力といった企業が並びます。最多の違反は3条1項の明示義務違反と4条5項の支払期日違反です。

記事作成を個人ライターに外注している、受講生の一部に営業代行を委託している、集客をフリーランスのアフィリエイターに任せている——いずれも適用対象です。「業務委託契約書を交わしていない」「支払サイトが月末締め翌々月末払い(60日超)になっている」という状態は、そのまま勧告事由です

適法に続けるための12のチェックポイント

① 自社の取引類型を確定させる——通信販売か、訪問販売・電話勧誘販売に踏み込んでいるか、業務提供誘引販売取引に当たるか。すべての出発点です。

② Zoom個別面談・電話クロージングを行うなら、その類型で書面を整備する——「オンラインだから通信販売」ではありません。

③ 概要書面を作る(業務提供誘引販売取引に該当する場合)——契約書面だけでは足りません。抜けている事業者が非常に多い項目です。

④ 法定書面に「契約の解除に関する事項」を必ず記載する——記載漏れは行政処分・刑事検挙・クーリング・オフ無期限化を同時に招きます。赤枠赤字・8ポイント以上の様式要件も確認を。

⑤ 解約対応マニュアルから「事業者間契約だからクーリング・オフできません」を削除する——複数の検挙事例で不実告知と認定されています。

⑥ 借入れの勧奨を全面禁止にする——消費者金融・カードローン・リボ払いへの言及を営業トークから排除。アドネス事案ではこれが単独の処分理由です。

⑦ 支払能力確認の社内規程を整備する——20歳代・学生を対象とした契約は、処分・検挙のほぼすべてで加重要素とされています。

⑧ 収入の不確実性を契約前の書面で明示する——断定的判断の提供という、最も成功率の高い攻撃構成を封じる防御策です。

⑨ 受講生の成果分布データを保持する——平均値・中央値・成果が出なかった方の割合。根拠は表現ではなくデータです。

⑩ 返金規定を「平均的損害」ベースで作り直す——制作原価・投下人件費・決済手数料・在籍日数按分を積算する。

⑪ 受講生・インフルエンサーの発信にステマ規制対応を入れる——明示ルール、事前確認フロー、不当表示発見時の削除・報酬停止手順を、契約書と運用マニュアルの両方に。

⑫ 外注先への発注書と支払サイトをフリーランス新法に適合させる——勧告は実名で公表されます。

8. まとめ|今すぐ点検すべき優先順位

  • 自社の取引類型を確定する——Zoom面談・電話クロージング・案件あっせんの有無を洗い出す
  • その類型に必要な法定書面を法定記載事項どおりに整備する——特に概要書面と「契約の解除に関する事項」
  • 営業トークから借入れの勧奨を排除し、支払能力確認の規程を作る——単独で処分理由になります
  • 解約対応マニュアルから「事業者間契約だから」を削除する——刑事立件されています
  • 返金規定を「平均的損害」ベースに作り直す
  • ステマ規制とフリーランス新法への対応を入れる——協力者との関係も規制対象です

そして、これは一度整備すれば終わるものではありません。消費者庁は2026年1月に「デジタル取引・特定商取引法等検討会」を立ち上げ、SNSのDMやチャットによる勧誘そのものを、訪問販売・電話勧誘販売に近い規律で捉える方向の議論を進めています(2026年8月時点で報告書は未公表)。これが実現すれば、「Zoom面談を挟まなければ通信販売のままだから安全」という現在の整理は根本から変わります。

勧誘の入口はSNS広告から求人サイト、マッチングアプリへと移り変わり、そのたびに適用される取引類型の評価が変わります。集客チャネルを一つ増やすたびに、法的な建て付けを見直す必要があるのがこの分野です。

課金サービスに必要な法律

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