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Web3やメタバース時代におけるXR技術の法的リスクを弁護士が解説

IT企業のための法律

Web3メタバースの時代において、VRヘッドセット(HMD)ARグラスといったXR技術を活用するための専用ハードウェアの利用が一般化しています。

これらのハードウェアは、ユーザーの身体に直接装着されることが多く、その使用中に視覚や行動に働きかける点で非常に特異なデバイスです。

このため、ハードウェアに欠陥があれば、ユーザーの生命や身体、さらには財産に対して重大なリスクをもたらす可能性があります。

製造物責任法(PL法)に基づく法的責任

XRハードウェアの製造者や販売者は、製造物責任法(PL法)に基づく法的責任を負う可能性があります。

PL法は、製品に「欠陥」があり、その欠陥によってユーザーが損害を被った場合に、製造業者等が損害賠償責任を負うことを規定しています。

ここで言う「欠陥」には、設計上の問題や、使用方法についての適切な指示・警告が不足している場合などが含まれます。

特に、XRハードウェアは日々進化しており、ユーザーの利用方法によっても影響が大きく変わります。

例えば、想定されていない方法で使用された結果、ユーザーが損害を受けた場合、製造者が責任を負うかどうかはケースバイケースで異なります。こうしたリスクを回避するためには、技術的な安全性を確保するだけでなく、利用者に対して適切な指示・警告を提供することが求められます。

具体的な例としては、以下のような対応が挙げられます。

  • 年齢制限:子供への影響を避けるため、VR体験施設やデバイスの利用に年齢制限を設ける
  • 長時間使用の警告:VR酔いや腕の疾患リスクに対して、長時間の使用を避けるよう注意喚起を行う
  • 周囲の確認:自傷や他人への危害を避けるため、使用前に周囲に危険な物がないことを確認させる

ソフトウェアとハードウェアが連携して発生するトラブル

XRデバイスの事故は、ハードウェアとソフトウェアが連携して発生する場合もあります。

PL法の適用範囲には、ソフトウェア単体は含まれませんが、ソフトウェアを組み込んだデバイス全体としては製造物責任法の対象となる場合があります。

たとえば、ソフトウェアの不具合が原因で事故が発生した場合、その不具合がデバイスの欠陥と認定される可能性があるのです。この場合、製造業者は損害賠償責任を負うことになります。

民法(不法行為責任)によるリスク

PL法に基づく責任が認められない場合でも、民法上の不法行為責任が問われる可能性があります。

たとえば、ARグラスがユーザーを危険な場所に誘導し、その結果、ユーザーが怪我を負ったり、第三者の権利を侵害した場合です。しかし、このような場合でも、ユーザー自身の行動が損害の一因となっている場合、XR事業者が責任を負うかどうかは、個別の事例ごとに慎重に判断されるべきです。

実務的には、ユーザーへの注意喚起や、利用規約での免責規定の設定などの対応が推奨されます。

また、ユーザー自身もXR技術を利用する際には、他者に損害を与えないよう注意が必要です。日本でも、ARゲームをプレイしながら自動車を運転し、歩行者に接触して死傷させた事故が複数報告されています。

まとめ

VRヘッドセットやARグラスといったXR技術はWeb3やメタバース時代における重要なツールですが、PL法に基づく法的リスクがともなうため、しっかりと対策を取っておく必要があります。

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