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【内閣府令・ガイドライン】仮想通貨交換事業者が登録する際に気を付けるべきポイント

仮想通貨・デジタル通貨に関する法律

仮想通貨を扱う事業者は行政への登録が必要になります

2017年5月ごろに施行される仮想通貨法ですが、仮想通貨交換業に該当する事業者は、行政への登録が必要になります。

仮想通貨交換業って何?という方は「規制の対象となる「仮想通貨交換業」とは〜弁護士が日本初の仮想通貨規制法を読み解く~」をチェック!

この度、発表された内閣府令・ガイドラインでは、その登録のための申請用紙の雛形が公表されています。

登録の申請時に注意するべきポイント

仮想通貨交換業への登録を考えている事業者は、どのようなことに注意する必要があるのでしょうか?
ガイドラインをもとに、見ていきましょう!

財政的基盤がしっかりしているか

登録には、法律の要件を満たしているかの審査があるのですが、そのときの重要ポイントの一つとして、事業者が財政的基盤がしっかりしているかということが挙げられます。

この審査のポイントとしては、以下の項目などを踏まえ、利用者財産の管理の方法を聴取するとされています。

  • 登録申請書に記載された「仮想通貨交換業の内容及び方法」の内容
  • 最終の貸借対照表等
  • 事業開始後三事業年度における仮想通貨交換業に係る 収支の見込みを記載した書面
  • 「仮想通貨交換業に 関する社内規則等」の内容

また、収支見通しについては、いかのようになっています。

  • 競合者の参入、システムの陳腐化等、環境の悪化に伴う対応方策が確立しており、その場合でも一定の収益を見込めるような計画となっているか
  • 仮想通貨交換業において損失が生じた場合に、申請者が他に営んでいる事業による収益等によって補填がなされる等、仮想通貨交換業の継続可能性に影響を及ぼすと考えられる特段の事情がある場合には、当該事情を考慮するものとする

これらの点については、自社の事業予測をきちんと確定し、申請書に反映できるようにしましょう!

仮想通貨交換業を適正かつ確実に遂行する体制の整備

また、登録審査に当たっては、仮想通貨交換業を適正かつ確実に遂行する体制の整備が確立していることが必要とされています。

例えば、以下のような点などが審査のポイントになります。

  • 定款の目的として仮想通貨交換業を営むことが含まれているか
  • 利用者との間の契約書(利用規約)が、利用者にとって、分かりやすいものとなっているか
  • 内閣府令17条にある利用者に対する情報提供する事項が含まれているか

事業年度ごとの報告書作成のポイント

仮想通貨交換事業者は、事業年度ごとに報告書を作成し、提出する必要があります。ここでのポイントは、以下の通りです。

  • 資金計画など、登録申請時に確認した事項を参照しつつ、報告内容を検証した上で、 両者に著しい乖離が見られる場合には、当該仮想通貨交換業者に対するヒアリング等を通じて、経営実態を確認する
  • 経営実態を確認した結果、将来、仮想通貨交換業を適正かつ確実に遂行するために必要と認められる財産的基礎を有しない」こととなる恐れがある場合には、必要な対応を検討する

特に、登録時できちんとした収支・運営計画が出せていたとしても、その後の報告書で、それが達成できなくなると、行政からツッコミが入れられてしまいます。

事業年後ごとに、報告書を記載しないといけない、その内容は、登録書面とかけ離れてはいけないことを念頭におき、登録申請もする必要があります。

登録申請、その後の体制整備もしっかりと行う必要

仮想通貨交換事業者の登録を受けようとする事業者は、まずは、登録の申請をぬかりなく行うことは当然ですが、その後の体制整備も、内閣府令及びガイドラインに沿って行う必要があります。

ガイドラインでは「仮想通貨交換業者に対する苦情等の状況等から、仮想通貨交換業者に対して、コンプライアンス体制が整備されているかのヒアリングを行う。また、必要に応じ、財務局幹部による経営陣に対するトップヒアリングを実施する」とされています。

その際には、以下の項目がヒアリング項目として挙げられています。

  1. 経営管理(ガバナンス)の基本方針等
  2. 内部管理の状況
  3. 法令等遵守の状況
  4. 業務運営の状況
  5. 内部監査の状況

そして、このようなヒアリングの結果、仮想通貨交換業者として、不適当となれば、業務改善命令、業務停止命令、登録取り消しなどの措置が取られる可能性があります。

仮想通貨登録を受けようと思う事業者は、今後しっかりとした体制整備が求められるのです。