美鈴「うちの会社でも、ソフトウェア開発の仕事があるんですけど…これが、うちで使っている契約書の雛形なんですけど…これ、チェックして欲しいんですけど…」
中野「もちろん!どれどれ…なるほど~。この開発契約書ですけど、請負契約になっていますけど、いいんですか?」
美鈴「請負契約?この契約書…ネットで落ちている契約書の雛形から抜粋して作ったんですけど…」
中野「そうですよねぇ…。今は、ネットでも契約書が落ちていますし…それを参考にすればいいと思ってしまいますよね。
でも、システム・ソフトウェア開発において、請負契約か準委任契約なのかは重要な問題なのです!」
中野「請負契約では、請負人たるベンダは,仕事の完成義務を負うことになります(民法632条)。目的物に欠陥があった場合は,瑕疵担保責任を負います(同法634条以下。)」
美鈴「準委任契約は、どういう契約なの?」
中野「準委任契約は、受託者たるベンダには,仕事完成義務がなく,瑕疵担保責任を負いません。」
美鈴「そうすると、ベンダにとっては、準委任契約の方が有利ってこと?」
中野「そうですね!準委任契約は、仕事完成義務がない…いわば頑張った分だけ、お金ちょうだいって契約なので…ベンダにとっては有利ですよね!」
美鈴「逆に、ユーザー側は、請負契約の方が有利ってことよね?」
中野「そうなんです!だから、
要件定義や,総合テスト支援フェーズは,準委任契約
設計フェーズから結合テストフェーズは、請負契約
といった開発の各段階契約に応じて、契約がなされることが多いのです!
美鈴「例えば、システムが完成しなかったときに,ユーザは契約を解除して損害賠償を求めることができるのか…みたいな場面で問題になりそうね」
中野「そうですね!請負契約なのか準委任契約なのかは、契約書のタイトルだけで決まるものではなく、契約書の内容によります。また,内容によっては両者の性質を併せ持つという契約もあるのです。」
美鈴「裁判で争いなった事例もあるのかしら」
中野「たくさんあります。裁判では、契約上に工数×単価で報酬を請求する形態になっていたことから、準委任契約としたものや、検収合格が報酬支払の前提とされていたことなどから,請負契約としてものなどがあります。」
美鈴「やっぱり、契約書にどのように記載するかって大事なのね。」
中野「そうなんです!システム開発は、トラブルの宝庫です!トラブルを未然に防止するために、事前に専門家の意見を聞きましょう!」