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ソーシャルレンディングの資金調達関する法律と注意点を弁護士が解説

IT企業のための法律

ソーシャルレンディングの位置付け

ソーシャルレンディングとは、一般的に、投資家がプラットフォームの運営者(以下「プラットフォーム運営者」)に対して匿名組合契約に基づいて出資を行い、プラットフォーム運営者が事業者に対して資金の貸付けを実施する形態をいいます。

P2Pレンディングやグラウト・ファンディングの貸付型とも呼ばれているものです。

起業して間もない事業者その他中小企業などにおいては、金融機関から低利で融資を受けることが困難な事業であることも多くあります。

しかし、そのような中小企業でも、ソーシャルレンディングを利用して資金調達をすることも可能となります。

いっぽう投資家は、事業者がプラットフォーム運営者に対して返済をした元利金を原資にして、匿名組合出資の分配金を受け取ることになります。商品にもよりますが、予想分配利回りはおよそ年4%~7%程度に設定されており、事業者の与信リスクとの兼ね合いで相応のリターンが期待できるものとなっています。

ソーシャルレンディングにおいては、プラットフォーム運営者が事業者に対する貸付けを業として実施するものとして貸金業の登録を受ける例が一般的です。

貸金業者がプラットフォーム運営者からウェブサイトの利用許諾を受けて投資家から貸付けの原資を得る例もあります。このような貸金業者が増えれば、貸出先となる事業者の拡大が見込め、投資家にとっては投資対象事業(メニュー)が増えることになり、その結果、事業者の資金調達の選択肢が増加することにもつながります。

このような、ソーシャルレンディングについて、弊社でも相談が多くなっています。そこで、今回は、ソーシャルレンディングをする際に、よくある相談について、解説をしていきます。

ソーシャルレンディングにおいて貸付けを行う場合、許可は必要?

ソーシャルレンディングにおける貸付けは、金銭の貸付けを業として行うもの(貸金業)を営もうとする場合に該当するため、貸金業法の適用を受けることになります。

ソーシャルレンディングにおいては、投資家がプラットフォーム運営者との間の匿名組合契約に基づいて出資を行うのではなく、事業者に対して直接に貸付けをすることも可能ではあります。

しかし、投資家が業として貸付けを行う場合には、投資家が、貸金業法に基づく貸金業の登録を受けることが必要になります。

また、この場合でも、プラットフォーム運営者は、金銭の貸借の媒介を業として行うことにもなりうるため、やはり貸金業の登録を受ける必要があります。

また、貸金業者は、貸金業の登録を受ければそれで足りるというものではなく、各種の行為規制を受けることになります。

そのため、投資家が直接事業者に対して貸付けを行うことは、ソーシャルレンディングにおいては実現が困難であるといえるでしょう。

ソーシャルレンディングの貸付けにおける利息の利率についての規制は?

ソーシャルレンディングは、利息により収益を得て、匿名組合出資者に対する収益の分配をすることになりますので、分配の原資として利息を収受する必要があります。

この場合には、貸金についての利息制限法の適用があり、上限利息が法律で決められています。貸付金額ごとに、以下のように、上限金利が決定されています。

10万円未満 年20%まで
10~100万円未満 年18%まで
100万円以上 年15%まで

また、貸金業法においては、貸金業者が年20%を超える利息で貸付をした場合には、利息の部分だけでなく、お金を貸す契約自体が無効になると定められています。

また、以下のように、刑事罰も定められています。

貸金業者が年20%を超える利息の契約をした時 5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金
貸金業者が年109.5%を超える利息の契約をした時 10年以下の懲役または3000万円以下の罰金

このように、上限金利を超える貸し付けについては、刑事罰もありうるところですので、慎重に対応するようにしましょう。

ソーシャルレンディングの貸付けの原資としての金銭の出資を受けるときの法律は?

ソーシャルレンディングの運営者は、投資家から貸付けの原資として金銭の出資を受けることになりますが、その際には匿名組合契約に基づく出資持分の取得勧誘を行うことになるため、第二種金融商品取引業の登録を受ける必要があります。

インターネットを通じて行われるファンド持分の募集の取扱い等である電子募集取扱業務を行う金融商品取引業者には、以下のことが課せられます。

  • 一定の業務管理体制整備義務等
  • 重要情報提供義務

もっとも、出資を受けた金銭のうち100分の50を超える額を充てて金銭の貸付けを行う事業に係るものに関しては、電子募集取扱業務として規制対象となる有価証券から除かれています。

そのため、ソーシャルレンディングにおいて匿名組合出資持分の募集または私募の取扱いを実施する業者については、通常、上記電子募集取扱業務に関する規制はかかりません。

ソーシャルレンディングを行うには、法令上の本人確認が求められる?

ソーシャルレンディングを行う貸金業者も、金銭の貸付けに際して、犯罪収益移転防止法上の取引時確認が求められます。

また、第二種金融商品取引業者は、貸金業者と同様、犯罪収益移転防止法上の特定事業者であるため、同法に基づき、匿名組合契約または募集もしくは私募の取扱いに係る契約の締結をするに際して、投資家について、犯罪収益移転防止法に基づく取引時確認を行った上で、同法に基づくその他の取組みが求められます。

ソーシャルレンディングと個人情報保護法

ソーシャルレンディングにおいては、投資家と直接に契約を締結することから、たくさんの個人情報を取り扱うことが想定されます。このような場合には、個人情報の管理が重要になってきます。

個人データの第三者提供の場合を含め、個人情報の取扱いに対する取組みに関しては「5月30日から全面施行!改正個人情報保護法に企業はどう対応すればよいのか【解説記事まとめ】」を参照してください。