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他者から著作権を侵害していると通知を受けた場合の対処法【2023年4月加筆】

著作権に関する法律

自社のコンテンツが著作権侵害?

自社のコンテンツが、著作権を侵害している…。こんな著作権侵害通知を受け取った場合、どのような対応をすればよいのでしょうか?

著作権侵害通知を受け取った場合、まずは侵害通知に記載された事実関係や権利侵害の有無などを検討します。

担当者から聞き取りを行いながら検討します。そのうえで、著作権侵害が成立する可能性の大小や、訴訟提起に至る可能性の大小、通知人の要求事項などを踏まえて、被疑侵害者としてどのような対応を取るのか、どのような回答を行うのかを検討します。

対応として検討すべき主な点は、次の3つです。

  • 自社コンテンツの使用を停止するか否か
  • 販売数量等を開示するか否か
  • 侵害通知への回答をするか否か及びその内容

自社コンテンツの使用を停止するか否か

多くのケースで最初に検討するのが、権利侵害と指摘されている行為を中止するか否かです。

侵害行為とされているコンテンツを中止するか否かによって、その後訴訟提起に至る可能性も大きく変わってきますし、侵害通知や権利者の他の要求事項に対する対応方針も変わり得ます。

通常、侵害が成立する可能性の大小が、コンテンツの使用を中止するか否かの判断に大きな影響を与えます。侵害が成立する可能性が高ければコンテンツの使用を中止し、低ければ継続するという判断になりやすいでしょう。

その他にも、被疑侵害行為とされる表現行為の目的がどの程度達成されているのかや、被疑侵害行為を中止した場合の経済的な影響や取引先などとの関係への影響、他の類似案件への影響、紛争の早期解決のメリットなどを総合的に考慮して、被疑侵害行為を中止するか否かを決定します。

これらの事情によっては、権利侵害をしている可能性が高いとしても被疑侵害行為を継続せざるを得ない場合もありますし、権利侵害をしている可能性が低くても中止を決定することもあります。

被疑侵害行為を中止する場合には、当該表示を削除してしまうのか、他の表現に差し替えるのか、いつから中止するのかなども検討する必要があります。

ウェブサイトなどに掲載されている場合であれば、侵害表現の部分だけを削除したり、差し替えたりすることも比較的容易ですが、印刷物などの場合には部分的な削除や差替えは困難ですので、現在保有している在庫状況なども考える必要があります。

販売数量等を開示するか否か

権利者が侵害通知において、販売数量等の開示を求めている場合、その開示をするか否かを検討する必要があります。

この場合も、権利侵害が成立する可能性の大小、自社コンテンツの利用を中止するか否か、訴訟を提起される可能性の大小、訴訟を提起された場合の経済的、社会的な影響、早期解決のメリットなどを考慮して、開示するか否かを検討することになります。

侵害通知への回答をするか否か及びその内容

ケースによって、侵害通知に対してまったく回答をしないということも考えられます。しかし侵害通知を受けているのに何も回答をしなければ、通知人としては誠実な対応が期待できないと考えるでしょうから、訴訟を提起されてしまうリスクは増加します。

したがって、侵害通知を受け取ったら、著作権侵害が成立しないと考える場合であっても、何かしらの回答を行う方がよいと思います。

実務上多い回答は大きく分けると、次の3つが挙げられます。

  1. 侵害を認め要求事項の全部又は一部に応じる旨の回答
  2. 侵害は否認しつつ自社コンテンツの利用は中止する旨の回答
  3. 著作権侵害には応じない旨の回答