特定の人物への面談や連絡等の一切の接触を禁止する「接近禁止命令」日本では、ストーカーやDVの被害者の方が申し立てるケースが多いです。
そんな中、米ニューヨークの裁判所が「裁判所から接近禁止命令が出ているにも関わらず、フェイスブックで「タグ付け」の投稿を行ったことが、接近禁止命令違反となる」という判決を下しました。
事案としては、ある女性が、義理の妹と接触してはいけないという保護命令(接近禁止命令)を受けていたにも関わらず、フェイスブック上で義理の妹を「タグ付け」し、さらに「愚かだ」なとど投稿したという事案です。
ニューヨークの裁判所は、フェイスブックのタグ付けは、「タグ付けがされると相手に通知がされる。よって、この意味で、保護命令に違反する」という判断を示しました。
これが、もし日本だったらフェイスブックにタグ付けする行為は、接近禁止命令違反になるのでしょうか?
日本では、配偶者暴力防止法(DV防止法)で、裁判所が、配偶者や交際相手との連絡を禁止する保護命令の規定やストーカー規制法での、いわゆる「つきまとい」行為を禁止する命令が規定されています。
日本における「接近禁止」は、連絡をとることをいいます。つまり、実際に会うことはもちろん禁止ですが、手紙や電子メールを送ることも禁止されます。
しかし上記法律は、「電子メールを送信すること」は規制されますが、フェイスブックなどのSNSの投稿は、規定されていません(というか、法律がSNSを想定していない)。
よって、日本において、接近禁止されている相手方をタグ付けする行為は、上記法律には違反しないというのが現状です。
「いや、それはおかしいだろう」というのが、大抵の方の意見だと思います。まさに、現在の技術に法律が追いついていない典型例だといえます。
私個人としても、一番されたくないのが、無許可でのタグ付け。おいおい、どういう神経しているんだと疑いたくなりますが、無許可でのタグ付けは法律に違反するのでしょうか?
これはプライバシー権が問題になります。
フェイスブックでタグ付けすることにより、タグ付けされた方のある人の行動が明らかになります。まさに、その人のプライバシーが明らかにされてしまうことになります。
「プライバシー権侵害」として、慰謝料等の損害賠償請求をすることも可能なのです。法律違反の前に、無断でのタグ付けは、信頼を失いかねないので、絶対にやめましょう!