セカンドオピニオンとは、一般的には、治療の進行状況、次の段階の治療選択等について、現在診療を受けている担当医とは別の医療機関の医師が「第2の意見」を提供することをいいます。
病院によって、治療方針なども異なるため、多くのセカンドオピニオンを集める方もいます。
このセカンドオピニオンを提供する場合には、どのような法律が関わってくるのでしょうか?
療担規則2条の4の2第2項は、以下の行為を病院がすることを禁止しています。
そのため、セカンドオピニオンの提供医師の紹介サービスについても、当該サービスが保険医療機関から料金の支払いを受けるビジネスモデルの場合、当該料金の支払いが上記の禁止に違反しない範囲内でこれを実施する必要があります。
以下、注意すべきポイントを解説します
患者紹介とは、病院と患者を引き合わせることであり、病院に患者の情報を伝え、患者への接触の機会を与えること、患者に保険医療機関等の情報を伝え、患者の申出に応じて病院と患者を引き合わせること等も含まれます。
病院が、事業者に対して、患者を紹介する「対価として」金品を提供すること等を禁止します。
ここで、問題とされる金品等の提供が患者を紹介する「対価」であるか否かは、以下の指針が出ています。
厚生労働省保険局医療課長、厚生労働省保険局歯科医療管理官
「保険医療機機関及び保険医療養担当規則等の一部改正に伴う実施上の留意事項について」(平成26年3月5日)
その中で、直接的に、対価として金品を提供をするのはNGですが、以下のような場合もNGとされています。
金品の提供は、保険医療機関と事業者の間で契約書に基づき明示的に行われる場合のほか、医療機関の土地賃借料に金額が上乗せされて提供される場合等、様々な方法により行われる場合がある
訪問診療の広報業務、施設との連絡・調整業務、訪問診療の際の車の運転業務等の委託料に上乗せされている場合、診察室等の賃借料に上乗せされている場合も考えられ、契約書上の名目に関わらず、実質的に、患者紹介の対価として、経済上の利益が提供されていると判断される場合には、・・・・・・(対価としての金品の提供等に)該当するものとして取り扱う
そして、患者紹介の対価が上乗せされていると疑われる場合は「当該地域における通常の委託料・賃借料よりも高くはないこと、社会通念上合理的な計算根拠があること等が示される必要がある」とされています。
また「診療報酬の一定割合と設定されている場合は、実質的に、患者紹介の対価として支払われているものと考えられる」とし、「患者数に応じて設定されている場合は、業務委託・賃借の費用と患者数が関係しており、社会通念上合理的な計算根拠があること等が示される必要がある」とされています。
また、上記規定は、「自己の保険医療機関において診療を受けるように誘引する」を禁止しています。
例えば、セカンドオピニオンの提供医師の紹介ページにおいてアプリ・ウェブサイトの運営者が各医師の評価を記載したり、順位・序列を付すなどして、明示または黙示に利用者に特定の医師の受診を誘導するような内容のものについては、当該特定の医師との関係で患者を「自己の保験医療機関において診療を受けるように誘引する」ものにあたるとして、同条項違反の問題を生じる可能性が高いといえます。
これに対して、登録されたセカンドオピニオンの提供医師が一覧形式で掲載される等、利用者が自由に医師を選択できる内容となっていれば、登録されているいずれの医師との関係でも、患者を「自己の保険医療機関において診療を受けるように誘引する」ものといえるでしょう。