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キュレーションメディアが法律上の責任を負うケースを解説【著作権法&プロバイダ制限責任法】【2020年12月加筆】

著作権に関する法律

キュレーションメディアの2つのタイプ

DeNAのWelq問題で、取りざたされたキュレーションメディアの法律上の問題点。

IT弁護士が解説!DeNA医療情報サイト「ウェルク(Welq)」は法律的には、どこがいけなかったのか?

しかし、一言で、キュレーションメディアを言っても、様々な形態があります。

プラットフォーム型

一つは、事業者がキュレーションメディアのプラットフォームを提供し、ユーザーが投稿するもの(プラットフォーム型

メディア型

もう一つは、事業者が自らが記事を作成し、投稿するタイプのもの(メディア型

キュレーションメディアとしては、このどちらに該当するかによって、事業者の責任が異なるのです。

プロバイダ制限責任法が重要

プロバイダ制限責任法では、プラットフォーム型のキュレーションメディアについて、事業者は、権利侵害記事があったとしても、以下の場合にのみ、損害賠償責任を負うことになります。

  1. 事業者が他人の権利が侵害されていることを知っていた
  2. 知ることができたと認められる相当の理由があった

プラットフォーム型については、ユーザーが記事を投稿するため、事業者としては、常時監視することができないので、このような規定になっています。

一方で、メディア型のキュレーションメディアは、自社で記事を作成しているので、上記の法律の適用がありません「法律違反だと知りませんでした」は通用しないのです。

プラットフォーム型とメディア型の両方の性質がある場合

「プラットフォーム型」と「メディア型」の2つのタイプに分けましたが、サービスによっては、ユーアーに投稿してもらうし、自社でも記事を作成、投稿するという場合があります。

問題となったDeNAのキュレーション事業では、第三者委員会の報告書、「iemo及びMARYは、プラットフォームとメディアの双方を併せ持っていたと評価せざるを得ない」と述べられてます。

第三者委員会調査報告書の全文開示公表のお知らせ

キュレーションメディアにおいて「プラットフォーム型」と「メディア型」が混在している場合には、ユーザーから投稿された部分については、プロバイダ責任制限法が適用され、法律上の責任が限定されますが、自社で作成した部分については、損害賠償などの責任を負うことになるのです。

キュレーションメディア事業者として気を付けるべきこと

事業者は、ユーザーから投稿を受けた記事については、他のユーザーから名誉棄損や著作権侵害の通報を受けた場合には、速やかに対処をする必要があります。

また、自社で作成した記事については、記事を投稿する前に「著作権などの権利侵害がないか」など法律上の確認する必要があるのです。

「プラットフォーム型」と「メディア型」かは、形式的ではなく、実質的な判断がされますので、自己の判断によることなく、どういう場合に、法律上の責任を負うのか、十分に検討してください。