DeNAのWelq問題で、取りざたされたキュレーションメディアの法律上の問題点。
IT弁護士が解説!DeNA医療情報サイト「ウェルク(Welq)」は法律的には、どこがいけなかったのか?
しかし、一言で、キュレーションメディアを言っても、様々な形態があります。
一つは、事業者がキュレーションメディアのプラットフォームを提供し、ユーザーが投稿するもの(プラットフォーム型)
もう一つは、事業者が自らが記事を作成し、投稿するタイプのもの(メディア型)
キュレーションメディアとしては、このどちらに該当するかによって、事業者の責任が異なるのです。
プロバイダ制限責任法では、プラットフォーム型のキュレーションメディアについて、事業者は、権利侵害記事があったとしても、以下の場合にのみ、損害賠償責任を負うことになります。
プラットフォーム型については、ユーザーが記事を投稿するため、事業者としては、常時監視することができないので、このような規定になっています。
一方で、メディア型のキュレーションメディアは、自社で記事を作成しているので、上記の法律の適用がありません。「法律違反だと知りませんでした」は通用しないのです。
「プラットフォーム型」と「メディア型」の2つのタイプに分けましたが、サービスによっては、ユーアーに投稿してもらうし、自社でも記事を作成、投稿するという場合があります。
問題となったDeNAのキュレーション事業では、第三者委員会の報告書、「iemo及びMARYは、プラットフォームとメディアの双方を併せ持っていたと評価せざるを得ない」と述べられてます。
第三者委員会調査報告書の全文開示公表のお知らせ
キュレーションメディアにおいて「プラットフォーム型」と「メディア型」が混在している場合には、ユーザーから投稿された部分については、プロバイダ責任制限法が適用され、法律上の責任が限定されますが、自社で作成した部分については、損害賠償などの責任を負うことになるのです。
事業者は、ユーザーから投稿を受けた記事については、他のユーザーから名誉棄損や著作権侵害の通報を受けた場合には、速やかに対処をする必要があります。
また、自社で作成した記事については、記事を投稿する前に「著作権などの権利侵害がないか」など法律上の確認する必要があるのです。
「プラットフォーム型」と「メディア型」かは、形式的ではなく、実質的な判断がされますので、自己の判断によることなく、どういう場合に、法律上の責任を負うのか、十分に検討してください。