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【風営法】アダルト配信事業を始めるための行政手続き完全ガイド

IT企業のための法律

アダルト配信ビジネスを始めようと考える企業経営者にとって、どのような許可や手続きが必要なのかを正確に理解することは重要です。

日本においては、アダルト配信事業は風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)によって厳しく管理されており、適切な手続きを怠ると罰則の対象となります。

本記事では、アダルト配信事業の基本的な許可要件や運営上の注意点について詳しく解説します。

アダルト配信事業の定義と該当する事業タイプ

風営法第2条第8項では、アダルト配信ビジネス、または「映像送信型性風俗特殊営業」と定義されています。これは、インターネットを通じて「性的好奇心をそそる内容」の映像を提供し、利用者に視聴させる事業を指します。具体的には次のようなビジネスが該当します。

有料アダルトサイト:性的なコンテンツを提供し、視聴するために課金が必要なサイト

アダルトライブチャット:性的なコンテンツのライブ配信で、視聴者が出演者とリアルタイムでやり取りできるサービス

これらの事業形態において、たとえ無料であったとしても、アフィリエイト広告などで収益化を図る場合には、事業者として届け出が必要とされるため、注意が必要です。

アダルト配信事業の許可が必要となる判断基準

アダルト配信事業が許可を要するかどうかの判断は、配信内容が「性的な行為」または「衣服を脱いだ状態」を含むかどうかに基づいています。

「性的な行為」:自慰行為や性交行為、またはそれらに類似する行為の描写を含むもの。例えば、裸での性的なパフォーマンスや、性的興奮を誘発する行動を示す映像がこれに該当します。

「衣服を脱いだ状態」:全裸や半裸など、社会通念上において人が公衆の面前で着用すべきとされる衣服を脱いでいる状態を指します。これには、例えば水着や下着姿での映像も含まれる可能性があります。

これらに加えて、アニメやイラストなどの「二次元表現」は、通常この定義には該当しないため許可が不要です。しかしながら、配信された映像が「視聴者の性的欲求を満たすかどうか」によっても、許可の要否が判断されることがあるため、配信内容の選定には注意が必要です。

事務所の設置と届出に関する手続き

アダルト配信事業を合法的に行うためには、事業の拠点となる事務所を用意し、所轄の警察署に事前届出を行う必要があります。

事務所探しのポイント

事務所を借りる際、性風俗関連の事業であることを不動産オーナーに伝える義務がありますが、多くのオーナーはこの種のビジネスに対し否定的な立場を取るため、事務所探しが難航するケースが多いです。このため、性風俗関連事業に理解がある不動産業者を通じて探すのが現実的です。

レンタルオフィスの活用

レンタルオフィスも選択肢の一つですが、オープンスペースのような区画がないタイプは営業所としての登録が認められません。

また、レンタルオフィスでも性風俗関連の事業に対する使用承諾を得るのは難しいことが多いため、事前の確認が重要です。

アダルト配信事業の届出に必要な書類とその内容

アダルト配信事業を開始するにあたり、営業の開始予定日から10日前までに、事務所所在地を管轄する警察署へ必要書類を提出しなければなりません。

  1. 映像送信型性風俗特殊営業営業開始届出書:営業方法や業務内容を記載する書式で、警視庁のウェブサイトからダウンロード可能です。
  2. 事務所の建物謄本:法務局で事務所建物の謄本を取得し、事務所の正式な所在地や所有者情報を明確にします。
  3. 使用承諾書:事務所の建物オーナーから取得する承諾書です。映像送信型性風俗営業に使用する旨、住所、使用期間などを記載し、オーナーの署名押印が必要です。
  4. 賃貸契約書のコピー:賃貸契約書の全ページのコピーが必要です。
  5. 法人登記簿謄本と定款:法人の場合は登記簿謄本の原本と定款のコピーが必要です。
  6. 住民票:法人の役員全員分の住民票(本籍地記載・マイナンバーなしのもの)が必要です。
  7. 事務所周辺の略図と平面図:ゼンリン地図を使って周辺図を用意し、事務所の机やPCなどが記載された平面図を作成します。
  8. ドメイン所有の証明:ドメイン購入履歴や証明書類が求められます。なお、複数ドメインを使用する場合は、各ドメインごとに届出が必要です。

事業運営上の法的留意点と遵守事項

許可を得て事業を開始した後も、風営法に基づく法的な遵守事項を守る必要があります。事業を円滑に運営するために注意すべきポイントを以下に説明します。

年齢確認の徹底とシステム構築

アダルト配信サービスは、未成年者が利用できないようにする対策が義務付けられています。

利用者の年齢を確認するために、運転免許証や保険証、パスポートなどの本人確認書類を求め、18歳未満が利用できない環境を整える必要があります。

また、支払い方法はクレジットカードなど、未成年が利用しにくい決済方法が推奨されます。さらに、年齢確認が完了した利用者にはパスワードやIDを発行し、サービス利用時に認証を行うことで、未成年の利用を防ぐ施策が求められます。

広告表示の制限

アダルト配信事業では、風営法に基づき広告表示にも制限が課されています。

例えば、広告物制限区域内での掲示は禁止されており、住宅へのチラシのポスティングも禁じられています。違反すると罰則の対象となるため、広告展開には注意が必要です。

事務所への立ち入り調査

届出を行った事務所には、警察官による立ち入り調査が行われることがあります。

これは風営法の規制に基づくもので、営業内容が法に沿っているかを確認するための措置です。日頃から法令遵守を徹底し、健全な運営に努めることが重要です。

変更届の義務

運営するサイトのドメインや法人の登記内容が変更された場合、20日以内に変更届を提出する義務があります。土日祝日を含む20日以内に提出を行わないと違法と見なされるため、速やかに変更手続きを行いましょう。

法令遵守による健全にアダルト配信事業を行う

ここまで解説をした通り、アダルト配信事業を始める際には、届け出が遅れたり必要な手続きが漏れると罰則の対象となるため、許可取得をきちんと行うことが必要です。

また、アダルト配信事業を長期的に成功させるためには法令遵守は、不可欠です。

特に、青少年の健全育成を阻害しないための規制や、地域社会に対する配慮を忘れずに運営を行うことが重要です。

風営法による厳格な規制の下で、事業者として遵守すべき事項を理解し、健全なビジネス展開を目指しましょう。

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