ネット上には弁護士監修の契約書の雛形が多々あげられています。契約書の雛形を、そのまま丸パクリをして自社の契約で使っても法律的に問題はないのか?というご質問を頂くことも多いです。
そこで今回は、ネット上で配布されている「契約書の雛形」を丸パクリして使用することの法律的な問題点について解説をします。
この記事の目次
ネット上で配布されている「契約書の雛形」で、問題となるのが著作権です。
著作権によって他人が作ったコンテンツは勝手に使ってはいけないとされていますが、ここでポイントとなるのが契約書は著作物なのかどうかです。
著作物とは思想または感情を創作的に表現したもので、オリジナリティがあるかどうかが要点となります。そもそもオリジナリティがないコンテンツについては著作物ではないので著作権の保護にはあたいせず使ってもよいとされています。
このオリジナリティですが、全く新しい発明と言えるものではなく、何かしらの固有の個性やオリジナリティがあればOKとされています。そのためイラストや写真には、素人が撮ったものでも著作物になりますし、文章についもある程度の分量があれば、それは著作物になります。
契約書が著作物にあたるかについては裁判例があります。
「契約書は思想または感情を創作的に表現したものであるとはいえない」として、原則として著作物ではないとされています。
契約書は書いてあることや文言が同じで大部分は決まっているため、オリジナリティやバリエーションはありません。このことから結論としては契約書を丸パクリしてもよいという裁判例が出ているわけです。
ただし利用規約については、そのまま使用して著作権侵害とされた例があります。
ここでは利用規約を契約書として考えていただきたいのですが、この裁判で問題となった利用規約については思想または感情を創作的に表現したものとされました。
そのため、丸パクリした場合は著作権侵害になるとしています。
契約書の雛形の著作権については、あくまでも著作物にあたるかどうか。つまりオリジナリティがあるかどうかです。
契約書や利用規約についても通常のテンプレとは違うものや特殊な場合は、著作物となるため丸パクリをすると著作権侵害となってしまいます。
とくに利用規約についてはWEBサービスなどの比較的新しいサービスに使われるケースが多いため、通常のテンプレというよりはオリジナリティがあると判断されやすくなります。
実際に契約書では認められた使用が、利用規約では認められなかった裁判例があることを考えると、正直なところ丸パクリは危険です。
秘密保持契約のようなどこでも見たことがあるようなテンプレであれば別かもしれません。
しかし、新しい技術やWEBサービスなどの契約書や利用規約については著作物であると判断される例も多いので、この点については十分に注意してください。
契約書の雛形の使用についての法律点として「著作権」については上記の通りですが、そもそも契約書のテンプレートを使うのは、ビジネス的に大丈夫なのでしょうか?
ネットで落ちている契約書の雛形は、規定としてはちゃんとしていると思います。
しかし契約書で大事なのは、自社にとって有利であること(不利でないこと)です。雛形はあくまで雛形で、中立的に書かれていることも多いです。
ここは譲れないというビジネス上の目的を、その契約書は満たしているのかは、ちゃんと調査した方がよいです。
新規サービスやビジネスについては、既存のビジネスの契約書の雛形ではカバーできません。自社の差別化ポイントを、どうやって契約書や利用規約で表現するのかは、雛形には載っていないのです。
ネットで落ちている契約書の雛形を使うことが悪いことではないのですが、自社の取引に合っているのかは、きちんと調べるようにしましょう!
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