取引先から契約終了後に秘密保持契約(NDA)を求められたが、これについて対応は必要なのか?契約するメリットはあるのか?というご質問を頂きました。
システム開発やサイト制作などの場合に、このようなケースは非常に多いです。
発注者から秘密情報を受けることも多いためそれらの情報をもらさないようにという趣旨で契約終了後にさらにNDAの締結を求められることは多々ありますが、これに対応しなければいけないのでしょうか。
結論としては、対応する義務はないので断ってもOKです。そもそも契約を締結するかどうかは自由なので、契約の締結を強制する法律はありません。
これは契約自由の原則といい、どういった内容で契約を締結するか、そもそも契約を締結するかどうかは自由とされています。
契約は義務ではなく拒否をしても法律上の不利益はありません。つまり、契約締結を拒否しても損害賠償請求されるなどということは絶対にないわけです。
ただ、もし不本意でも言われるがままに契約を締結してしまった場合には契約を守る必要があります。
秘密保持契約にサインしてしまったのであればその条項を破った場合には損害賠償請求などもあり得ます。ただし、そこに不当な条項がある場合にはそれは無効となりますが、原則的には守る必要があるので注意が必要です。
秘密保持契約を締結するメリットを考えると、正直なところフリーランス、つまり受託側にメリットはないと思います。
発注者が自社の情報をフリーランスの方に与えてしまったためそれをどうにかしたい、秘密保持を守らせたいという意味で求めることが多いので、主に発注先の都合といえます。
このような場合、基本的には受け取った側としては守らなければいけない義務しかないため、法律上のメリットはないと思います。
ただし、これは法律上のメリット、デメリットの話になります。
たとえば秘密保持契約を拒否した場合に今後の取引がなくなる可能性もあります。発注者側が秘密保持契約をしないのであれば今後の発注をやめるということもまた自由です。
契約を締結するかどうかについては発注先にもその権利があるので、そういった意味では事実上のデメリットはあるかもしれません。
業界内で「秘密保持契約をしないから取引をやめた」という話が流れたことで仕事がなくなる可能性もありますが、それに対して文句は言えません。
もちろん根も葉もないことを言って名誉を棄損するようなケースであれば別ですが、事実として「取引をやめた」と言うこと自体に問題はありません。
契約の締結については発注先も受託者も両者が自由であるということを押さえて判断をしていきましょう。