IT企業、特にスタートアップ・ベンチャー企業は、自社のリソースが限られてきているので、外注することが考えられます。
一言で外注契約と言っても、実は、色んな契約形態があります。細かいことが分からずに、契約をしてしまうと、後からそんなつもりはなかったと、トラブルになってしまう可能性があります。
外注契約の代表的なものは、請負契約、準委任契約、SES契約、業務委託契約、派遣契約の5つの契約形態あります。
法律違反をしてしまうと、罰則がある場合もありますので、注意が必要です。
請負契約とは、受注する側が仕事の完成を義務付けられ、その結果に対して報酬を支払うというものです。IT業界では、ソフトェアの開発などの場合によく用いられます。
例えば、発注者から委託されたアプリ開発について、ベンダがそのアプリを仕様書どおりに完成・納品をし、その対価として報酬を得るような契約です。
請負契約には、次のような特徴があります。
準委任契約とは、請負契約と違い仕事の完成を目的としていません。一定の作業に対し、報酬を得られるというものです。
IT業界では、システム開発の要件定義、外部設計の段階や運用・保守契約などの場合によく用いられます。
準委任契約には、次のような特徴があります。
SES契約とは、システム・エンジニアリング・サービスの略称です。主に、システム開発案件のみで用いられる契約形態です。
SES契約は、法律上の用語ではなく、法律上は、上記の準委任契約になります。
SES契約では、クライアントの事業所内で委託された開発業務を行う契約であるものが多いことから、客先常駐による開発委託契約を「SES契約」として認識をしている企業が多いです。
しかし、客先常駐がどうかは関係がなく、あくまで、名称が特殊なだけであり、中身は準委任契約であることになります。当然、特徴としても準委任契約と同様です。
「人貸し」や「派遣」などといった「人出し」であると考えられている企業も多くいますが、あくまで、業務の委託が目的です。
ここを誤ると、「偽装請負」に発展することになるので、注意が必要です。
SES契約とは?法律的に違反にならないためのポイント【解説】
SES事業者からよく頂く質問とその回答集です。
派遣契約とは、クライアント先に、労働者を派遣する契約を指します。
上記の請負契約や準委任契約などの業務を行う契約とは、異なるものになります。
派遣契約には、次のような特徴があります。
派遣業のライセンスを取得するためには、一定の基準があります。基準を満たさない企業には許可がおりず、派遣業をすることができません。
ここで、SES契約との違いが問題になってきます。
SES契約では、客先常駐によるものが多いため、SES契約としながら、実態として派遣を行うといった契約をする事業者が増えてきています。
これが、いわゆる「偽装請負」になるのです。
これらのポイントをまとめると、以下のようになります。
自社の契約形態がどういうものかを理解し、運用することが必要になります。