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IT企業が外注契約するときのチェックポイント【請負、準委任、SES、業務委託、派遣とは】

IT企業のための法律

外注契約とは

IT企業、特にスタートアップ・ベンチャー企業は、自社のリソースが限られてきているので、外注することが考えられます。

一言で外注契約と言っても、実は、色んな契約形態があります。細かいことが分からずに、契約をしてしまうと、後からそんなつもりはなかったと、トラブルになってしまう可能性があります。

外注契約の代表的なものは、請負契約準委任契約SES契約業務委託契約派遣契約の5つの契約形態あります。

法律違反をしてしまうと、罰則がある場合もありますので、注意が必要です。

請負契約

請負契約とは、受注する側が仕事の完成を義務付けられ、その結果に対して報酬を支払うというものです。IT業界では、ソフトェアの開発などの場合によく用いられます。

例えば、発注者から委託されたアプリ開発について、ベンダがそのアプリを仕様書どおりに完成・納品をし、その対価として報酬を得るような契約です。

請負契約には、次のような特徴があります。

  • 受注者は、発注者が、労務時間や業務手順(指揮命令)などを細かい管理ができない
  • 原則、発注業務が完成しなければ、報酬は得られない
    (2020年4月1日からの民法改正で、完成したところまでの報酬を支払うという場合もある)
  • 納品した仕事に対して、責任を負う(契約不適合責任(瑕疵担保責任)

準委任契約とは

準委任契約とは、請負契約と違い仕事の完成を目的としていません。一定の作業に対し、報酬を得られるというものです。

IT業界では、システム開発の要件定義、外部設計の段階や運用・保守契約などの場合によく用いられます。

準委任契約には、次のような特徴があります。

  • 発注者による業務時間などの細かい指揮命令はできない
  • 成果に対する報酬ではなく、作業に対して報酬が支払われる
  • 契約不適合責任は負わず、通常考えられる注意を行っていれば、完了した仕事に対して責任を負わない(善管注意義務

SES契約とは

SES契約とは、システム・エンジニアリング・サービスの略称です。主に、システム開発案件のみで用いられる契約形態です。

SES契約は、法律上の用語ではなく、法律上は、上記の準委任契約になります。

SES契約では、クライアントの事業所内で委託された開発業務を行う契約であるものが多いことから、客先常駐による開発委託契約を「SES契約」として認識をしている企業が多いです。

しかし、客先常駐がどうかは関係がなく、あくまで、名称が特殊なだけであり、中身は準委任契約であることになります。当然、特徴としても準委任契約と同様です。

「人貸し」や「派遣」などといった「人出し」であると考えられている企業も多くいますが、あくまで、業務の委託が目的です。

ここを誤ると、「偽装請負」に発展することになるので、注意が必要です。

SES契約とは?法律的に違反にならないためのポイント【解説】

SES事業者からよく頂く質問とその回答集です。

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派遣契約とは

派遣契約とは、クライアント先に、労働者を派遣する契約を指します。

上記の請負契約や準委任契約などの業務を行う契約とは、異なるものになります。

派遣契約には、次のような特徴があります。

  • 派遣する側(派遣元)には、ライセンスが必要
  • 派遣された者に、クライアントが直接、指揮命令をすることができる
  • 派遣労働者や派遣元事業者に対し、完成責任がない

派遣業のライセンスを取得するためには、一定の基準があります。基準を満たさない企業には許可がおりず、派遣業をすることができません。

ここで、SES契約との違いが問題になってきます。

SES契約では、客先常駐によるものが多いため、SES契約としながら、実態として派遣を行うといった契約をする事業者が増えてきています。

これが、いわゆる「偽装請負」になるのです。

外注契約のまとめ

これらのポイントをまとめると、以下のようになります。

  • 「請負契約」・「準委任契約」と「契約」の最大の違いは、指揮命令権の有無
  • 「準委任契約」=「SES契約」である
  • 「SES契約」を正しく行わず、「派遣契約」の真似事をすると、「偽装請負」となることがある

自社の契約形態がどういうものかを理解し、運用することが必要になります。