景品表示法は、弊社でも一番相談事項が多い法律です。企業が広告を打つとき、プレゼント企画をするときに大きく関わってきます。
そこで今回は景品表示法について、企業が気を付けるべき点について解説します。
景品表示法は、正式名称を「不当景品類及び不当表示防止法」といいます。企業が商品やサービスを宣伝・販売する際に消費者を誤解させることなく正しい情報を提供するために制定された法律です。
この法律は、過剰な景品提供や誤解を与えるような不適切な広告表示を防ぎ、消費者の正当な選択を守ることを目的としています。
景品表示法は大きく二つの柱で成り立っています。
この不当表示は2つのことを禁止しています。
一つは、広告や商品説明において、事実と異なる内容や消費者に誤解を与えるような誇大表現を禁じています。つまり「盛った表現」をしてはいけないよというものです。
もう一つはステルスマーケティング規制です。ステマは事実であろうがなかろうが、ステマ自体がNGなのです。ステマ規制については、こちらを参照してください。
販売促進のために景品を提供することはよく行われますが、過剰な景品の提供は企業間の不正な競争を助長する可能性があるため、一定の範囲で制限されています。
景品表示法は、2024年10月1日から改正法が施行されています。この改正では事業者側に厳しい規制内容になっています。具体的に見ていきます。
これまで景品表示法違反に対する対応は、行政処分の「措置命令」があり、それに従わなかった場合に、刑事罰が可能でした。
しかし改正法により、いきなり刑事罰が可能になりました。重大な違反行為には迅速に厳格な対応がなされるようになりました。
10年以内に違反を繰り返す企業に対しては、課徴金が従来の1.5倍に増額されます。これは、過去の違反歴がある企業にとって非常に大きなリスクとなり、再発防止のための重要なプレッシャーを与えています。
そもそも課徴金とは行政が下す罰金みたいたものです。具体的には、違反が確認された商品の売上額の3%が課徴金として課されます。課徴金の計算期間は最大3年間で、企業の売上規模が大きいほど違反リスクが増大するので注意しましょう!
広告やプロモーションにおける表示規制は、景品表示法の中で特に厳格に取り締まられている分野です。消費者が誤解を抱かないように、企業は広告表現に細心の注意を払う必要があります。
以下に主な表示規制を詳述します。
これは事実とは異なること、優れているかのような広告することを言います。
最近問題となったのは、チョコザップを運営するライザップ社がジム以外の設備は、利用時間が限定をされているにも関わらず、「24時間利用可能」と謳っていたことについて、消費者庁から行政処分が下されました。
またよくある事例としては、「期間限定」「今だけ」と表示して、実際はずっとその価格で売られていたという場合です。これも消費者庁から措置命令が多数下っています。
「通常5,000円のところを、3,000円!」といった二重価格表示は、実際の価格が通常価格よりも安く設定されていると消費者に錯覚させる手法です。しかし、二重価格表示にある「通常価格」と表示するには、一定の要件があります。
これはガイドラインに記載されており、通常価格とするには、以下の2点が求められます。
販売実績のない価格を「通常価格」として表示することは違反となるため、企業は実際の価格設定を明確にする必要があります。
比較広告をすること自体は問題ありませんが、客観的で正確なデータに基づいている必要があります。客観性を欠く比較広告は消費者の選択を誤らせるおそれがあるため、消費者庁では比較広告に関しても厳しい規制を設け、ガイドラインを公表しています。
調査結果の引用は、実際行われた条件について正確に表示をする必要があります。調査結果の一部を引用する場合には、自社の有利な部分を抜き出すなど、恣意的なものであってはなりません。
また調査結果を引用して比較する場合には、一般消費者が調査結果を正確に認識できるようにするため、調査機関、調査時点、調査場所等の調査方法に関するデータを正確に表示することが必要です。
例えば特定の事項について比較し、それが商品・サービスの全体の機能、効用等に余り影響がないのに、あたかも全体の機能、効用等が優良であるかのように強調する場合、不当表示となるおそれがあります。
景品表示法において「景品」とは、商品やサービスの販売促進のために消費者に提供される金銭や物品、その他の経済上の利益を指します。企業が景品を提供する際には、法令に従って制限を遵守する必要があります。以下は景品規制の主要な項目です。
景品提供は「一般懸賞」と「総付景品」に分類され、それぞれに異なる規制が設けられています。
一般懸賞とは、抽選やくじ引きなど、購入者の一部にのみ景品が提供される場合です。
一般懸賞においてのプレゼントの上限金額は以下の通りです。
例えば3,000円のものを買ったら、プレゼントという場合は、プレゼントの上限金額は20倍までの6万円までとなります。
「総額」にある「売上予定総額」については、過去事例からの推計、類似商品の売上からの推計など、何かしらの根拠が必要です。
総付景品として商品購入者全員にプレゼントを提供する場合には、プレゼントの金額に以下の制限があります。
上記のプレゼントの金額はどうやって算定するのでしょうか。これは提供するプレゼントが市場に流通している商品かどうかによって算定方法が異なります。
市販されている場合:通常の販売価格、相場価格、または市場平均価格が基準とされます。つまり、一般的に消費者が購入できる価格が基準となるため、実際の流通価格に基づいた価額を考慮する必要があります。
市販されていない場合:類似品の市場価格、プレゼントを制作するための原価に基づき算定します。特に、景品が特別に制作された非市販品である場合、その価額が適切であることを証明するための根拠が求められます。
プレゼントを提供する場合でも景品表示法が適用されないケースがあります。
例えば、「キャッシュバック」や初月無料といった値引き、購入した商品と同一の商品をプレゼントする場合、紹介者への謝礼などが挙げられます。これらは景品表示法の対象外とされています。
景品表示法に違反した場合、企業には懲役や罰金といった厳しい罰則が科される可能性があります。また、消費者庁からの措置命令や課徴金納付命令など、法に基づく行政処分もあります。
景品表示法違反に対しては、次のような制裁が定められています。
2年以下の懲役または300万円以下の罰金:企業の違反行為が著しい場合には、刑事罰として懲役や罰金が科されます。また、報告義務や資料の提出命令に違反した場合にも、1年以下の懲役や300万円以下の罰金が科される可能性があります。
課徴金納付命令:不当表示による売上の3%相当額を課徴金として納付するよう命じられる場合があり、これにより企業は不正な利益を還元するよう求められます。
消費者庁は景品表示法違反の疑いがある企業に対し、次のプロセスで行政処分を行います。
企業にとって最も懸念すべきは、消費者庁からの問い合わせに適切に対応できず、処分内容が公開されるリスクです。取引先や消費者の信頼を失わないためにも、法令遵守の体制を整え、迅速に対応する姿勢が求められます。
広告や表示内容が法的に適切であるかを確認するため、企業は表示の根拠と証拠を事前に用意しておくことが重要です。
適切な調査データやアンケート結果、数値データなどが必要となり、それらが消費者庁の調査に耐えられるかどうかも検証しておくべきです。
景品表示法違反が発覚した場合、企業は早急に是正措置を講じる必要があります。
是正書の提出や広告内容の修正、社内教育の強化など、違反防止のための取り組みを行うことで、再発を防止し、コンプライアンス体制の向上を図ります。
違反を放置するとさらなる罰則や措置命令が科され、企業イメージへの悪影響が大きいため、積極的に改善を行うことが求められます。
景品表示法に関する法令順守の姿勢を企業全体で共有し、広告やプレゼント企画に関わる部門への教育を実施することが重要です。
特に、広告担当者やマーケティング部門が景品表示法に関する知識を持つことで、違反リスクを未然に防ぐことが可能になります。
また、定期的なコンプライアンス監査を行い、法令順守の状況を確認することも有効です。必要に応じて外部の専門家と連携し、最新の法改正にも対応できる体制を構築しましょう。
景品表示法は、企業が消費者に対して誠実な情報を提供するための基本的な枠組みを提供する法律であり、消費者庁が監督しています。
企業は、広告や表示に関して正確な情報を提供し、不当な景品提供や誤解を招くような表示を避ける責任を負っています。
特に、近年の法改正により、違反行為に対する罰則が厳格化され、企業はより慎重な法令順守の姿勢が求められるようになりました。
消費者庁からの指導が入った場合、企業は即座に対応することで違反が拡大するのを防ぎ、顧客からの信頼を維持できる可能性が高まります。
今後も法改正が予想されるため、景品表示法に関する最新の情報をフォローしておきましょう!
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