アマゾンジャパンが、納入業者に対して、他のECサイトに比べて、最安値での出品を保障させる条項を見直すことを受け、公正取引委員会は「amazon(アマゾン)が独占禁止法に触れるものかどうかの調査を終了する」と発表しました。
公取委、アマゾンの調査終了へ 最安値保証の契約見直しで/日本経済新聞
(平成29年6月1日)アマゾンジャパン合同会社に対する独占禁止法違反被疑事件の処理について
この問題について、どのような法律問題があるのでしょうか?
アマゾンは、納入業者に対して「マーケットプレイス」での販売価格が、他のECサイトに比べて最安値であること。
その他の取引条件についても「マーケットプレイス」を優遇することを約束させていました。
この点が、独占禁止法上、問題となるのではないかと、公正取引委員会は問題視をしていました。
では、このような条件は、何が問題なのでしょうか?
上記のような取り決めは、アマゾンと納入業者の契約に関する問題であり、当事者が合意したのであれば、問題ないのではないかとも思われます。
しかも、納入業者は、一番最安値をアマゾンに約束させられていたわけですが、安い売られる分には、消費者にもメリットがあります。誰も、損していないように思われるのですが、何が問題なのでしょうか。
そもそも、独占禁止法という法律は、市場の自由競争に悪影響を及ぼすような契約などを規制する法律です。
談合などのカルテルや安売り禁止などの契約などが、規制される典型例です。
アマゾンの「マーケットプレイス」は日本のECサイトの中では、非常に有力なサイトです。
納入業者は、アマゾンから最安値条項の適用を受けると、他のECサイトでアマゾンよりも安い値段で販売しようすると、アマゾンでも同様に値下げが義務付けられます。
そうすると納入業者が、他のECサイトで安く出品することを控えるようになり、不当に値段が固定されてしまう可能性があります。
また、アマゾンは、その他の取引条件についても「マーケットプレイス」を優遇することを約束させていましたのですが、
当該条項によって、アマゾンにより安く、品質のいいものが、集中するようになれば、他のECサイトが太刀打ちできなくなってしまい、他の既存業者や新規参入業者の競争が制限されてしまう可能性があります。
以上のようなことから、公正取引委員会はアマゾンの最安値条項について、独占禁止法に抵触しないか、慎重に検討を加えていたのです。
基本的に、ECサイト事業者と納入業者の契約については、どのような規定をおいても問題ないのですが、販売価格について条件をつけたり、安売りを禁止するなどの条項は、独占禁止法に抵触する可能性があります。
独占禁止法に違反する疑いがあると、公正取引委員会から事情を聴かれたり、調査が開始することがあります。
独占禁止法違反にならなかったとしても、公正取引委員会が調査を開始したというだけで、ニュースになり、世間的にはマイナスイメージがもたれてしまう可能性があるのです。
ECサイト事業者は、契約問題について、今一度確認をしましょう!