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【法律】仮想通貨ビジネスをM&A(買収)する際の注意点【解説】

仮想通貨・デジタル通貨に関する法律

仮想通貨やブロックチェーンビジネスをM&Aをする場合

M&Aをする場合には、相手方企業の調査(デューデリジェンス(DD))が実施されます。

これは、相手方企業をM&Aする際に、相手方企業にリスクがないかをチェックするときに、徹底的な調査が行われます。

法律的な観点からは、その企業のリスクとなる要素がないかをチェックすることになります。

では、仮想通貨ビジネス、ブロックチェーンビジネス事業者を買収する場合に、どこに注目する必要があるのかを見ていきます。

行政処分を受けているか

仮想通貨事業については、まだ新しい業種であり、金融庁などの行政機関も、事業者の動向を探っています。

金融庁は、仮想通貨取引業者に対して行政処分を行っています。たとえば、仮想通貨の流出事件を起こしたコインチェックには、経営戦略の見直しや顧客保護の徹底等の業務改善命令が出されました。

また、業務改善計画の提出が指示されています。コインチェックは、1か月ごとに金融庁に進捗報告を行う旨の指示も受けています。

このように、行政処分を受けている企業は、行政に対して、対応する義務を負うことになっています。

仮に、このような企業を買収してしまうと、引き継いだ企業は、行政への対応も引き継ぐことになってしまいます。

法律への対応がされているか

仮想通貨やブロックチェーンビジネスについては、規制対応が非常に重要になります。仮想通貨法などの法律は整備されていますが、まだまだ、十分に整備されていません。

仮想通貨ビジネスに対しては、仮想通貨府令や仮想通貨ガイドラインにおいて、取引時確認、反社会的勢力による被害の防止、不祥事件に対する監督上の対応、苦情等への対処、利用者情報・財産の管理、帳簿管理などについて、遵守すべき事項が多岐に渡って詳細に記載されています。

仮想通貨やICOの法律規制と仮想通貨交換業の登録の流れを弁護士が解説

また、仮想通貨ビジネスについては、今後の法律的規制が、変更、追加される可能性があります。先日も、仮想通貨交換業、ICO規制について、金融庁から報告案がされました。

仮想通貨交換業等に関する研究会報告書(案)

現状の法令やガイドラインはもちろんですが、将来的な法律の状況も加味する必要があります。

ライセンス(許認可)が引き継がれるか?

仮想通貨やブロックチェーンビジネスにおいては「仮想通貨交換業者」「前払式支払手段発行者」「資金移動業者」等の規制対象事業となることが多く、それぞれ法律で定められた許認可を得なければ業務を実施できません。

よって、このような企業を買収する場合には、許認可を引き継ぐ必要があります。

そこで、許認可を引き継げるM&Aの仕方をみていきます。

株式譲渡

株式譲渡では、会社の株主構成が変わるのみで、法人格には変更がありません。よって、原則として新たな許認可手続は不要と考えられます。

しかし、株式譲渡なので、対象会社の株主、役員構成が様変わりし、もはや同一の法人といえないような場合には、念の為、相手方の許認可承継につき、金融庁などに確認しておいた方がよいでしょう。

また、仮想通貨交換業者においては、株式譲渡により商号変更や役員変更等が発生する場合は、法律上、届出手続が必要です。

事業譲渡、合併・分割

対象となる事業が譲渡され、または合併・分割がなされた場合、事業主体に変更されるので、各許認可の根拠法令で承継が定められている場合を除き、原則として買い手企業は対象会社の許認可を承継できないことが多いです。

資金決済法には「前払式支払手段発行者」の他に、「仮想通貨交換業者」「資金移動業者」が規定されているが、自家型前払式支払手段のような許認可の承継を認める規定は存在せず、「仮想通貨交換業者」と「資金移動業者」は新たに許認可を取得せざるを得ません

M&Aは、事業譲渡、合併や分割の形態を選択する場合には、新規に許認可を取得するのに要する期間や必要な手続も考慮して、スケジューリングを行わなければならないことに注意が必要です。

新会社を設立する

複数企業が共同で出資して新たに会社を設立(ジョイントベンチャー)する場合には、設立に携わった既存の企業は新会社の株主の立場であり、新会社にブロックチェーンビジネスの承継を行う立場にはありません。

よって、新会社は新たに許認可を取得する必要があります。

仮想通貨・ブロックチェーンビジネスについては、M&Aの際に注意が必要

以上のように、仮想通貨・ブロックチェーンビジネスのM&Aは、様々なことを考慮する必要があります。

まだまだ新しい分野であるので、M&Aの対応も、他とは異なる対応が必要です。十分注意するようにしましょう。