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情報商材やコンテンツ販売事業者が、顧客から損害賠償を請求されるケースとその対処法
情報商材は全て悪?
インターネットを活用したビジネスが広がる中、情報商材の販売が増加しています。情報商材には詐欺的なものも含まれており、多くの消費者や事業者が被害に遭っています。
しかし「情報商材」が全て悪かというと、そうではありません。情報商材の中に「良い情報商材」と「悪い(詐欺的な)情報商材」があるだけです。
そして「良い情報商材」にも関わらず、顧客の怠慢で成果が出ないにも関わらず、返金請求してくるケースが多々あります。それを助長するかのように、「詐欺被害専門弁護士」が大量の広告を出して、「情報商材」や「コンテンツ販売」をしている事業者に対して、法的な根拠がないにも関わらず、返金請求する事例が多発しています。
そこで今回は、優良な情報商材、コンテンツ販売事業者に向けて、顧客や弁護士から損害賠償などの法的措置をされるケースと、法的措置をされたときの対処法をお伝えします。
事業者に対する損害賠償請求とは
顧客が商品やサービスに満足できない場合、弁護士などから「内容証明郵便」などで契約解除や損害賠償請求などがされることがあります。
この請求の主な内容は、以下の通りです。
詐欺による契約解除(民法96条)
販売者が詐欺行為を行ったとして、その契約は取消と主張する場合です。この場合、契約解除とともに支払った代金の返金を請求してきます。
不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条)
販売者が故意または過失により違法行為を行い損害を与えたとして、損害賠償を請求してきます。
消費者契約法の違反
情報商材、コンテンツ販売については、BtoCサービスになるので、消費者契約法が適用されます。そのため消費者契約法違反を主張してくる場合があります。主な主張内容は、以下の通りです。
虚偽告知(第4条1項1号)
重要事項について事実と異なる説明を受けたとして、契約の取消を求める
断定的判断の提供(第4条1項2号)
将来の利益などについて確実性を誤認させる説明があったとして、契約の取消を求める
不利益な事実の不告知(第4条2項)
重要事項に関して不利益な情報を隠されたとして、その契約の取消を求める
特定商取引法の違反
特定商取引法の適用もあるため、以下のような主張がされることがあります。
誇大広告の禁止(第12条)
商品やサービスについて実際よりも著しく優良・有利であると誤認させる表示は禁止されています。
事業者がこれに違反したとして、契約の無効、損害賠償請求してくるケースがあります。
クーリングオフが適用されるとして、クーリングオフの主張がされる場合もあります。これについては、以下の記事で詳細を書いていますので、参考にしてください。
特定商取引法での指摘に対する対処法
まずは、上記のことを指摘される可能性があるので、事業者は事前にツッコミどころをなくすことが必要です。LPなどのセールスレターの文言は法的に問題ないか確認する必要があります。
安易に「儲かる」「成果が出る」と言ったことを書いてはいけないですし、「利益を保証する」といったことを書いてはいけません。
情報商材業界では当たり前の表現も法律的にはアウトなことも多いです。顧客への訴求をなるべく落とさず、法律的にOKな表現を専門家と一緒に検討することが必要です。
弁護士から内容証明が来ても、焦らないことが必要です。内容証明と言っても何か法的効力があるわけではありません。また弁護士からと言っても、的外れな主張してくる弁護士もいます。
内容証明の内容が、本当に法的に正当なものかは十分に精査が必要です。
事業者の銀行口座凍結を要請される
情報商材の代金を銀行振込で支払った場合、金融機関に対して振込先口座の凍結を要請することがあります。いわゆる「振り込め詐欺救済法」に基づく口座凍結です。
この口座凍結を要請は、法律的な主張があると銀行側が認めれば、口座が凍結されるのですが、最近では弁護士からの要請であれば、銀行側はあまり精査せずに口座を凍結する例がよくあります。
銀行口座凍結を要請への対処法
銀行口座の凍結がされた場合、事業者はその影響度を考えないといけません。
他にも銀行口座があって、すぐに事業に影響がない場合には、安易に返金をする必要はありません。上記のように銀行は弁護士からの要請あれば、大した検討もせずに口座を凍結することがあります。
そのため以下のような主張をすることが重要になります。
- 銀行側には自身のサービスの正当性を主張する
- 顧客側の弁護士には、自身のサービスは法律的に問題ないことを主張する
一方、銀行口座が凍結されると事業に支障が出る、今すぐ口座凍結を解除してもらいたい場合には、顧客側の弁護士と早期の和解が必要になります。
その場合でもすぐに全額返金をするのではなく、本当に法律違反があるのかの主張をしたうえで、減額の交渉をする必要があります。
チャージバックの申請がされた場合
情報商材やコンテンツ販売を、顧客がクレジットカードの一括払いで購入した場合、顧客からチャージバックの申請がされることがあります。
チャージバックは、クレジットカードの売上を取り消す手続きであり、詐欺などの違法性が確認されると、購入履歴そのものが消え、支払った金額は返金されます。
もちろんチャージバックをクレジットカード会社(決済代行会社)に認めてもらうにも正当な理由が必要です。情報商材やコンテンツが詐欺などの違法行為があったことを証明しなければなりません。
ただしクレジットカード会社も弁護士からの要請があれば、チャージバックを簡単に認めてしまうケースもあります。
チャージバック申請への対処法
情報販売、コンテンツ販売事業者としてチャージバックを申請されることが、どれほどのマイナスになるかを考えましょう。
例えば決済代行会社にチャージバックを申請されると、売上金が返還されるだけでなく、決済代行会社から翌月以降に入る予定のお金が留保されることがあります。
そうなると事業者としては困るということであれば、チャージバックがされる前に、顧客側と和解する必要があります。
この場合も全額を返金する必要があるのか、法律的に問題があるのか、なるべく減額交渉する余地はあるのかを十分に見極めましょう。
訴訟による返金請求
交渉が不調に終わった場合は、民事訴訟による請求がされることが多いです。民事訴訟では、訴状と証拠を提出し、販売者のを追及してきます。
顧客側が裁判に勝訴すれば、返金や損害賠償を裁判所に命じてもらうことができます。
訴訟で返金請求された場合の対処法
訴訟は主張と証拠が全てです。顧客側からの主張に正当性があるのか、法律的に反論できる余地があるのかを検討します。
例えば、販売者のLPに消費者契約法の断定的判断の提供があると主張された場合に、それは断定的判断の提供に当たらないと法律的に反論する必要があります。
また電話勧誘販売により、クーリングオフを主張された場合、販売者の行為がそもそも電話勧誘販売に当たらないと主張することもできるかもしれません。
このように販売業者として自身の正当性をしっかりと、裁判でも主張する必要があります。
警察への告訴・告発
顧客側の最終手段として、刑事責任を追及するために、警察や検察に対して告訴や告発を行うことがあります。また交渉段階で、顧客側から「このままだと刑事事件にするぞ」と主張してくることがあります。
警察への告訴・告発の対処法
よく顧客側が主張するのが、「詐欺による刑事告訴をするぞ!」というものです。販売事業者としても「詐欺での刑事告訴」と言われると、かなりびっくりしてしまうと思います。
しかし詐欺をしていないのなら、そのような主張に負ける必要はありません。
詐欺とは「お金をだまし取る」ことであり、販売事業者として、そのような行為をしていないと毅然と対応すべきです。実際、警察が詐欺を立証するのは非常に難しいのが現状です。
顧客側の主張に惑わされず、自身の法的正当性を検討し、主張するのは非常に大事なのです。