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著作権料を支払わなかったら逮捕?著作権侵害は刑事罰もありうることに注意。【2022年8月加筆】

著作権料を支払わずに逮捕?

新宿歌舞伎町のクラブで、著作権料を支払わずにカラオケやピアノの生演奏を行っていたとして、67歳の経営者が警視庁に逮捕されました。

参考記事:著作権料支払わずカラオケなど クラブ経営者を逮捕

このように、著作権法に違反したとして、逮捕され、刑事罰を受けることはありうるのでしょうか。

著作権法では、著作権を故意に侵害した場合には、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処せられると規定しています(119条)。実は、著作権侵害は、重い刑事罰が課せられているのです。

もっとも、著作権違反で検挙された件数というのは、著作権侵害事案全体からみると、多くはありません。

オンラインゲームなどの違法配信や、写真やテレビなどの動画を無断でYouTubeなどにアップしたケースなどでは、逮捕され刑事罰が下される例が増えてきました。

被害者が告訴したら「刑事罰」

著作権侵害で刑事罰の対象になるためには、被害者が告訴することが必要です。

このように、被害者が告訴することが必要となる犯罪を「親告罪」といいます。つまり、著作権違反したとしても、被害者が告訴しなければ、刑事罰が課されることがないのです。

しかし、近年、著作権侵害については、被害者の告訴がなくても、逮捕して刑事罰が課せるようにする「非親告罪」としようという動きがあります。

また、2012年10月の著作権法改正では、私的利用であっても、違法ダウンロードが処罰される場合を規定するなど、著作権侵害に対する処罰対象も広がりを見せています。

著作権侵害をすると、大変なことになるかも

冒頭の経営者は、長年にわたり、著作権料を支払わずに、カラオケを客に歌わせたり、ピアノの生演奏を行ったりしたということです。

この店舗は、JASRAC(日本音楽著作権協会)から繰り返し注意も受けており、裁判所からカラオケ機器の使用を差し止める決定も出されていました。そして、それに基づき、裁判所執行官によって、ピアノやカラオケ装置に対し封印処分を受けたようです。

それでも、この店舗は、これを無視して使用を続けていたため、JASRACが、この経営者を著作権法違反で告訴していたのです。

著作権侵害は、最初に民事事件として、差し止めや損害賠償などの請求が来ることが通常です。それでも、悪質な場合には、刑事罰が課される可能性があります。たかが、著作権侵害と侮らず、適切に対処しましょう!