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クリエイティブコモンズライセンスの概要と利用においての法律的な注意点【著作権】【2022年10月加筆】

著作権に関する法律

クリエイティブコモンズライセンス(CCライセンス)とは

著作権によって保護されている著作物は、著作権法によって認められている権利制限規定により利用が許される場合でない限り、著作権の許諾を得なければ、複製等の利用することができません。

企業のみならず、SNSやブログ等で、一般の人が大量の情報を流通させることが日常化している今日においては、すべての利用について、その都度許諾を受けるということが極めて困難になっています。

また、そのようなコンテンツについては、全ての人が、絶対的に利用を禁止したいというわけではなく、人によっては、利用してもらうことによって、自分の作品の価値を広めたいという方もいるかもしれません。

このような時に、クリエイティブコモンズライセンス(CCライセンス)というのは「この条件さえ守ってくれたら、私の作品も自由に使って構いません」という、意思表示をするためのツールとして開発されました。

CCライセンスを利用することで、著作物の権利者は、自ら設定する範囲で権利を保持したまま、作品を自由に流通することができるのです。

CCライセンスは、国際組織であるクリエイティブコモンズによって運営されています。日本ではクリエイティブコモンズジャパン事務局を設けて活動しています。

クリエイティブコモンズジャパン:https://creativecommons.jp/

クリエイティブコモンズライセンスの仕組み

コンテンツなどの著作権を持っている人は、クリエイティブコモンズをつけて作品を公開します。

著作権は、クリエイティブコモンズジャパンのWebサイトにある「ライセンス付与」というメニュー上でいくつかの質問に答え、フォームに作品情報を入力することで、ライセンスのコードが付与されます。

このライセンスコードをコピーして、作品に貼りつけることにより、クリエイティブコモンズライセンスを表示することができるのです。

コモンズの表示の種類と意味するところは、Webサイトに記載されています。

クリエイティブ・コモンズ・ライセンスとは

この表示により、法律の専門家でない一般人でもライセンスの内容をはっきりと理解することができます。

表示されたマークによって示された条件に従いさえすれば、権利者に個別に連絡しなくても作品も利用することができるようになっているのです。

クリエイティブコモンズライセンスに基づく利用の注意点

上記のように、クリエイティブコモンズライセンスは、ライセンスに関する詳細を確認すれば、権利者に確認することなく、条件に従って利用することができるという利点があります。

しかし、そもそも、該当コンテンツに付与されたコモンズライセンスを作成したものが、本当の権利者であるかどうかについては、確認する仕組みがありません。

したがって、権利者でない者がクリエイティブコモンズライセンスを付して作品を公開してしまっているという危険性があるのです。

権利者でないものが、クリエイティブコモンズライセンスを付与している場合、クリエイティブコモンズライセンスに従って利用しても、それは著作権侵害になってしまいます。

クリエイティブコモンズズライセンス表示がされてることを信頼したということを主張したとしても、著作権法上の差止請求の対象となることを避けられません。そのような信頼をしたことについて過失が認められれば損害賠償責任を負う可能性もあります。

したがって、クリエイティブコモンズライセンスを、権利者以外の者が付与したものであるとが疑われるような場合については、その利用することついては、慎重になるべきです。

また、クリエイティブコモンズライセンスによる利用許諾は、あくまで著作権法の取り扱いを明記したものにすぎず、全ての法律問題がクリアされているわけではありません。

したがって、当該作品の利用にあたって、他の者の権利を侵害する可能性までも排除するものではありません。

例えばクリエイティブコモンズライセンスが付されている写真に人物が写ってる場合、当該写真自体の著作権については、使用条件に従って使用すれば問題ありませんが、一緒に写っている人物のパブリシティーの権利肖像権については、侵害になってしまう可能性は残っているのです。