ARが、色々な分野で、活用していますが、ARを利用したサービス提供者は、どのような法律的な責任を負うのでしょうか?
たとえば、ARを利用したナビゲーションサービスにおいて、サービス提供者が利用者に対して、間違った情報提供を行ったとしましょう。
この場合、利用者は、当該情報を信頼して行動したことにより、利用者に損害が発生したような場合には、利用者はAR事業者に対して、損害賠償請求をする可能性があります。
つまり、ARサービス事業者は、利用者に対し、正確な情報を利用者に提供する義務を負っています。
そして、当該義務を履行しなかったことによって、利用者に損害を生じさせたものとして、利用者に対して債務不履行に基づく損害賠償責任を負う可能性あるのです。
事業者として、これを回避するためには、予め契約書(利用規約)などで、正確な情報が提供されるとは限らないことを明記しておく必要があります。
いわゆる、「非保証」や「免責事項」などで、規定しておくのです。
このような規定あれば、ARサービス事業者の損害賠償責任を回避できます。
たとえば、ARおよびGPSを利用したスマホゲームをプレイ中の利用者が、ゲームを遂行中に、第三者の敷地内に配置されたアイテムを取得しようと、当該第三者の敷地内に不法に侵入し、ゲームに夢中になるあまり、敷地内にあった高価な盆栽に気がつかず、踏みつぶして壊してしまったとしましょう。
この場合、当該利用者は、当該第三者に対して、不法行為に基づく損害賠償責任を負います。
では、ARサービス事業者が、法律上の責任を負うのでしょうか?
例えば、ARサービスの仕様が、利用者による違法な行為を誘発するものであり、事業者がこれを漫然と放置しているような場合には、損害賠償責任を負う可能性があります。
違法な行為の誘発といえる場合としては、ゲームを有利に進行させるためのアイテム等を取得するにあたり、公道や公園等および当該ゲームに協賛する企業の農地や施設等ではなく、無関係の第三者の敷地や施設内にあるような場合です。
そして、これを放置していた場合には、ARサービス事業者も責任を負う可能性があるのです。
AR事業者としての回避策としては、利用規約やアプリ上の注意書きに、利用者に対して、サービスの仕様ならびに適切な使用方法、危険性、禁止行為等を十分に記載しておくことが必要です。
利用規約の禁止事項に記載しておくとよいでしょう。
また、サービス提供後に当初予測できていなかったトラブルを認識するに至った場合には、すみやかにサービスの仕様の変更、利用時の注意喚起文の追加・修正、規約の変更等の対応を行うべきです。
たとえば、「利用者の位置情報をもとに、利用者に対して、スマートフォンを通して、現実世界そのものを舞台として、架空のキャラクターを体験させるコンテンツサービスを提供する」場合において、利用者のID情報と紐付けるかたちで、利用者の位置情報等を取得する場合は、このような情報は、個人情報に該当します。
そうなると、事業者としては、個人情報保護法を守る必要があるのです。
個人情報を取得する場合には、プライバシーポリシーを作成する必要があります。
また、その中で、利用目的を明確にするなどの対応が必要になるのです。そして、そのプライバシーポリシーを、アプリ上のどこかに表示させておく必要があるのです。
以上のように、AR事業者として、法律上の責任を負わないように、しっかり事業を構築するようにしましょう!