\ チャンネル登録者数 13,000人を突破 /
海外法人なら日本の法律は関係ない?国境をまたぐサービスの誤解と対策
近年、海外に法人を設立して事業を行う日本の企業やスタートアップが増えています。たとえば「日本の規制は厳しいし、海外に拠点を置けば日本の法律は関係ないはず」という認識を持って、いきなり海外へ飛び出すケースです。しかし、本当にそれだけで日本の規制や法律から完全に切り離されることはできるのでしょうか?
本記事では、「海外拠点を構えたら日本の規制から逃れられる」と思っていたら、実は違法になるリスクがあるという実情を、わかりやすく解説します。国境をまたぐサービスで起こりがちな誤解や、最低限押さえておきたい法律面のチェックポイントを見ていきましょう。
「海外法人なら日本の規制を回避できる?」という誤解
よく耳にするのが、「日本法人はあくまで国内向けのサポート用拠点にとどめ、事業の本体は海外の会社(法人)で行うから、日本の法律はあまり関係ないですよね?」というご相談です。たとえば賭博やオンラインカジノに近いサービス、ファンド事業、暗号資産の取引プラットフォーム、既存の規制が厳しそうな分野でこうした考えを持ちがちです。
「現地のライセンスを取ったり、現地の法律を守ればOK」「海外サーバーにデータが置いてあるから大丈夫」という言葉がよく飛び交います。ところが、海外拠点があるだけでは必ずしも日本国内の規制を免れることはできない場合が多いのです。
日本法で規制される可能性がある場合
日本法が適用されるかどうかの基準は、「その事業が日本国内に実質的な影響を与えているか」「日本のユーザー向けに提供されているか」といった点が重視されます。たとえ運営主体が海外法人でも、日本在住のユーザーを主要ターゲットとしていたり、日本語でサービスを提供していたりすると、日本当局から「事実上、日本で事業を行っている」とみなされる可能性があります。
また、サービスの提供者が日本に居住しているケース、あるいはサービスの決済が日本円で行われる場合なども、日本国内との実質的な結びつきがあると判断されやすい要素です。
金融関連事業の場合
代表的なのは金融取引です。たとえば、金融商品取引法では「投資助言」「証券仲介」「暗号資産交換業」などを登録制にしています。海外の法人が日本の投資家に向けて積極的に勧誘を行い、日本国内で口座開設させたり運用助言を行ったりしている場合は、日本での無登録営業として違法になります。
さらに暗号資産(仮想通貨)事業についても、金融庁は海外取引所や海外事業者の取締りを強化している傾向にあります。つまり、拠点が海外だからといって安心できるわけではないのです。
賭博やギャンブルに関わるケース
日本の刑法上、「賭博行為は違法」です。よくあるのが「海外サーバーで運営しているオンラインカジノだから日本の法律は適用されない」と考え、国内プレイヤーを対象にサービスを提供するパターン。しかし、日本在住者が国内からアクセス可能な状態で、実質的に日本人プレイヤーを多数獲得しているような場合は、「日本法」が適用され、警察から摘発されるリスクがあります。
個人情報の問題
たとえば個人情報の扱いにも注意が必要です。個人情報保護法は国外事業者であっても、日本国内のユーザーの個人情報を収集・利用する場合には原則として適用される可能性があります。SNSやクラウドサービスの提供でユーザーデータを扱う場合も、海外サーバーを使っているだけでは安心できません。
海外法人…よくある具体的な誤解
・「海外法人なら日本法人とは別だから問題ない」
実質的に日本でサービスを展開しているなら、日本の法規制が及ぶ可能性大です。
日本で活動するなら、日本法の適用を受けるのです。
「海外サーバーに置いてるからセーフ」
海外サーバを使っているからと言って、日本法の適用を逃れるわけではありません。
データセンターの所在地だけでなく、サービス利用者がどこにいるかが重要です。会社や運営者が日本にいるにもかかわらず、サーバだけを海外にしても、結局は日本法が適用されてしまいます。
「利用規約に“日本在住者は利用禁止”と書けば大丈夫」
利用規約に「日本在住者禁止」と規定していても、具体的な措置を講じていない場合には、日本法が適用されます。例えば、日本からのアクセスはブロックするなど、日本在住者が使えないようにする具体的な措置が必要です。
運営は海外法人、営業は日本の代理店であればOK
事業運営、お金の入金などは海外法人であるが、実際の営業は「代理店」という形で、日本法人が担当する場合です。この場合、代理店である「日本法人」は日本法が適用されます。違法なビジネスの場合は、日本の代理店が摘発される可能性があるので、注意しましょう!
グレーゾーンを解消するために行うこと
事業形態を再点検する
自社のサービスが本当に海外で完結しているのかを冷静に見直しましょう。
ユーザーはどこの国がメインなのか?
サイトやアプリは日本語対応で、日本向けプロモーションをしていないか?
決済手段は日本円か、クレジットカードも日本対応になっていないか?
もし日本からの利用が想定される場合は、少なくとも日本の法規制が「適用される可能性がある」ことを想定し、スキームを見直す必要があります。
日本国内で活動する場合
「どうしても日本在住のユーザーに使ってもらいたい」「日本市場をターゲットに大きく展開したい」というのであれば、ちゃんと日本でライセンスや登録を取得することも検討が必要です。
しかし、行政への登録は非常に時間も、手間もかかります。海外法人を設立するのも、日本法を回避したいというのが率直な思いでしょう。
そうであれば、海外法人がどこの国か、運営メンバーが日本国内にいるか、日本国外にいるか、日本にどうやって広告するのか、日本居住者対応をどうするのか…などを総合的に考える必要があります。
事業者としては、海外法人スキームをするにあたり、専門家の意見を聴く必要があるのです。
当事務所では、海外法人の設立、海外法人と日本法人の役割分担、日本での広告、マーケティング方法について、法律的に問題にならないように、監修を多く行っています。
海外法人スキームで事業展開したい事業者は、ぜひ一度、当事務所にお問い合わせください!