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事業者が占いサイトを適法に行うために必要なこと

占いサイトを取り巻く現状と社会的背景
インターネット上で提供される占いサービスは、スマートフォンの普及とともに急速に拡大してきました。以前は電話占いや対面鑑定が中心でしたが、現在はチャット占いやメール占い、ライブ配信を通じた鑑定など、多種多様なスタイルが存在します。また、ユーザー層も若年層から中高年層まで幅広く、多くの人が気軽に利用できる環境となっています。
一方で、占いサービスはユーザーの「悩み」や「希望」「不安」に直接アプローチする性質上、法的トラブルやクレームに発展するリスクも抱えています。たとえば、料金の不透明さや誇大広告、あるいは医療行為に踏み込むような表現などは、消費者トラブルを誘発しやすい要因となり得ます。
さらに近年では、霊感商法や高額な開運グッズの販売などが社会問題化したこともあり、「占い」を提供する事業者に対する世間の目は以前よりシビアになっています。ユーザーの保護を強化する法律も整備・改正が続いており、事業者は最新の法規制や行政通達を把握し、適切な運営を行うことが求められます。
占いサイト運営に関わる主な法律と注意点
特定商取引法
特定商取引法は、消費者トラブルを防止するために、事業者が守るべきルールを定めた法律です。ウェブ上、アプリ上で占いサイト、サービスを提供する場合は、特定商取引法の「通信販売」になります。「通信販売」になると以下のことを遵守する必要があります。
広告やサイト上の表記義務(特定商取引法の表示)
事業者名、所在地、代表者名、連絡先(電話番号やメールアドレス)などをサイトに明示しなければなりません。さらに、サービスの対価(料金体系)、支払い方法、役務提供の時期(占い結果の提供タイミングなど)、キャンセルや返品の可否なども、利用者がわかりやすい形で提示する必要があります。

申込み確認画面の設置
2022年6月1日に施行された改正特定商取引法では、特にECサイトに関して新たな規制が加えられました。申し込み直前の画面において、消費者が注文する内容を明確に表示することが義務付けられました。詳しくは、以下の記事を参考にしてください。

不実告知や誇大広告の禁止
電話占いやチャット占いなどでも、「最初の数分は無料」と謳いながら実際には高額な料金を請求するといったケースは、特定商取引法の違反になる可能性が高いです。ユーザーが誤解しないよう、料金の内訳や条件をしっかりと記載しましょう。
消費者契約法
占いサイトの利用契約は、事業者(プロ)と消費者(一般利用者)という構図です。消費者契約法は、こうした事業者と消費者間の契約における不当な条項や不公正な勧誘を排除することを目的として定められています。
断定的判断の提供の禁止
占いの結果において「必ずこうなる」「絶対に当たる」という表現は、ユーザーに誤認を与える恐れがあります。こうした断定的判断を根拠に契約を締結させた場合、消費者契約法によって契約自体が取り消される可能性があります。特に「課金すれば、あなたの運勢は良くなる」、「このメッセージをすれば、宝くじにあたる」など、お金を払わせるような鑑定のメッセージは非常に危険です。
重要事項の不告知・不実告知
料金、解約条件、返金ポリシーなどユーザーが契約を検討する上で重要な事項を、あえて告知しなかったり虚偽の説明を行ったりすると、トラブルが発生しやすくなります。最終的には契約無効・取り消しのリスクや、損害賠償請求に発展することもあるため、十分注意しましょう。
不当な違約金・取消制限
利用者が解約を希望する際に過大な違約金を設定していると、消費者契約法違反で無効となる恐れがあります。適切な範囲の違約金条項を設定し、利用規約で明示する必要があります。
景品表示法
景品表示法は、消費者が商品やサービスを選ぶ際に誤解を与えるような不当表示を規制する法律です。占いサイトの場合、主に「優良誤認表示」が問題になりがちです。
「当たる」「効果がある」の根拠を示す必要性
占いは科学的根拠が立証しにくい領域であるにもかかわらず、「100%当たる」「絶対に願いが叶う」などの表現を行うと、優良誤認表示とみなされる可能性があります。行政指導や課徴金の対象になることもありますので、表現は慎重に選びましょう。
口コミ・体験談の扱い
利用者の声(レビュー)を掲載する際、極端に良い評価のみを大々的に載せると「実態と異なる」印象を与えてしまう恐れがあります。レビューを掲載する場合は「個人差がある」ことを明示し、バランスに配慮する姿勢が望ましいです。
医師法・薬機法(医療行為との区別)
占い師や占いサイト運営者が気をつけたいポイントの一つが、医療行為に踏み込む表現です。医師法により、医師免許を持たない者が診療行為を行うことは禁止されています。また、薬機法では医薬品や医療機器について虚偽誇大な広告を行うことが禁じられています。
「病気が治る」「うつ病が改善する」などの表現は違法
たとえ気休め程度だとしても、「占いによって病気を治す」といった表現は医師法違反に該当する可能性があります。ユーザーに誤解を与えないよう、「医療行為は行わない」「あくまで占いによる助言である」旨を明確にしましょう。
サプリメントや健康食品の過度な宣伝
占いとあわせて、開運グッズや健康食品などを販売するケースでは、薬機法の観点から「病気が必ず治る」「体質が劇的に変化する」といった科学的根拠のない宣伝を避ける必要があります。
適法な運営のために整備すべきポイント
明確な免責事項と利用規約の整備
占いサービスを提供するにあたり、最も基本となるのが利用規約(約款)の作成です。その際には以下の点を盛り込みましょう。
「占い結果はあくまで参考意見である」
「効果や結果を保証するものではない」
科学的・医学的・法的なアドバイスではない旨を明記し、ユーザーによって感じ方や受け止め方は様々であり、鑑定結果は100%の正解ではないことを示し、ユーザーが誤った期待を抱かないよう配慮することが必要です。さらに、事業者とユーザー間のトラブルを回避するために、免責事項として「利用者が占い結果をどう活用するかは自己責任である」という趣旨を明示しておくことも有効です。
誇大広告・断定的表現の禁止
占いビジネスでは、「当たる」「的中」「未来が変わる」などのキャッチフレーズを使いたくなるかもしれません。しかし、過度な表現は景品表示法や消費者契約法に抵触する恐れがあるため、注意が必要です。
例えば、「必ず」「絶対に」などの言い切り表現を避ける必要があります。
「~の可能性を高める」「~かもしれない」など、ユーザーに誤解を与えない穏当な表現を心がけましょう。
料金体系の透明化と返金ルール
料金についてトラブルが発生すると、事業者の信頼が大きく損なわれます。利用者がいつ、どの時点で、いくら支払うのかを明示し、返金ルールも定めておくと安心です。
料金形態の明記
1分あたりの通話料、メール1通ごとの鑑定料、もしくは月額定額制なのかなど、ユーザーがパッと見てわかるように提示する必要です。
キャンセルや返金ポリシーの記載
占い結果に不満があったときに返金対応するか、セッション開始後は返金不可なのかなどを利用規約に盛り込みましょう。特定商取引法の表示で、返金について何も書いていないと、ユーザーから返金可能になりますので、注意が必要です。
占いサイトの違法行為が発生した場合に想定されるリスクと訴訟事例
詐欺・不当利得返還請求
「絶対に当たる」、「私の言う通りにすれば、お金が儲かる」、「このグッズを買えば病気が治る」など、根拠のない誇大表現で高額な料金を支払わせる行為は、ユーザーから詐欺として刑事告訴される可能性があります。また、民事上では不当利得返還請求や損害賠償請求を起こされることも考えられます。
近年は消費生活センターや弁護士が積極的に動く傾向にあります。銀行口座の凍結や刑事事件化されるケースも増えています。
消費者契約法違反による契約取り消し
断定的判断や不実告知を伴う契約は、消費者契約法によって取り消されるリスクがあります。取り消しが認められると、事業者は利用者から受け取った料金を返還する義務が生じます。
景品表示法違反に基づく損害賠償請求
虚偽・誇大な広告によってユーザーに誤解を与えた場合、消費者庁から行政処分を受けるだけでなく、ユーザーから「誤認による契約」を理由に損害賠償請求をされる可能性があります。
行政処分
景品表示法違反は比較的立証がしやすいため、消費者庁が積極的に処分事例を公表しています。違反が表面化するとサービス全体の信頼失墜にもつながります。
刑事事件化のリスク
近年では、悪質な占いサイトには、運営者が逮捕される事例が増えています。例えば、「あるメッセージを送ると宝くじが当たる」と言い、メッセージを送らせ、メッセージを送るために、多額のポイントを購入させた事例で、占いサイトの運営者が逮捕されました。
占いサイトでお金が得られると言い、金銭を使わせる行為は、刑事事件化する可能性が高いので注意が必要です。
まとめ
以上のように、占いサイトは不明確な将来についてアドバイスすることが多い分、誤解が生じやすいものでもあります。適法に運営し、民事事件、刑事事件にならないようにしましょう。