メニュー

\ チャンネル登録者数 12,000人を突破 /

ブロックチェーン・NFTゲームにおけるUGCコンテンツ、アイテムの法律的な注意点を弁護士が解説

目次

UGCとは

アイテムの獲得手段としてはゲーム運営会社から配布される場合に限られず、 ユーザーがアイテムを自ら生成できる場合もあります。 「CryptoSpells」では、一定の条件を満たすことでカード発行権を取得することができ、その権利の行使に関するルール(シルバーカード発行権NFT利用規約) も公開されています。 当該ルールによれば、カード発行権を保有するユーザーが発行権を行使した場合、当該ユーザーは、カードに使用されるカードイラストを提出し、 ゲー ム運営会社と協議の上で新たなカードを1種類発行することができます。
また、カードを発行したユーザーには、発行したカードがゲーム内マーケットで取引される際に生じる手数料の一部を取得する権利が与えられます。以下では、 「CryptoSpells」 のような、ユーザーが提供したイラストを取り入れた新たなカードを発行できる場合に、ユーザーによって生成されたブロックチェーンゲームにおけるアイテム(以下「UGC」という。 User Generated Contentsの略である)に関し、法律的な注意点を解説します。

UGCの著作権

UGCの例として、トレーディングカードゲー ムにおけるカードであります。この場合、 カードには発行ユーザーが提出したイラスト部分がありますが、このイラスト部分は発行ユーザーに著作権が帰属します。そのため、 ゲーム運営会社は、 発行ユーザーとの間でカードの発行に当たり、発行ユーザーの著作権の取扱いについての規定を設けておくことが必要です。
「CryptoSpells」 では、 発行ユーザーには発行カードのゲーム内マーケットにおける売買手数料の一部を受け取れる権利が与えられているようですが、このような手数料を受け取る権利を与える場合には、その内容を明確化した上で、 具体的に合意しておくことも重要です。

  • その他の権利関係

発行ユーザーが自由にカードを生成することができるとしても、 ゲーム運営会社からすると、 発行ユーザーが他のゲームにおいて同一のカードを発行してしまうと、ゲーム運営会社の提供するブロックチェーンゲームの売上げに影響が生じる可能性があります。また、 発行ユーザーがゲーム運営会社や当該ゲームの知名度に便乗して、 カード生成に用いたイラストを商業利用 してしまう可能性もあります。 また、 二次創作についても、ゲームのイメージを損なわないようにするために、他のキャラクターやイラストと同様の制約を課す必要があります。 これらを防止するため、ゲーム運営会社としては、利用規約や契約であらかじめ発行ユーザーによるこれらの行為を禁止・制限しておくことが必要です。

ユーザーによるアイテムの利用

有償でのアイテムの購入の場合には、ユーザーはゲーム運営会社に対して当該アイテム等の利用を請求することができる権利やアイテム等の利 用を不当に妨げられない利益を有することになると考えられます。
ブロックチェーンゲームにおけるアイテムは、 特定のブロックチェーンゲーム内だけでなく、 他のブロックチェーンゲームにおいても利用することができる場合があり、 従来型ゲームにおけるアイテムと異なる特徴的な点であるとされています。

  • アイテムを同一ゲーム運営会社のブロックチェーンゲームで利用することが可能な場合

従来型ゲームでは、 当該ゲーム内で取得したアイテムは当該ゲーム内でしか利用することができないため、 当該ゲームが終了した場合にはアイテムは利用できなくなってしまうことが通常でした。
そのため、ユーザーが有償でアイテムを購入し、その直後にサービスが終了するような場合について、ユーザー (消費者)保護の観点から、ユーザーからゲーム運営会社に対する損害賠償できる可能性があります。

このような場合には、利用規約において、アイテム購入代金の返金義務がないと規定し、かつ、 ゲーム運営会社の損害賠償責任についての免責規定が置かれていたとしても、消費者契約法により免責規定が無効になり、ゲーム運営会社には損害賠償責任等が生じます。

これに対して、ブロックチェーンゲームにおけるアイテムが、 他のブロックチェーンゲームでは使用することができるという場合にはどうなるのでしょうか。
アイテムを他のゲーム内で利用することができることをもって、一律にゲーム運営会社が損害賠償義務を負わないと考えることは難しいように思われます。 たとえば、ブロックチェーンゲームXで手に入れたアイテムAは、Xでは武器として利用することができますが、他のブロックチェーンゲームYでは武器ではなくコスチュームの1つとしてのみ利用することができるにすぎない場合のように相互利用が可能なゲームが存在する場合であっても、ユーザーが期待する目的を達成することができない状況が生じている場合には、ゲーム運営会社の損害賠償責任は生じる可能性があります。

ゲーム運営会社としては、他のブロックチェーンゲームで利用することができる場合であっても、 従来型ゲームと同様、 当該アイテム等を利用することができなくなることが決定したときには適切なタイミングで事前告知したり、 アイテム等の利用の機会を与えたりするという措置をとることが重要です。

  • アイテム等を他ゲーム運営会社のゲームで利用できる仕様にする場合

ブロックチェーンゲームにおけるアイテム等は、同一のゲーム運営会社が提供するブロックチェーンゲームのみならず、 異なるゲーム運営会社が提供するブロックチェーンゲームにおいても利用可能な場合があります。 たとえば、 「CryptoSpells」 というブロックチェーンゲームで入手できるアイテム等は、 NFTコンバーターと呼ばれる機能を通して、 運営会社の異なる 「My Crypto Heroes」 というブロックチェーンゲームでも使用することができます。

ゲーム運営会社XおよびYは、それぞれ他のゲーム運営会社が提供するゲームのユーザーとの間に契約関係はない。 しかしながら、アイテムAにつき、それぞれのゲームの利用規約で、 ゲーム運営会社 XとYが提供するゲーム間で互換性がある旨を明記しているような場合で、アイテムAをゲーム運営会社Yが提供するブロックチェーンゲームy において利用する ことができなくなった場合等には、 ゲーム運営会社Yは、ゲームのユー ザーに対して契約・利用規約違反による責任を負います。

  • アイテム等の弱体化 (ナーフ)

従来型ゲーム、 たとえば、 カードバトルゲームではゲームバランスの維持のために、 カードの効果の内容がリリース当時から変更されて弱体化されることがあります。従来型ゲームにおいても、ユーザーはそのアイテムの効果を保有していることに価値を見いだしており、一方的な弱体化 (ナーフ) につ いては、消費者でもあるユーザーに対する配慮が必要とされています。

ブロックチェーンゲームでは、 アイテムが 「資産」 になる等と謳われることも多く、アイテムの性能が一方的に弱体化されることで、従来型ゲーム以上に、ユーザーはナーフによる価値毀損に敏感な反応を示す可能性があります。

そのため、 ゲーム運営会社としては、 あらかじめ利用規約においてアイ テム等が弱体化 (ナーフ) され得ることを明記した上で、 ユーザーにナーフの可能性を認識させることが重要となります。もっとも、 アイテム等の配布直後にナーフする場合には、弱体化の程度によっては、実質的にアイテムとして想定していた方法で利用することができなくなり、 ユーザーの期待に反したと評価される場合もあり得ます。
また、ブロックチェーンゲームにおけるアイテム等は将来的に売却される可能性もあるため、ナーフによって価値が下がり、得られるはずだった売却利益を喪失したとして、 ユーザーが損害賠償請求を受けるリスクも想定されます。
ナーフの程度が、ゲームバランスを維持するために必要最小限度の範囲である場合には当該アイテム等は変わらず利用し続けることができるのであるから損害はないという可能性もあり得るが、 この場合も、当該アイテム等の購入の時点でユーザーがナーフによる価値の減少を理解していることが重要となるため、利用規約等にナーフがあり得ることを明記することや、ナーフの実施までに一定の周知をすることが望ましいです。

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次