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システム・プログラムが、「医療機器」該当するor該当しないのかの判断基準を解説

デジタルヘルスの急速な発展により、医療・ヘルスケア分野でのソフトウェア開発が活発化しています。しかし、開発したプログラムが「医療機器」に該当するかどうかは、経営判断において非常に重要な問題です。医療機器に該当する場合、薬機法に基づく承認・認証・届出が必要となり、開発・販売戦略に大きな影響を与えます。

本記事では、厚生労働省が公表している医療機器該当性の判断事例をもとに、経営者の視点で知っておくべきポイントをわかりやすく解説します。

目次

そもそも「医療機器プログラム」とは?

医療機器プログラムとは、単体で医療機器として機能するソフトウェアを指します。2014年の薬事法改正(現・医薬品医療機器等法)により、ソフトウェア単体でも医療機器として規制の対象となりました。

医療機器に該当するかどうかの判断基準

医療機器に該当するかどうかは、そのプログラムの使用目的によって判断されます。具体的には、以下のような目的を持つプログラムは医療機器に該当する可能性が高くなります。

・診断・治療に直接関わるもの
・疾病の予防や治療計画の立案に使用されるもの
・医療機器の制御や機能拡張を行うもの

医療機器該当性の判断基準のポイントは、以下の通りです。

1. 使用目的の明確化

・そのプログラムは診断・治療・予防のために使用されるか?
・医療機関の臨床的意思決定に影響を与えるか?

2. プログラムの処理内容

・単なるデータの記録・表示か、それとも独自のアルゴリズムによる解析を行うか?
・医学的な判断材料となる新たな情報を生成するか?

3. ユーザーと使用環境

・主に医療専門職が使用するか、それとも一般消費者向けか?

・医療現場で使用されるか、それとも日常生活の中で使用されるか?

4. リスクの評価

・プログラムの誤動作・誤表示が患者の健康に重大な影響を与える可能性はあるか?

・使用者が間違った判断をした場合のリスクの大きさはどの程度か?

医療機器に該当するプログラムの具体例

厚生労働省は、医療機器に該当するかのガイドラインを公表しています。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000179749_00004.html

この資料をもとに、厚生労働省が医療機器に該当すると判断した主なプログラムを紹介します。

1. 疾病候補・疾病リスクを評価・表示するプログラム

身体の異変を検知して、病気のリスクを診断するプログラムは、医療機器に該当します。
例えば、以下のようなプログラムです。

皮膚病変の解析プログラム

例:写真や症状情報から「〇〇病である可能性は〇%」と表示

頭痛症状解析プログラム

例:独自アルゴリズムで症状を解析し、疾病候補を表示

他にバイタルデータから心房細動の兆候を検出するプログラム、将来のがんや糖尿病リスクを算出するプログラム、医療データを加工・処理して診断・治療用の指標を作成するプログラムも医療機器に該当すると言えます。

治療計画・方法の決定を支援するプログラム

治療方針の決定に影響を与えるシミュレーションやリスク評価ツールは、医療機器として扱われます。
例えば、以下のようなプログラムです。

・歯科矯正・インプラント治療の術式シミュレーションを行うプログラム
・放射線治療の線量分布を計算するプログラム
・整形外科手術の術前計画を作成するプログラム
・麻酔薬の投与量を算出するプログラム
・重症化リスクを提示し患者層別化を行うプログラム(COVID-19など)

医療機器の制御を行うプログラム

既存の医療機器と連携して機能を拡張したり制御したりするプログラムは、原則として医療機器に該当します。
例えば、以下のようなプログラムです。

・血圧測定カフの制御プログラム
・インスリンポンプの制御プログラム
・輸液ポンプの設定変更プログラム
・植込み型医療機器の制御プログラム

疾病治療・予防のための行動変容プログラム

デジタル療法(DTx)と呼ばれる領域は医療機器に該当するケースが増えています。病気の治療や予防に関するものは、医療機器に該当します。例えば、以下のようなプログラムです。

・精神疾患の認知行動療法を提供するプログラム
・VR映像による痛み・不安軽減プログラム
・AIチャットボットによる社交不安障害治療プログラム

医療機器に該当しないプログラムの例

反対に、以下のようなプログラムは一般的に医療機器には該当しません。
イメージとしては、健康管理や栄養指導など、病気の治療や予防には踏み込まない内容のものは、医療機器には該当しません。

データの表示・保存・転送のみを行うプログラム

・個人の健康記録管理プログラム
・服薬履歴・母子健康履歴管理プログラム
・ワクチン接種記録保管プログラム
・運動管理など医療・健康以外を目的としたプログラム
・生活環境改善を目的とした家電制御プログラム
・トレーニング効果向上を目的としたプログラム
・脳トレーニングゲームプログラム

情報提供を目的としたプログラム

・疾患や薬剤に関する電子パンフレット
・健康増進・体力向上を目的とした生活改善アドバイスプログラム

医療関係者向けの業務支援プログラム

・診療予約プログラム
・レセプト・会計処理プログラム
・医療機器の在庫管理プログラム

まとめ

医療×テクノロジーの領域は成長著しい分野です。法規制を正しく理解し、革新的なソリューションで社会に貢献していきましょう。

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