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オンライン、NFTゲームを運営するときの法律的注意点を弁護士が解説

目次

ゲーム運営会社によるアイテム等の配布

ゲーム運営会社がユーザーに対してアイテム等を配布する仕組みとしては、
1 ユーザーによるログインやランキング上位入賞等の一定のイベントが発生した場合に報酬やボーナスとして配布する場合
2有料又は無料のガチャによる場合あります。

  • ゲーム内報酬としての配布
     ログインをした場合やゲームをダウンロードしたときに報酬としてアイテムやゲーム内通貨を提供することは、ユーザーのゲーム参加意欲を高める方法として有効な手法であり、 非常に多くの従来型ゲームに おいて取り入れられています。 また、 ゲーム内でユーザー同士を競わせ、 そ のランキング上位者に強力なアイテムを付与したり (ランキング報酬)、 高難度のステージをクリアした場合に特別なアイテムを付与したりする(ス テージクリア報酬) こともよく行われています。
    これらのゲーム内報酬は景品類に該当する可能性 があるため、 景品表示法上の規制を受けるかを検討します。
  • 景品表示法による景品類に対する規制
    景品表示法における「景品類」 とは、「顧客を誘引するための手段として、その方法が直接的であるか間接的であるかを問わず、 くじの方法によるか どうかを問わず、事業者が自己の供給する商品又は役務の取引に付随 して相手方に提供する物品、金銭その他の経済上の利益」として内閣総理 大臣によって指定されるものをいうとされています。
    「景品類」に 該当する主な要件は
    ① 顧客を誘引するための手段として (顧客誘引性)
    ➁事業者が自己の供給する商品・役務(サービス)の取引に付随して提供 する(取引付随性)
    ➂物品、金銭その他の経済上の利益であって、内閣総理大臣が指定するもの (経済上の利益)
    です。
    そして、「不当景品類及 び不当表示防止法第2条の規定により景品類及び表示を指定する件」 1項4号では、経済上の利益として「便益、 労務その他の役務」 が列挙されていて、 オンラインゲームにおいて提供されるアイテムは、 それらによって利用者が、オ ンラインゲーム上で敵と戦うとか仮想空間上の部屋を飾るといった何らかの便益等の提供を受けることができる」 ため、「便益、 労務その他の役務」 に当たるとされています。 ブロックチェーン技術により識別が可能な点を除くと、 NFT化されたアイテム等も従来型ゲームにおけるアイテムやキャ ラクターと同様に考えることができるため、 ブロックチェーンゲームにお けるアイテム等の提供も、 「経済上の利益」に該当すると考えられます。
  • 一般懸賞規制および総付景品規制
    ゲーム内報酬で適用される可能性があるのは、懸賞規制および総付景品規制です。
    「懸賞」とは、抽選で○○名でプレゼントみたいな形です。
    「総付景品」とは、全員にプレゼントの形です。
    そして、それぞれにプレゼントの金額に上限が設けられます。
  • ログイン報酬・ダウンロード報酬と総付景品規制
    ログイン報酬やダウンロード報酬は、ユーザーがゲームにログインした場合又はユーザーがゲームをダウンロードした場合に必ず付与される報酬であるため、これらの報酬が 「景品類」 に該当する場合には、景品表示法 上の総付景品規制が適用される可能性があります。
    ゲームのログインやダウンロード自体は、当該ゲームにおいて(課金を前提とする) アイテム等の購入等には直結しないので、 取引付随性を満たさず、原則として景品表示法の適用はありません。「
  • ランキング報酬・ステージクリア報酬
    ランキング報酬やステージクリア報酬は、 全てのユーザーに与えられるものではなく、 特定の期間におけるユーザー間のランキングにおいて上位となった者や特定のステージをクリアした者に対してのみ与えられるものです。ランキング上位になる、ステージクリアするために、アイテム課金する必要がある、アイテム課金すると有利になる場合には、景品表示法の適用があります。
    なお、 ゲーム運営会社がこれらの報酬としてアイテム等を配布したところ、 当該アイテム等の価格が高騰し、後から景品表示法の上限を超過した場合には景品表示法に違反しないとされています。
  • ガチャによる配布
    無料ガチャ
    ユーザーが一律に無料ガチャを行える仕組みの場合には、ログイン報酬やダウンロード報酬と同じ性質の景品類であると考えられます。そのため、原則として景品表示法の対象ではありません。
    有料のガチャ
    有料のガチャについては、消費者庁は「有料のガチャによって一般消費者が得ている経済上の利益は、一般消費者と事者間の取引の対象そのものであり、「有料のガチャによる経済上の利益は事業者が有料のガチャとは別の取引を誘引するために、 当該取引に付随させて、一般消費者に提供しているものでは ない」として、 有料のガチャによって一般消費者が何らかの経済上の利益の提供を受けたとしても、それは景品表示法上の景品類には該当せず、景品表示法の景品規制は及ばないとしています。
    もっとも 有料のガチャによって複数のアイテム等を販売し、 異なるアイテムの特定の組合せを集めた利用者に対し、特別のアイテム等を提供するという行為 (いわゆるコンプガチャ) については、景品表示法の規制がかかることになります。

    賭博罪との関係

    ブロックチェーンゲームでは、NFTの非代替性という特徴を利用することにより、 ユーザー間でアイテム等を自由に取引することが想定されており、有料のガチャにより獲得したアイテム等についても二次流通が可能なことを前提としています。
    ガチャの結果はランダムに決定されますが、 二次流通が可能となるアイテム等のガチャの場合には、入手できるアイテム等に市場価格が生じ、 ガチャを回すために必要となるゲーム内の通貨トークンの価値以上の市場価格が付くアイテム等を入手できる場合もあれば、当該価値を下回る市場価格しか付かないアイテム等しか入手できない場合も出てきます。そうなると、有料ガチャ によるアイテム等の販売方法が、 賭博罪(刑法185条) に該当しないかが議論されているので、有料ガチャによるアイテム等の販売に係る賭博罪の各構成要件への該当性について検討します。
  • 賭博罪の構成要件
    刑法では、賭博罪の対象となる行為は 「賭博」 とのみ規定されているが、賭博罪の構成要件は、
    ① 偶然の勝敗により
    ②財物や財産上の利益の
    ➂ 得喪を争う行為であって
    ④一時の娯楽に供するものを賭けたにとどまらない行為です。

    ①「偶然の勝敗により」とは、当事者において結果が確実に予見できない こと、又は当事者の意思で自由に支配できないことに関して勝敗を決することをいいます。有料ガチャは、 入手できるアイテム等の内容が事前に明らかとならない 仕組みであることから22 「偶然の勝敗により」という要件に該当します。
    ②財物や財産上の利益
    ブロックチェーン 上のデータであるアイテムは 「財産上の利益」 に該当します。
    ➂得喪を争う行為
    「得喪を争う」とは、 勝者が財物又は財産上の利益を得て、敗者がこれを失うことを意味し、当事者の一方が財物又は財産上の利益を失ことが ない場合には、財物又は財産上の利益の「得を争う」 とはいえないもの とされています。ブロックチェーンゲームのユーザーは、 有料ガチャを引くために支払った対価よりも、入手したアイテム等の価値が二次流通市場において結果的に低くなる場合もあれば、 高くなる場合もあるため、 当該差額について 「得喪を争う」といえます。
    ただしアイテムの市場価格は、ゲーム運営会社が決定した実際の販売価格を基準に考えるべきであり、二次流通以降の価格で、販売価格よりも、価格が上がった又は下がったとしても、そこは考慮されるべきではないと思われます。

    ゲーム配信サービスが終了する場合
    ゲーム運営会社がゲーム業界から撤退したり、倒産したりすることにより、ゲーム配信サービスが終了する場合があります。 特にブロックチェーンゲー ムについてはオンラインで提供されることが想定されるため、ゲーム運営会社によるゲーム配信サービスが終了してしまうとそれ以降ユーザーはゲームを利用することができなくなります。
    ゲーム運営会社がオンラインで配信するゲームをプレイする者は、ユーザーとしての登録等を済ませることにより、 ゲーム運営会社との間でオンラインゲームについてデジタルコンテンツの利用に関する契約を締結することになります。
    ゲーム運営会社は、ゲームを配信するに当たりオンラインゲームに関する利用規約を定めており、一般に、 ゲーム運営会社がサービ スの提供を継続することができない場合等には、 サービス終了の一定期間前までに利用者に周知することによりサービスを終了することがでる旨が定められています。
    このような規定がある場合には、十分な周知期間(最低3か月程度)をおいてサービスの提供を終了した場合には、運営会社が問題になることはありません。

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