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アダルトコンテンツ制作における法律上の注意点
近年、インターネットやスマートフォンの普及により、アダルトコンテンツの制作・配信が誰にでも手軽に行えるようになりました。これに伴い、法律に抵触するリスクも高まっています。実際、アダルトサイト運営には通常のサイト以上に守るべき規約や法律が多く、違反すれば収益停止どころかサイト削除や刑事処罰につながる場合もあります。
ビジネスとしてアダルトコンテンツを適法に運営することは、長期的な信頼確保とリスク回避のために非常に重要です。今回は、アダルトコンテンツ制作に関わる経営者・個人事業主の方向けに、法律上の注意点を解説します。
わいせつ物頒布等罪(刑法175条)
アダルトコンテンツ制作でまず注意すべきは、刑法第175条が禁じるわいせつ物頒布等罪です。この法律は、わいせつな文書・図画・映像データなどの頒布(不特定多数への配布)や公然陳列を処罰するものです。具体的には、性的に露骨で正常な羞恥心を害し、善良な道義観念に反するような「わいせつ」な内容を不特定多数に見せる行為が該当します。
日本の業界ではこの法律に抵触しないよう、映像や画像の性的な部分(性器など)にはモザイク処理を施すのが一般的です。例えば、日本国内のサーバーで無修正(モザイク無し)の動画や写真を掲載すると違法となり、逮捕や罰則の対象になります。本罪の罰則は2年以下の懲役または250万円以下の罰金と重いため、コンテンツの表現には最新の注意を払いましょう。
児童ポルノ禁止法
児童ポルノ禁止法(正式名称:「児童買春・児童ポルノ禁止法」)は、18歳未満の児童を性的搾取から守るために定められた法律です。この法律では「児童」(18歳未満)を被写体とした性交やわいせつなポーズの写真・動画など一切の児童ポルノの製造・所持・提供を厳しく禁止しています
たとえ一部分でも18歳未満が登場する性的なコンテンツを制作・頒布すれば、3年以下の懲役または300万円以下の罰金など重い刑事罰が科される可能性があります。児童ポルノは日本だけでなく世界のほとんどの国で違法であり、違反すればサイト削除に留まらず警察沙汰となります
制作にあたっては出演者が確実に成年(18歳以上)であることを身分証等で確認し、年齢確認記録と同意書を必ず取得してください。一瞬でも児童が写り込んだり、年齢不詳のまま公開したりしないよう十分注意しましょう。
著作権法
著作権法は、他人の作った文章・写真・動画・音声などの著作物を無断で利用することを禁じています。アダルトコンテンツ制作においても、他作品の盗用や無断転載は著作権侵害となり違法です。例えば、他社のアダルト動画を勝手に編集・配信したり、市販の音楽や画像を許可なく自作品に挿入したりすれば、著作権者から削除要請を受けたり損害賠償を請求される恐れがあります。
また、出演者の肖像権(映像や写真に写った本人の権利)にも注意が必要です。出演者の許可なく映像を流用したり、契約範囲外の用途に使えば肖像権侵害となります。コンテンツ内の全ての素材(映像・音声・テキスト・写真)はオリジナルか、正式に使用許諾を得たもので揃え、知的財産権を侵さないよう管理しましょう。
労働基準法および出演者の保護に関する法律
アダルトコンテンツの制作現場では、出演者やスタッフの労働環境にも法的配慮が求められます。出演者が社員やアルバイトとして雇用されている場合、労働基準法が適用され、労働時間や休憩、安全衛生など一般の労働者と同様の保護を受けます。たとえ業務委託やフリーランス出演であっても、過度な拘束や一方的な契約は避けるべきです。
特に2022年に施行されたAV出演被害防止・救済法(いわゆるAV新法)では、出演者を保護するためアダルトビデオ出演契約に関する厳格なルールが定められました。具体的には、作品ごとに個別の出演契約を締結し、書面で交付する義務や十分な事前説明義務が課されています。
また契約後すぐの撮影禁止期間や、撮影後一定期間(約4か月)の公開禁止期間が定められ、出演者が冷静に熟慮し撤回できるよう配慮されています。出演者に対し嫌がる行為の強要は禁止され、契約内容が公序良俗に反する場合は無効となります。
違反すれば契約の解除・取消のみならず刑事罰の対象ともなりえます。出演者の意思を尊重し、適切な労働条件・契約手続きを守ることが法令上も求められている点を忘れないでください。
コンテンツ形式ごとの注意点
アダルトコンテンツと言っても、扱う媒体によって法律上の留意点が異なります。ここでは映像、写真、音声、文章、ライブ配信の各形式ごとに特有のリスクと注意点を説明します。
映像作品
アダルトビデオや配信動画などの映像作品は、最も法律リスクが高いジャンルです。まず前述のとおり、性的局部には必ずモザイク処理等の修正を施し、刑法175条違反(わいせつ物頒布)を回避しなければなりません。
映像は生々しく現実性が高いため、わいせつ認定されやすい点に注意が必要です。また、出演者についてはAV新法の規制対象となるため、出演契約書の締結・交付や公開までの待機期間など法定の手続きを厳守しましょう。
万一、18歳未満が映像に含まれれば即アウトであり、児童ポルノ禁止法違反として厳罰に処されます。実写映像では出演者本人の人格権やプライバシー権も関わるため、同意を得ていない隠し撮り映像や無断流出動画の利用は犯罪(盗撮・リベンジポルノ防止法違反等)となります。映像作品を制作・公開する際は、修正の徹底と出演者の適法な管理、そして内容が公序良俗に反しないかのチェックを怠らないでください。
写真
アダルトグラビアやヌード写真集などの静止画コンテンツも、映像と同様に法律的に注意が必要です。原則として実写の性的写真では局部の直接描写は禁止であり、適切な修整が必要です。
雑誌や写真集では業界団体の倫理基準に沿ってモザイクやボカシを入れ、コンビニ等での販売時には封入や年齢制限シールを貼るなどの措置が取られています。写真の場合、映像より表現が静的とはいえ、露骨なポーズや性描写が過激すぎればわいせつ図画と見なされ得ます。また、モデルの年齢確認は映像同様に厳守し、18歳未満のヌードや性的写真は修正の有無を問わず一切NGです。
近年問題となっているディープフェイクポルノ(他人の顔を合成した偽のヌード写真)にも注意しましょう。無断で他人の顔を合成すれば肖像権や名誉毀損で訴えられる可能性が高く、社会的な炎上は免れません。
写真素材についても権利者の許可を得たもの以外使わない、被写体本人の同意を得る、といった基本を徹底するようにしましょう!
音声
アダルトコンテンツの中でも音声作品(官能音声、ASMR、音声ドラマ等)は比較的規制が緩やかですが、注意すべきポイントはあります。まず、音声だけとはいえ未成年にアクセスさせないよう配慮が必要です。販売サイトや配信プラットフォームで年齢制限の設定を行いましょう。
内容面では、性的音声が刑法上のわいせつ物に当てはまるケースは稀と考えられますが、あまりにも露骨な性的表現や児童を連想させる内容は避けるべきです。仮に18歳未満の人物の声や会話が含まれていれば問題になりますし、実在する人物を想起させる音声(盗聴した音声など)はプライバシー侵害に当たり得ます。
また音声制作ではBGMや効果音の著作権にも注意しましょう。市販の音楽や環境音を無断使用すると著作権侵害となるため、フリー素材を使うか自作することが求められます。音声のみだからと油断せず、コンテンツの題材や表現が法に抵触しないかチェックした上で公開してください。
文章
官能小説やアダルトブログ記事など、テキスト主体のコンテンツも、文章による性的表現が社会常識を逸脱するレベルに過激な場合、刑法175条のわいせつ文書と判断される可能性があります。
もっとも近年では文章のみで起訴される事例は稀ですが、だからといって露骨な淫語や詳細すぎる性描写をエスカレートさせるのは避けたほうが無難です。また文章コンテンツでは著作権と名誉棄損にも気を配りましょう。他サイトの官能小説を無断転載したり、実在人物のプライベートを暴露するような記事を書けば違法です。閲覧対象年齢についても、成年向け小説であれば書籍・電子書籍ともに年齢指定や区分陳列が行われます。ブログ等でも「18歳未満禁止」の明示や年齢確認ポップアップを設置するのが望ましいでしょう
ライブ配信
ライブチャットや生配信によるアダルトコンテンツは、リアルタイム性ゆえの特殊なリスクがあります。配信中に予期せぬトラブルが発生しても即座に修正・編集ができないため、その場で法律違反が露呈する危険があるのです。実例として、国内利用者が海外サーバーのライブ配信サービス(FC2ライブなど)で無修正の性行為を配信したところ現行犯逮捕されたケースがあります。
このようにサーバー所在地が国外でも、日本国内から不特定多数に配信すれば日本の法律で処罰されます。ライブ配信では公然わいせつ罪やわいせつ物頒布罪に問われないよう、露出する範囲や行為内容を十分セーブすることが重要です。
また配信者・出演者が18歳以上であることの確認や、視聴者側の年齢認証も徹底してください。大手ライブ配信プラットフォームの中には成人向け行為自体を禁止している所もあり、利用規約違反でアカウント停止となるリスクもあります。チャットのコメント欄での違法な書き込み(児童ポルノ要求やわいせつ誘導など)にも目を光らせ、必要に応じてモデレーションを行いましょう。リアルタイムのライブだからこそ、事前のルール設定と遵法意識を高く持つことが求められます。
適法に運営するためのポイント
以上の法律と各コンテンツ形式の注意点を踏まえ、アダルトコンテンツ制作ビジネスを安全に運営するための具体的ポイントを整理します。以下の点に留意し、違法リスクを最小限に抑えましょう。
契約書の重要性(出演者・スタッフとの契約)
コンテンツ制作に関わる全ての出演者や制作スタッフとは、書面による契約を交わすことが不可欠です。出演者については作品ごとに個別契約を締結し、報酬や出演内容、公開範囲、映像の使途などを明記します。
契約書があれば出演者の合意内容が明確になり、後々のトラブル防止になります。特にアダルト作品では、出演者が途中で出演拒否したり公開後に異議を唱えるケースも想定されるため、キャンセルや編集権限に関する取り決めも入れておきましょう。
スタッフ(カメラマンや編集者等)についても、業務委託契約書を交わし、制作物の著作権の帰属先や守秘義務事項を定めておくことが重要です。契約期間や解除条件も明確に定め、法律で定められた範囲を超える不当な契約条項(公序良俗に反する条項)は入れないよう注意します。書面契約は双方の権利保護の基本です。口約束で進めず、必ず書面に残しておきましょう。
年齢確認と同意書の取得
アダルトコンテンツ業界において、年齢確認は最優先事項の一つです。出演者については当然ながら18歳以上であることを公式身分証で確認し、そのコピーを保管するとともに、成年である旨と出演同意を記した承諾書に署名をもらいます。近年海外では18歳未満どころか出演者が若く見えるだけで配信停止となる事例もあり、年齢証明の重要性が増しています。視聴者や購入者に対しても、18歳未満にはコンテンツを閲覧させない措置が必要です。
具体的には、ウェブサイトの入り口で「18歳未満は退出してください」という年齢確認ページを設置したり、会員登録時に生年月日入力やクレジットカードによる成年認証を行います。
アダルトグッズやDVD販売でも、対面では身分証提示を求めるなどの対応が一般的です。これらは青少年健全育成条例や業界自主規制によるもので、違反すると行政指導や営業停止につながりかねません。同意書には出演内容や公開媒体、肖像権使用範囲なども具体的に記載し、後日の「聞いてない」といったトラブルを防ぎます。年齢と同意の確認作業は煩雑に思えますが、法的リスクを防ぎ健全なコンテンツ制作を行うための基盤として徹底しましょう。
知的財産権の管理
自社コンテンツを守り、他者の権利も侵害しないために、知的財産権の適切な管理が欠かせません。まず、制作した映像や写真、文章などの著作権は原則として創作した人(撮影者や執筆者)に発生します。
業務として社員や契約者が制作した場合でも、契約で著作権の帰属を会社に移転する旨を定めておかないと、後々権利関係が曖昧になりかねません。出演者に関しては、自身の出演部分についてパブリシティ権や肖像権を主張される余地もありますから、契約時に映像・写真の利用範囲(販売、宣伝利用、編集の可否など)を明示し同意を得ておきましょう。
次に、他社の知的財産を侵さないようにすることも重要です。コンテンツ内で使用する音楽・画像・文章は、必ず権利処理済みの素材を使います。他人の作品を勝手に引用したり、有名人の写真を無断で加工・使用するのは厳禁です。
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